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産經新聞の29日朝刊一面左の大きなコラム欄【今日の突破口】
ジャーナリスト・東谷暁 東電叩きによる「人災」
****もういいかげんに「東電叩き」をやめてはどうか。たしかに、今回の福島第1原発事故については東京電力にも責任があるだろう。しかし、そのことといま蔓延している陰湿な東電叩きとはほとんど関係がない。まず、東電の「想定外」発言を批判して何から何まで「人災」だと言うのは、恐怖に煽られた短絡にすぎない。この世の危険には確率計算できるリスクと、計算できない不確実性があって、リスクについて東電はかなりの程度まで想定していた。
最終的に今回の事故の原因となった非常用ディーゼル発電機不起動の確率は1000分の1だったが、東電はこれを2台並列に設置して100万分の1の確率にまで低下させていた。しかも、非常用ディーゼル発電機は頑丈で津波にも拘わらず一旦は起動したが、この非常用ディーゼル発電機のサブ冷却系が津波にやられていたためオーバーヒートして途中で停まったとの説は有力である。
なかには、巨大な津波が来ることは分かっていたのに、低い防潮堤しかなかったため事故が起こったのだから、東電が対策を怠ったことになるという人もいる。しかし、これまで14メートルを超えるような津波は三陸海岸のものであって、福島浜通りに来たという記録はない。また、最近おずおずと発言を始めた地震予知学者たちも、口を揃えてマグニチュード9は想定していなかったという。それでどうして東電がマグニチュード9によって起こる巨大津波を想定できるのだろうか。
そもそも、たとえ東電が巨大津波を想定していたとしても、できる対策とできない対策がある。もし想定できることはすべて予防策の対象とすべきなら、岩手、宮城、福島3県の海岸に、巨大防潮堤を建設しなかった県および政府は、あれほど多くの被災者を、最初から見捨てていたことになるのではないのか。
私が東電叩きをやめろというのは、それが私たちにとって損だからでもある。東電叩きには、東電に責任があるから政府は援助をするなとか、東電を解体しろという主張すらある。しかし、これこそ、私たちに新たなリスクを負わせることになるだろう。これまでも高度な技術をもった事業体を解体したさいには、巨大なリスクが生まれた。国鉄解体では組織内の技術が守られたかに見えたが、JR西日本では制御技術と技術者集団の継承性が損なわれて、福知山線事故という悲劇を生み出した。
また、JALについてはいま給与体系や親方日の丸体質ばかりが論じられるが、最終的に利用者の信用を失ったのは多発した事故だった。この場合も、半官半民から完全な民間企業への変身が強調されるあまり、整備という航空業のコアを外注してしまうことで、組織内に蓄積された安全技術が流出したからである。
原発という技術は、現代における最先端の技術の塊のようなものであり、ことに安全を確保するための制御技術は、設計者と使用者との間の連携が失われれば機能が低下してしまう。しかも、制御技術は組織そのものによって維持されている。これを東電叩きに乗じた怪しげな扇動によって解体してしまえば、新たな事故を招来しないともかぎらない。そうなってしまえば、今度こそ、東電叩きによる「人災」ということになるだろう。(ひがしたに さとし)********
さすが産經新聞が掲載するだけの素晴しいコラムだ。しかし、このジャーナリストを自称する東谷というゴロツキがどういう人間かはさっぱり知らないが、この文章を読むだけでその品性の下劣さが強烈に滲み出し、卑しさが爆発している。「蔓延している陰湿な東電叩き」って、何をもって陰湿と言うのだろうか。
このゴロツキにとっては東電原発事故の責任を厳しく追及する国民の声や批判が陰湿な叩きにしか見えないらしいようだ。すべてを東電サイドに立ってしか判断出来ないようで相当に甘い果実を食わされているのだろう。こんな御託を一面にデカデカと掲載する産經新聞のジャーナリズムを放棄した東電のばらまくカネにひれ伏す情けない実態が鮮明に浮かび上がるのだが、産經新聞にはすでにそんな自身の情けなさに気付く余裕もないのだろうな。哀れでしかない。
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