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福島原発が選挙区の自民党の吉野正芳とかいう議員が衆院予算委員会で雄叫びを上げているが、完全に東電側に立って答弁している。まず、この御仁が言いたいのは、賠償は国が全て負担し、何でも東電の所為にするのはおかしいと、原賠法(原子力損害賠償法)を持ち出して叫んでいた。
これは、原子力損害の賠償に関する法律第三条に天変地異免責条項というものがあり、そこには「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない。」と書いてある。この解釈について質問に答えながら海江田大臣は次のように答えた。
「ここに書かれた原賠法の免責条項における天変地異というのは、誰もが想像を絶するものということで、今回はそれにあたらない」まあ、巨大隕石がぶつかったとか、エイリアンが攻撃してきたとか、空想の世界になるのかもしれない。ただ、東電とそのシンパはこの免責条項を利用してなんとか国に賠償の負担を押し付けようとしていることは間違いない。
東電、賠償免責の見解 「巨大な天変地異に該当」 先日のエントリーの続きのような記事があるので東京新聞『こちら特報部』より転載させたいただく。
原発賠償案、東電に大甘
ツケは国民に 数兆円に及ぶとみられる福島第一原発事故の被害者賠償金。政府は「原発賠償機構(仮称)」を新設して資金を調達し、東京電力の「利益」から長期返済させる枠組みを検討中だ。しかし、この東電存続案は金融機関や株主、経済産業省が原発推進を支えた責任までもあいまいにする一方、そのツケは電気料金の大幅値上げという形で国民に回されかねない。賠償枠組みの前提条件とは何か。(佐藤圭、篠ケ瀬祐司)
事故の拡大には人災の部分も大きい東電の損害賠償の枠組みづくりは、東電の存続が前提になっている。その舞台装置が賠償金支払いを官民で支援する原発賠償機構だ。金融危機のときにつくられた預金保険機構の「原発版」ともいえる。
機構の枠組み案はこうだ。銀行が融資し、原発を持つ電力各社が負担金を出すほか、国はいつでも現金化できる無利子の「交付国債」を割り当てる。機構は東電に対し、賠償資金を融資し、優先株を割り当てて出資も行う。東電はその資金を被害者の救済に充てる。
東電は十年以上、利益から分割返済し、優先株に配当する。東電が発行する五兆円もの社債は保護され、株式の上場が維持される。銀行の融資も守られることになる。ところが返済の原資となる「利益」は、われわれが支払う電気料金から生み出される。賠償金は結局、電気料金に転嫁される可能性が高い。
電気料金は、発電所の建設費や燃料費、人件費などの原価(総コスト)に、一定の利益を上乗せする「総括原価方式」で算定される。政府や経済界では、電気料金の一部から各電力会社が税金として納める「電源開発促進税」を引き上げる案が取りざたされている。
この耳慣れない税金は原発周辺の地域振興などに充てられ、一般的な家庭で年千四百円程度。二〇一〇年度は約三千三百億円の税収を見込む。既に原発推進のために負担を強いられているが、さらに増税されるかもしれないのだ。
経済評論家の山崎元氏は「東電の存続を前提に議論するのはおかしい。経営責任や経産省の管理責任、株主の責任を問うのが先。それをせずに、電気料金を上げるのでは到底納得を得られない」と厳しく批判する。賠償枠組み案は、経産省と金融機関を中心に練り上げられたようだ。山崎氏は「東電には、経産省OBが副社長に天下りしてきた。東電の利害関係者ともいえる。経産省が、何らかの青写真を示さなければならないのは分かるが、甘やかしていると言われても仕方ない」。
一方、金融ジャーナリストの須田慎一郎氏は一定の理解を示す。「東電を解体し、逆さにしても鼻血が出ないほど支払わせるという考え方もあるかもしれないが、それでも足りない。社債や株式をいっぺんに紙くずにすれば、電力業界全体の信用が低下するなどリスクが高い。国が支えながら、東電に長期にわたって支払わせるのが一番リーズナブルだ」
須田氏によると、経産省は、東電の返済額に上限を設けたり、機構が直接賠償金を支払ったりする案を示したが、これに財務省が待ったをかけているという。「経産省はなるべく東電が傷つかないようにしている。東電は存続するけれども、経営の透明性を高めるなどして納税者や電気利用者の理解を求めていくことが必要だ」
長期の避難生活を強いられ、仕事を失った被害者救済は当然だが、この「東電救済」枠組み案でいいのだろうか。事故補償費用の捻出について「原発賠償機構のように東電の『利益』を基本にするのではなく、『資産』を基本にして考えるべきだ」と、NPO法人「環境エネルギー政策研究所」(東京)の田中信一郎研究員は発想の転換を促す。
賠償の枠組みを利益ありきでつくると、「利益を上げるための電気料金引き上げや、従来の原発や火力発電など『集中型電源』中心のエネルギー政策の固定化につながりかねない」と話す。そこでまず、東電資産の処分を基本とし、それでも不足する分は国民負担をお願いするという発想が必要だというのが、田中氏の指摘だ。
資産処分の第一段階として、りそな銀行の救済と同じく国が一時的に東電の株を保有する「一時国有化」を行い、東電の解体も排除せずに資産処分と債務整理を徹底的に行うことを提案。資産処分では、特に「発・送電分離」に重点を置く。発・送電分離とは何か。発電も送電も電力会社が一貫して行うのが現行の仕組み。この送電線網を公有化し、将来は売却するなどして送電部門を分離し、東電の「発電会社」は「送電会社」に使用料を払う考え方だ。
電力会社の送電線網の独占が破られれば、鉄鋼会社などが発電事業に参入しやすくなる。さらに太陽光や風力発電といった『分散型』エネルギーの拡大に弾みがつく。「送電会社が再生可能エネルギーを優先的に受け入れる仕組みも整備すれば、各地域の小規模風力発電なども盛んになり、再生可能エネルギー政策への転換が進む。東西の周波数の統一も必要」と田中氏は見通す。
「原発は他のエネルギーに比べて安上がり」といわれてきた。だが、事故が起きれば、重大な環境汚染や巨額の事故処理費、賠償費用がかかる。事故がなくても使用済み核燃料の処理や廃炉の費用は膨大だ。再生可能エネルギーへの転換は、こうした社会的な費用を減らすことにもなる。
資産処分でのもう一つのポイントは「原子力ムラ」の「原発埋蔵金」をはき出すことだ。 公益財団法人「原子力環境整備促進・資金管理センター」(東京)は放射性廃棄物の再処理と最終処分のため、三兆円以上を積み立てている。他の原子力関連法人も含めた積立金や資産を出すことが「国民負担の前提で、負担を最小化できる」と田中氏はみる。
東電自身が徹底して身を切ることは言うまでもない。2010年3月期の純資産は約2兆五千億円。09年の有価証券報告書によると、取締役(社外取締役を除く)19人の報酬は平均約三千七百万円。東電の役員報酬を半減しても高額だ。会社が破綻すれば経営者は道義的に、個人財産まではき出せとの声もあるだけに、甘い。顧問職を廃止し、役員数や多くの幹部社員を減らすことが求められる。組合員約三万三千人の年収は約二割カットという。
前出の山崎氏は「電力会社の給与水準はもともと高い。社員給与の二〜三割カットは仕方ないのではないか」と語る。田中氏も「労組は東電の政策決定に関与できる立場にあったのではないか。社員負担の是非については、社員間で議論してほしい。あらゆる努力を尽くすことが先決だろう」とくぎを刺した。
<デスクメモ> エネルギー政策の見直しは海江田万里経産相のもとで行われる。大所高所の賢人会議を検討というが、経産省は原発アクセル役だった。ブレーキ役の保安院も機能不全。事故の遠因には電力各社への天下りなどのなれ合いもあったはず。「脱原発」を目指す会議なら「脱経産省」から始めるべきだろう。 (呂)
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