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浜岡原発停止、そしてその向こうにある課題。 本日、5月5日、菅直人首相が浜岡原発4・5号機の運転停止要請を中部電力へ行うことを宣言した。東海地震の震源域の真上に浜岡原発が位置し、しかも、東海地震の発生確率が今後30年間で87%を超えることを理由として挙げた。 浜岡原発は1・2号機は既に廃炉が決まり、運転は停止している。また、3号炉は定期点検中で運転再開については無期限延期がほぼ決まっている。よって、浜岡原発の全原子炉が今後停止することになる。ただ、全ての原子炉に核燃料は装填されたままだ。使用済み核燃料保管プールも含めて、今後、10年以上冷やし続けなければいけない。 日本には、沖縄を除いて全国各地に原発が立地している。これらの運転をどうするかという問題が残る。福島原発は西風が卓越する日本にとっては、風向きから考えると最も過酷事故の影響が少ない東に寄った地域に立地していた。浜岡原発は関東地方の西側に位置し、過酷事故が起こった場合、放射性物質が数時間で首都圏を襲う状況だ。しかし、川内原発、伊方原発、島根原発などは、どれも首都圏よりも西に位置し、これらの原発が事故れば、確実に首都圏へも影響が及ぶ。また、柏崎刈羽原発にしても、若狭湾に立地する数多くの原発にしても、人口密集地域に隣接していて、やはり過酷事故が起こればその影響ははかりしれない。そして、北海道や青森県にある原発や原子力関連施設も、もし過酷事故になればその影響は大変に大きい。 原発は運転停止をしても安全ではない。そのことは、今回の福島第一原発事故で実証されてしまった。核燃料がある限り、それを数十年にわたって冷却しなければならない。地下に埋めるには発熱量が大きすぎるからだ。そして、ある程度以上冷えて地下に埋めることが出来るようになっても、地層処分は何万年という期間の地盤や容器の安定性が必要だ。 つまり、核燃料の冷却保存という問題も今後深刻なリスクとして存在する。原子炉や保管プールという保管設備が地震などで壊れることや、電源喪失による冷却不能などがあり得るからだ。 更に、高レベル廃棄物の最終処分である地層処分は現実的に言って日本では無理だ。1万年という比較的短い期間をとっても、現代から新石器時代まで遡るほどの期間であり、地震頻発国の日本の国土でその間安定した環境を保つことが保障できるかどうか、まったくめどの立ちようがない。だから、地層処分ではない方法、つまり、地上保管か、またはロシアなどの外国へ頼んで地層処分してもらうかしかない。しかも、このことについてなるべく早く方針を決定しなければいけない。使用済み核燃料の保管をしている地域一帯が火山噴火の影響を受けることもあり得るわけで、数百年を超える将来を見越して計画を立てなくてはならないのだ。複数の保管場所を用意し、その地域で地震や火山活動が活発化したらほかの地域へ移すことが出来るようにするなどのことが必要になる。 原子力を今後廃止する方向に行くのだろうが、全廃までの道のり自体も大変だ。どの原発を最初に停止し、どこへ核燃料を保管するのか。そもそも、核燃料サイクルをどうするのか、六ヶ所村の再処理工場やもんじゅをどうするのか、その他、問題山積だ。 そして、原子力に代わるエネルギー確保もやらなければならない。地熱と小規模水力が本命だろうと思うが、太陽光・太陽熱や風力、バイオマスなどさまざまなものを取り入れてその地域地域での最適な選択をしていかなければならない。基本的な理念はエネルギー自立だ。国という大きな単位ではなくて、県か、またはもっと小さな地域でのエネルギー自立と産業構造を考え、それが全体として国という調和した形になる必要がある。電力会社も今までのような発送電独占はできず、発電は全て地域に任せるというような形になるしかないはずだ。産業は電力をどこかから買うのではなく、その地域の産業として、自ら電力を作り出すと言う姿勢だ。 道ははるかに遠いかもしれないが、挑戦しがいのあるものだ。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<552>>
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