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今日の朝日の「明日を探る」に小熊英二さんが、「東北と東京の分断くっきり」という文章を書いていた。小熊英二さんは『単一民族の神話』以来読み続けている歴史社会学者である。その文章の三分の二は東北と東京との関係、東北の位置に割いていた。地方に住むものにとっては身にしむところである。残りの三分の一で東北の今後について論じていた。その部分を以下引用する。
ーーーー引用ここからーーーーーーーーーーーー
復興に水をさしたくはないが、懸念されるのはいっそうの過疎化だ。グローバル資本とグローバルシティーにとって、食料と労働力の供給地は東北である必要はない。20世紀の国内分業で位置を定められてきた東北は、21世紀の国際分業競争の渦中で打撃をうけた。地震と電力供給のリスクがある東北から工場を海外へ移す動向も予想されている。
町をまるごと失い、放射能におびえ、仕事と安全の未来もみえない状態が続けば、若者から先に東北を離れてゆく。この現実を直視し、日本の構造と東北の位置を変える意志東京側も含めて共有せずには、防災都市やエコタウンの構想も新築の過疎地と財政赤字を残すだけに終わりかねず、原発に頼らない地域社会も作れない。
復興の前提は、原発事故の大局的対策だ。放射能漏れを伴う綱渡りの冷却が数カ月は続く。放射能の放出は3月より減ったが、再度の大放出の恐れは残っている。政府は矛盾だらけの暫定措置(飲料水の放射能基準値が原発の排水の7倍など)のつぎはぎを超え、さらなる避難拡大や経済的・国際的影響など、あらゆる事態を想定した長期戦略を公表して国民を納得させてほしい。
何も知らされずに非常事態になれば、かえってパニックがおきる。「最悪の事態になれば東日本がつぶれる」と発言した菅首相なら、そうした戦略を立てる意志をお持ちと思う。少なくとも「想定外だった」という言葉だけは、世界中の誰も聞きたがっていない。震災後には「がんばれニッポン」という言葉が躍った。だが震災が浮き彫りにしたのは、「ニッポン」の一語で形容するんはあまりに分断されている、近代日本の姿である。
ーーーーーー引用ここまでーーーーーーーー
東北は東京への食料の供給地だった。東北は東京への低廉な労働力の供給地だった。東北は東京への電力の供給地だった。今回の震災には無意識の東京中心主義の限界がある。復興も都市型の復興には限度がある。以上が前半の三分の二のすごくおおざっぱなまとめである。この部分は、「東京」を「地方」と置き換えればどこにでも通用する。
それを受けて引用文が始まる。「日本の構造と東北の位置を変える意志を東京側も共有する」ことの必要性を小熊さんは強調する。そして何よりも原発事故について長期的戦略を公表して国民を納得させよという。いずれも的を射た言葉だ。東京一極集中から離れた日本のあり方、この際は、特に東北とのあり方を放置したままでは真の復興はありえないだろう。
そして原発事故。後追いとゴマカシと隠蔽をこれ以上続けてはならない。すべての情報を開示し、その場限りの工程表などではない長期戦略をしめしてほしいものである。「がんばれニッポン」という言葉が浮き彫りにしたのは、あまりに分断されている近代日本の姿である、という部分には、そのとおり、そのとおりと共感する。ためされるのは、これからである。
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