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このとろの朝日新聞の社説は、政府広報に堕落している。野党精神も、反権力精神のかけらもない。5月4日付け「オピニオン面」(10面)社説「一次補正成立 政争はやめるにしかず」は、とくにひどい。朝日新聞ASAHI.COMが5月1日午後11時35分、「菅内閣取り組み『期待できぬ』55% 朝日新聞世論調査』」という見出しをつけて、以下のように配信しているのである。
「東日本大震災の復興に向け、菅内閣の取り組みに期待できるのか。朝日新聞社が4月23、24日に行った全国電話世論調査では「期待できない」が55%と半数を超え、「期待できる」の27%を上回った。ブロック別では「期待できる」と「できない」が東北で38%対42%、関東で25%対59%だった」
この世論の声に対して社説は、国民の立場で論陣を張るべきところを、菅直人首相の弁護と擁護論終始している。「期待できぬ」という声に答えていない。それどころか、この社説は、「国家最高指導者」としての本来の任務、具備すべき資性、要件、立場の自覚と信念、責任、参謀以下、部下の運用の仕方などをまったく無視するかのように、菅直人首相に対する無条件の支持を求めている。つまり、「期待できぬ」と不満を抱いている国民に対して、菅直人首相を支えろと言っているように読める。すなわち、おり、いかに非常時であるからといっても、これは暴論にすぎる。
見方を変えて、米国が菅直人首相支持率低下により民主党を衰退させ、政権の座から引き摺り下ろし自民党に政権を奪還させる目的で、菅直人政権延命を黙認していると言われているときだけに、近年親米色を濃厚にしている朝日新聞が、米国の戦略に乗っていて、社説を書いているとしたなら、もはや日本国民のための新聞とは言えない。米国のプロパガンダ機関である。
やや長めの引用になるがこうした疑問を抱きながら、まずは、社説を一読してみて欲しい。
「東日本大震災からの復旧に向けた、政府の第1次補正予算が成立した。対応が後手に回る菅直人首相への批判が沸点近くに達し、補正成立を機に『菅降ろし』が始まる気配もあったが、与野党双方の動きは急速にしぼんだ。非常時に政争にかまけていては有権者に顔向けできない。そんな真っ当な理性が働いたのか。当然のこととはいえ、政界の風向きの変化は歓迎である。成立に先立ち、民主、自民、公明の3党は合意文書を取り交わした。
子ども手当などの歳出見直しについて3党で検討を進める、赤字国債を発行するための法案は成立に向け真摯に検討する、という内容である。倒閣を急がず、責任を分担しようというなら自公の姿勢は正しい。民主党内では、鳩山由紀夫前首相が小沢一郎元代表に、党分裂につながるような行動は控えるよう求めた。めずらしく分別ある忠告といえよう。
原発はいまだ安定せず、被災地では厳しい避難所暮らしが続く。危機にあっては、迅速に決断し、対処できるよう指揮官を支えるべきである。白紙委任せよということではない。事態がおさまれば、指揮官の振る舞いも含めてすべてを検証し、適否を問う。進退問題を語るのはその時でいい。このところの政界では、『挙国一致を』『救国内閣を』といった掛け声もやかましかった。
菅首相の退陣を前提に、民主、自民両党が『菅抜き大連立』を組むという構想も語られた。これらもひとまず沙汰やみとなり、結構なことである。民主党のマニフェスト施策の撤回を求める自民と、その固守を唱える小沢元代表が手を組むというような話なら、もともと無理があったというほかない。今後、地震と津波の被災については、応急対応から次第に復旧・復興の段階へと進む。復興は、新たな日本の姿を描く作業である。災害に強い地域をどうつくるか。エネルギー政策はどうするか。
復興財源は。各党、各議員によって、描こうとする絵は様々だろう。そこでは『とにかく力をあわせよ』である必要はない。むしろ知恵を比べ、オープンな論争を重ねる。その中から新たな対立軸が見えてきてもいい。危機管理と復興の二正面作戦を乗り切るには、力をあわせつつ競い合う大人の態度が必要だ。つまらぬ政争はやめるにしかず。各党が日本再生の道筋を示し、可能な段階で民意を問う。それが、政党政治が成熟していく道ではないか」
この社説のどこがどうおかしいのか、以下、逐一点検してみよう。
@「非常時に政争にかまけていては有権者に顔向けできない」というが、「期待できない」が55%と半数を超えていることに対して、答えていない。
A「倒閣を急がず、責任を分担しようというなら自公の姿勢は正しい」というが、国家最高指導者、つまり首相の責任は、分担、共有するものではない。首相が全責任を負うべきものである。
B「民主党内では、鳩山由紀夫前首相が小沢一郎元代表に、党分裂につながるような行動は控えるよう求めた。めずらしく分別ある忠告といえよう」というが、これは、米国の戦略を気づいたからに他ならない。術中に嵌り、民主党を壊滅させたくないからである。
C「危機にあっては、迅速に決断し、対処できるよう指揮官を支えるべきである。白紙委任せよということではない。事態がおさまれば、指揮官の振る舞いも含めてすべてを検証し、適否を問う。進退問題を語るのはその時でいい」というが、これこそ、無責任な論調である。国家最高指導者、つまり首相は、最高指揮官である。最高指揮官には、「強い統率力」が必要だ。「統率力」とは「指揮と監督」の能力を言う。少なくとも、民主党内でさえ「強い統率力」を発揮できず、挙党一致態勢を築いていない。それどころか、党内の半数の勢力を排除している。官僚組織に対しても、官僚を排除、内閣記者会に対しては、番記者を排除している。
野党自民党の谷垣禎一総裁には、非礼失礼千万な態度で接して顰蹙を買っている。あれやこれや、菅直人首相は「迅速に決断し、対処」していない。つまりは、統率力をいかんなく発揮しているようにはとても見えない。だからこそ、「期待できない」が55%と半数を超えているではないか。こんな「強い統率力」を発揮できない指揮官を支えるべきであると唱えるとは、ムチャクチャだ。一体、何を考えているのか。
ただし、米国の戦略に乗っていて社説を書いているのなら、腑に落ちる。親米であることは、決して悪いことではないが、責任感も、力量もない、いわんや「強い統率力」を発揮できない指揮官によって、多くの国民が大被害を被ったり、迷惑を受けたりするのを知りながら、「支えるべきである」と唱えているとすれば、その罪は、計り知れなく大きい。国内外から寄せられている巨額の義捐金が、被災民に手渡されていない一事をもってしても、「菅直人被害」は、大きく、これを許している朝日新聞も、共同正犯に近い。
真剣なまさに命がけの権力闘争、あるいは人権獲得闘争(権利のための闘争)を潜り抜けなければ、政党政治は鍛えられず、成熟しない。朝日新聞社説が提唱しているような「みんな仲良く、お手手つないで」では、無理であることも付け加えておきたい。
http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken
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