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責任逃れ最優先の菅や枝野が言うように「安全確保が最優先」ではない。バランスの取れた「心身の健康の確保が最優先」だ。
下記記事にある、「村の会社はつぶれ、村民は積み上げてきたものを全部なくす。政府は健康第一だというが、将来のあてもなく避難するリスクとどっちが大きいのか…」という村長の声が核心を言い当てている。
「健康」に限定しても、なりわいの場を追い立てられる肉体的・精神的ストレスと、放射線によって生じうる被害との比較考量が必要である。
「できるだけ避難せず村に残る道を模索してきた菅野村長のもとには、全国から『殺人者』『村民をモルモットにするな』などの心ないメールが届いている」という。反原発を進めるため、住民の被害拡大をむしろ望む左翼運動家の仕業だろう。
人民の利益を人民以上によく知ると自任するエリートと保身最優先の政治家が、自宅で普通に暮らせる、暮らしたい人々を「避難所」という名の収容所に押し込めている。
ロナルド・レーガンの箴言を思い出さざるを得ない。
英語において最もゾッとする言葉は、「政府から来ました。あなたを助けるために」だ。
The most terrifying words in the English language are: I'm from the government and I'm here to help.
イザ!ニュース
「村民は全てをなくす」飯舘村 首相「責任逃れ」の避難指示
2011/05/04 23:10
【被災地・福島を歩く】
地震、津波、原発事故に風評被害…。東日本大震災とその後の菅政権の対応のまずさから「四重苦」(佐藤雄平知事)が生じている福島県を歩いた。(阿比留瑠比)
福島市から東へ車で約1時間。新緑がまぶしく、枝垂れ桜がたおやかな飯舘(いいたて)村に着く。ブランド牛「飯舘牛」がゆっくりと草をはむ風景はのどかだ。だが、田畑に人影はほとんどなく、例年なら始まっている田起こしも行われていない。
東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、政府は4月11日、飯舘村全域を「計画的避難区域」に指定した。村民は5月下旬をめどに避難を迫られるが、現時点で確保できた避難先は全村民の半数に満たない約3千人分にとどまる。
「村の会社はつぶれ、村民は積み上げてきたものを全部なくす。政府は健康第一だというが、将来のあてもなく避難するリスクとどっちが大きいのか…」
菅野典雄村長は、村役場の村長室でこう語った。机上には、菅直人首相が4月18日の参院予算委員会で、たちあがれ日本の片山虎之助氏に「あなたには心がない」と指摘された問題を取り上げた新聞コラムのコピーが積まれていた。
政府が急遽、計画的避難区域を設定した経緯については、官邸内でも「万一の際の責任追及を恐れた首脳陣が政治的に決めた」(関係者)との証言がある。
「最悪の事態では、東日本はつぶれる」
「10年、20年住めないということになる」
一方で側近の「顧問」や「参与」は首相の発言としてこんな深刻な風評被害をまき散らした。
「首相が『(区域設定は)やりすぎるぐらいやってちょうどいい』と言っていたと何人もから聞いた。それによりどういうことが起きるかも考えてほしい」
菅野村長の声は悲痛だ。村幹部も「結局は菅政権の保身だ」と言い切る。
「命は大切だということに誰も文句は言えないが、政府はその美辞麗句の下で村民に何十倍、何百倍のリスクを負わせている」
政府指示に従って全村避難した場合、いつになったら村に戻れるのか。村議会の佐藤長平議長は「1年で戻りたいが、政府には見通しが全然ない」と明かす。
村には約2千頭の牛がいるが、村外移送のめどは立っていない。佐藤議長は「1日1回2時間、避難先から村に戻り、牛の世話ができればいい」と話す。だが、このアイデアを菅野村長が4月26日に官邸を訪ねた際に打診したところ、その場で拒絶されたという。
放射線に詳しい札幌医科大の高田純教授は「政府はもっときちんと科学的調査をすべきだ」と指摘する。
「飯舘は低線量で避難の緊急性はない。政府は将来の線量予測を過剰評価しており、その介入政策には根拠がない。政府は風評被害をばらまいている」
計画的避難に強制力はない。村は危険なのかそうでないのか。村民の心も揺れ動く。永承6年(1051年)年創建の古社、山津見神社の久米隆時宮司は言う。
「避難するかはその時になってみないと分からない。噂では7割ぐらいの村民が残るといわれているが…」
できるだけ避難せず村に残る道を模索してきた菅野村長のもとには、全国から「殺人者」「村民をモルモットにするな」などの心ないメールが届いている。
◇
福島県の浜通り、茨城との県境に接する人口34万人のいわき市は、東日本大震災による津波では特に沿岸部で大きな被害を受け、約300人が死亡した。今も約2400人が避難所暮らしを強いられている。
「私の家です。建物の解体撤去を承諾します」
津波を受けた後、かろうじて骨格は残った家々ももう住めず、所有者名でこんな張り紙がされていた。
このいわき市の足を引っ張ったのが、やはり首相をはじめ政府が垂れ流した風評被害だった。
「いわきを何とかしようと頑張っているところに、何でここにいない人に『あそこは危なそうだ』といわれなくてはいけないのか」
伊東正晃副市長は憤る。
いわき市は北部の一部が福島第1原発から30キロ圏内の「屋内退避区域」(3月15日指示)にかかっていたものの、ほとんどの地域は何ら指定は受けていなかった。
それなのに、風評被害ははもろに受けた。震災発生後はガソリンをはじめとする物資が入らなくなり、「同じ福島県の郡山市のガソリンスタンドに行ったいわきナンバー車が、『来るな』といわれた」(元いわき市長の岩城光英自民党参院議員)こともあった。
「いわき市の強い要望に基づいて結論を出した」
枝野幸男官房長官は4月22日の記者会見で、いわき市北部の屋内退避指示の解除を発表するにあたってわざわざこう述べた。だが、市側が解除を強く求めた事実は一切なかった。
「枝野氏は『いわきは本当は危ないんだけど、強い要望があったから外した』と言わんばかりだ。事実と違うことを一番肝心な人が全国に発信してしまう…」
伊東副市長はこう振り返る。いわき市にも飯舘村の菅野典雄村長と同様、全国から「市民を避難させずに殺す気か」といったメールが届いているという。
政府の震災対応に不満と不信を募らせていたのは、県議会も同じだった。
4月27日の福島県議会災害対策本部会議。4月1日にすでにスーツ姿に戻った閣僚たちとは違い、全員が防災服を着た議会で、市独自の判断で小中学校校庭の表土を除去した郡山市選出の勅使河原正之県議は、こう指摘した。
「『国の言うことは信用できない』というのが大方の父母の意見だ」
また、多くが原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」に入る双葉郡選出の吉田栄光県議は訴えた。
「国の動きは非常に後手後手だ。国の対応を待たず、県として方向を示してほしい」
自らの非は認めず「自分は一生懸命やっている」という首相と被災地との意識の乖離は空恐ろしいほどだ。
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