http://www.asyura2.com/11/senkyo112/msg/433.html
Tweet |
祝日を返上して、国会は震災対策の第一次補正予算案の審議を29日行った。福島県を地盤とする民主党渡部恒三議員(福島3区)と自民党吉野正芳議員(東北比例区)とが、原発事故関連で質問に立った。二人とも地元民を意識し、原発事故被害者への賠償補償を、国に負担させようとの意図が丸見えの質問であった。なお、渡部氏は自民党時代に福島県に原発を誘致した張本人であって、決して被害者ではない。
原子力発電は国策。だから、原発事故について国に連帯責任がある。これが、この二人の質問趣旨であった。これに対して菅首相は「第一義的には東電に責任があることは言うまでもないが、原発を推進する立場で取り組んできた国の責任も免れるものではない」と答弁した。吉野議員は、国の責任は借金の連帯保証人と同じとの理屈で、東電の免責と国による補償支払を迫ったが、それは全く筋違いの話である。
原発事故の損害補償額について、東電の勝俣会長は金融機関への説明会で、「政府には、負担に上限をつけてもらうよう要請しています」と述べたそうだ。また、経団連は、既に政府に対し、東電の補償上限額を1兆5千億円にするよう申し入れている。上限を設けると言うことは、被害者に充分な補償をしないか、或いは国、即ち国民に負担を求めることを意味するのだが、そのような認識を持っているのだろうか。
また、原発事故は損害賠償を支払えば済むと云う類(たぐい)の事故ではない。社会に与えた影響は、金額では表わせられない程大きい。例えば、大気中の放射線量の増大は、学童の年間被曝線量20ミリシーベルトという信じられない話を招いている。
そして、放射性ヨウ素が基準値を超えた水道水は、スーパーの棚からミネラルウォーターを消しただけではなく、乳幼児を抱える親たちに精神的パニックを与えた。
東電は、賠償補償の原資を捻出するために役員報酬50%カットを決めた。この決定に対し海江田経産相が、「役員にもいわゆる平取から社長会長までずいぶん差があるやに聞いている。その中で一律50%は仕方が足りないと思っている」と批判した。単に、コスト削減のための報酬カットならば、企業の論理で決めてもいい。だが、今回はそうではない。国の責任には、東電の執行状況を監督することも含まれている。
現時点では、賠償補償額が幾らになるか不明だが、ある程度の推測はできる。一部の週刊誌には、確かの根拠も示さずに10兆円規模だと書かれている。その中、今週発行の週刊ポストは、会計士・磯崎哲也氏が試算した損害補償額を、その計算根拠と共に示している。その金額は1兆2500億円。その5割増しだとしても約2兆円。詳細は週刊ポストを読んでもらうとして、停電での補償を除けば妥当な水準だろう。
東電の総資産額は約14兆円、資産から負債を引いた差額である純資産は約3兆円。純利益額は年約2千億円である(10年3月期決算)。それにもかかわらず、東電が社員の給与カットと一部の資産売却で準備できる賠償補償金の原資は、4千億円などとふざけたこと言っている。少なくとも、純資産額の範囲内では、国の支援は有り得ない。地域独占に胡坐をかいて、東電は甘えるなと言いたい。
人件費以外にも、東電には削減できる経費がある。年間、広告費約240億円、販売促進費約240億円、それと普及啓発費200億円の合計約680億円がある。東電に巨額の販促費がどうして必要なのか理解できないが、680億円の多くがマスコミに流れているそうだ。当然、この不要不急な経費は削減できる。賠償問題に限らず、マスコミの東電批判の筆が鈍いのは、その「カネ」に支配されているからだろう。
29日の国会に参考人として出席した東電清水社長は、「(国の)指針を踏まえて、損害額の算定や賠償金の支払い方法などについて、今後検討していきたい。多くの被害者に補償を行うことになるが、資金面も含め国の支援を頂きながら、公正、迅速に対応していきたい」と述べた。東電幹部は二言目には、「国の支援を頂きながら」と言うが、何を言うかである。自らの責任で行え。それが経営者としての責務だろう。
消費者が必要とするのは、東電という企業ではない。安定して安い電力を供給するシステムであり、企業である。1KWH6〜7円台のアメリカや韓国に比べ、17円と云う桁外れに高い電力料金で以って、恬として恥じない上に、安易に国の支援を言うような企業と企業経営者には、お引取り願う時代が来たのではないか。
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=108224
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK112掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。