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【菅政権考】「ポスト菅」めぐり水面下のシナリオ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110430/stt11043012330001-n1.htm
2011.4.30 12:00 産経新聞
♪言い訳ばかりが目立ちます…で始まる演歌がヒットチャートの1位に躍り出た。永井みゆきの「希望の星」(作詞・たかたかし、作曲・橋本くにたか)という曲だ。永井のデビュー20周年記念曲として3月30日に発売されたこの曲、♪成り行きまかせでどうするの ♪悲しい嘘はつかないで…といった歌詞は、愛する男性へのいじらしい女心を表現した演歌の王道とも言える内容だが、東日本大震災直後の発売ということもあり、思わぬ形で注目を集めているのだ。
■危険水域のまま
もうお気づきの方も多いと思うが、大震災や原発事故の対応にあたる菅直人首相(64)に向けた痛烈な恨み節ともとれる歌詞だ。永井本人は24日、サンケイスポーツの取材に「頼りない男性を応援する女心を歌った歌なんですが…。『今の首相と民主党にピッタリ』とか『首相に代わる“希望の星”がほしいね』とか、思わぬ評判に驚いています」と答えている。
確かに、数多くの組織を立ち上げ収拾がつかなくなった震災・原発対応は「成り行きまかせ」、国会答弁に立てば「言い訳ばかり」、多くの国民が「悲しい嘘」に不安を感じ、内閣支持率は21・8%(23、24日の産経新聞・FNN合同調査)という退陣危険水域に低迷したままだ。
■“墜ちた希望の星”
身内の桜井充財務副大臣(54)でさえメールマガジンで「何か言われると、必ず自分の正当性を主張する。自分の非を認めると責任論につながると思っているのかもしれないが、反発を招くだけ」と首相を断罪した(後に首相に謝罪)。
そんな“墜ちた希望の星”こと菅首相に対し、5月26、27日に仏ドービルで開かれる主要国首脳会議(サミット)前の退陣を求める動きが本格化してきた。具体的には、内閣不信任案可決というシナリオが現実味を帯びてきたのだ。すでに、水面下では、首相退陣を前提としたシナリオが練られている。
内閣不信任案が可決されると、首相は「10日以内に衆院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」(憲法69条)。被災地の現状を考えれば、とても選挙を行える状態ではないので、菅首相は10日以内に退陣を余儀なくされる。逆に言えば、10日以内に次の首相を選ぶ首相指名選挙が衆参両院の本会議で行われることになる。
■連休中に動きか
ここからは衆院(定数480)の状況のみを考慮する。内閣総理大臣の指名は「衆院の議決を国会の議決とする」(憲法67条)からだ。この時点で民主党内がどういう状況になっているかというと、不信任案が可決されたということは、民主党衆院議員307人のうち少なくとも80人前後の造反者がいる計算になる。そうでなければ、不信任案は否決されている。
この状態だと、民主党内は分裂状態のまま首相指名投票に臨む可能性が高い。つまり、菅首相を信任した「民主A」(220人前後?)と信任しなかった「民主B」(80人前後?)が別々の首相候補を立てる。
一方の自民党も、谷垣禎一総裁に候補を一本化しても、衆院は118議席で過半数には遠く及ばない。
ここで、自民党の森喜朗元首相が4月28日付の産経新聞のインタビューで興味深い指摘をしている。
「もしかしたら、どの候補も過半数に届かないかもしれないね。そうなりそうだったら、与野党が真剣に協議して新しい首相を決めればいい」
確かに、首相指名選挙は1回目の投票で過半数に達する候補がいない場合、上位2人による決選投票となる。それを見越して、首相指名選挙前から激しい多数派工作が繰り広げられるだろう。
大型連休中に「ポスト菅」をめぐる大きな動きがあるかもしれない。(政治部 船津寛)
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