http://www.asyura2.com/11/senkyo112/msg/369.html
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4月22日の陸山会事件の第9回公判に関して、大手マスコミは「石川議員が賄賂を認めた」と検察側証人である吉田正喜検事(当時は特捜副部長)の供述のみを主軸に報道した。
一例を挙げると、産経新聞は以下のように記事を配信した。
◆石川被告「衆院議員としてわいろもらった」取り調べ時供述 担当検事証言(2011.4.22 12:25)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110422/trl11042212270000-n1.htm
小沢一郎民主党元代表(68)の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた元秘書3人の第9回公判が22日、東京地裁(登石郁朗裁判長)であり、衆院議員、石川知裕被告(37)を取り調べた吉田正喜元東京地検特捜部副部長(現・法務総合研究所研修第2部長)が証人出廷。石川被告が取り調べで「(小沢事務所とは別に)衆院議員になってから何回かわいろをもらった」と供述していたと明らかにした。
吉田元副部長は平成22年1月27日から石川被告の取り調べを担当。中堅ゼネコン「水谷建設」からの5千万円の裏金疑惑を追及した。石川被告は同社からの裏金を全面否定する一方で、「19〜21年、(自分の)支持者から計約1500万円を受け取った。裏金で、わいろだと思っている。これは間違いないので議員を辞めます」と供述し、供述調書も作成したという。ただ、職務権限が不明確だったため、収賄罪などでの立件はしなかった。
(一部引用)
つまり検察側は、石川議員は賄賂を受け取るような不正を働いており、公職にあってそのような不正を働く人間の裁判での証言は当てにならない・・とでも印象づけたいのではないかと推察する。
しかしそれが事実ならば、なぜその案件について起訴しないのか?少なくとも裏取りの捜査がないのか?・・誰しも不思議に思うだろう。
どうも筋立て自体が怪しい突然の「賄賂疑惑」だった。
そもそも、それが陸山会事件とどう関係あるのかさえ検察側は明らかに出来なかった。
要は印象操作として、「やっぱり小沢周辺には悪しき政治と金というのは染み付いている」というような喧伝効果を検察もマスコミも一連托生となって狙ったとしか思えない。
産経新聞の言論体質は偏向が酷いのだが、それでも重要な裁判においては詳細な傍聴記事を配信することもあり、その記事にのみは客観性を期待できるものだった。
今回の陸山会事件裁判についてはなぜかそういった傍聴記事が出されず、公判においてどのような供述や証言があり、裁判所はどのように判じているのか皆目わからなかった。
産経新聞にとってあまり有り難くない進行が実はあるのではないか?・・そんな勘ぐりもしてみたくなっていた。
そんな中、インターネットメディアの【The Journal』のみが傍聴記を連載している。
22日の「賄賂疑惑」を巡っても、実際の公判内容はマスコミが報じるところと全く展開が違う。
以下、その前半を抜粋してお伝えする。
マスコミの恣意的な報道内容とは全く趣を異にすることが読者諸兄にもご理解いただけるだろう。
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《第9回(前半)》陸山会事件公判傍聴記 ── 石川議員が受け取った1500万円はワイロではありません!(投稿=2011年4月28日 14:12)
http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/04/_1500.html
10時開廷。第9回公判では、午前に石川氏の取り調べをおこなった吉田正喜検事(当時は特捜副部長)が検察側の証人として、午後に昨年1月に10時間に及ぶ不意打ち事情聴取を受けた石川氏の女性秘書が出廷する。なお、今回の傍聴記は分量が多いので、前半と後半にわけてアップする。
まずは午前の部から。
陸山会事件の石川氏への事情聴取は、政治資金規正法の虚偽記載については田代検事が、水谷建設のウラ金疑惑については吉田検事が行っている。石川氏は逮捕時から一貫して水谷建設による5000万円のウラ金の受領を否定していたので、今回の法廷では水谷建設のウラ金をめぐる厳しいやりとりが明らかになるのだろうと思われた。
ところが、公判で持ち上がったのは、吉田検事が取り調べ時にとった唯一の調書で、その調書には、石川氏が議員となった後の平成19〜21年の間に、ある会社から計1500万円の政治資金を受領していて、それがワイロにあたると書かれているという。
また、その調書には石川氏が「議員辞職します」ということも書かれていて、陸山会事件の控訴事実とはまったく関係のない事実が突然公判で明らかにされ、その調書について争われることになった。まずは検察側による吉田検事への尋問から。
(──は検察官、「」内は吉田検事の発言)
── (1500万円のワイロについて)具体的に話してください
「それほど詳細を聞いたわけではないですが、平成19〜21年に1500万円を受け取っています。『議員活動のお金ですのでワイロだと認識しています』ということでした」
── 証人(吉田検事)から石川氏に「(この金は)ワイロだ」と言ったことはありますか
「ありません。その時は(石川氏には)職務権限もないので、そんなことはありませんでした」
── 調書をとった理由は?
「その前に(石川氏の)女性秘書の聴取が問題になっていて、石川さんに聞くと『私をかばおうとするからこんなことになるんですよ。私をかばわなくていいということで伝えていい』ということで、調書にしようということになりました」
── その調書には「議員を辞職する」と書かれていますが
「石川さんが議員になってからの話ですので、議員になった後に不正があったとなると、政治資金規正法にもワイロで間違いないことなので、辞職しますということでした」
そのほか、検察側からの尋問で、吉田検事は取り調べの際にメモを石川氏の目の前で破ったことも認めた。
この「ワイロ」とされる部分についてはその日に各紙で報道されていたのでご存知の読者も多いと思うが、その多くが吉田検事の証言をそのまま報じているので、法廷でのやりとりが正確に伝わっていない。そういったこともあり、石川氏は公判終了後に報道機関に申入書(※投稿下段に転載)を入れていて、その中ではこの調書について「無理やり署名させられた」と語っている。
石川氏の言うように、ほとんどの報道が吉田検事が発した「ワイロ」という印象的な言葉に飛びついて報道しているだけで、そのワイロの内容までは精査していない。弁護人による反対尋問はこうだ。
(──は弁護人、「」内は吉田検事の発言)
── 賄賂が成立するには公務員の職務権限があって、その対価としてもらってはじめて賄賂になりますよね
「はい」
── 具体的に何を聞きましたか
「詳細は聞いておりません」
── 石川氏はなんでこれがワイロにあたると考えたのですか
「それはわかりません」
── それなのに調書を取ったんですか
「はい。とりあえずそういう供述があり、調書を取りました」
やりとりからわかるように、石川氏が受け取ったとされる1500万円は吉田検事もワイロとは認識していなかった。吉田検事の理屈は「石川氏が自分からワイロだとしゃべったから、それを調書にしただけ」という程度のもので、それが違法行為にあたるとは判断していないようだ。公判を最後まで聞いていたらその日の報道のような記事にはならないはずだが、夕刊に間に合わせたかったのか、この件の記事には重要な部分がごっそり抜け落ちていた。
★
引き続き、裁判官の尋問。これもあまり報道されていないが、裁判官は石川氏への聴取の際に目の前でメモを破ったことを繰り返し追及する。
(──は裁判官、「」内は吉田検事の発言)
── 石川氏の前でメモを破った理由は何ですか?
石川さんが「私がやった不正(ワイロとされる1500万円の金のこと)は認めてるじゃないか。だから水谷建設からの金はもらっていないというのは本当ではない」という言い方をするので、「いま聞いているのは(注:水谷の裏金のこと)はこの件とはまったく別のことなんだ」ということでした。
── メモを破る必要性は?
「メモというか、箇条書きしたものですが、これをサイドストーリーということで破りました」
── なぜ破くという行為になるのですか?
「水谷の5000万円というのは大久保被告の指示という疑いを持っていました。1500万円というのは個人の金で、5000万円というのは小沢の金なんだということで隠しているという疑いを持っていました」
── (被疑者を検事が)説得することとメモを破くというのは質的に違いがあるという認識はありますか?
「メモは箇条書き程度のもので・・」
── テクニックということですか
「そういうことです」
── 興奮していたのですか?
「複合的な思いがありました」
── 気の弱い被疑者であれば恐怖感を感じるのでは?
「取り調べの状況が必ずしも気の弱い被疑者といったものではありませんでしたので、そうは思いませんでした」
── どういう効果を期待していたのですか?
「弁解の形がその後に語らなくなるということを期待しましたが、そういうことはありませんでした」
以上で第9回公判の午前が終了。午後は石川氏の女性秘書が証言台に立つ。
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※石川議員が報道各社に送付した申入書
申入書
私が、国会議員としての職務に関し、賄賂を受け取ったことを認める旨の供述を行った旨の報道がなされていることに対し、下記のとおり申し入れを致します。
記
1 私としては、そのような検察官調書を取られていることは事実ですが、私は賄賂など受け取ってはいません。
真実は、私が支援者等から受けたパーティー券収入等について、検察官から「そんなものは賄賂だ」と決め付けられて調書にされ、署名を迫られたのです。
2 そして、この点につき、私の女性秘書が別の検察官から逮捕されると脅されていたので、そのような事態を避けるため、私は致し方なく署名しただけです。要するに無理やり署名させられただけです。
3 現に本日の公判に証人として出廷した検察官も、賄賂であるなどと判断したとは証言しておりません。裁判の内容を報道されるのであれば、検察官からの主尋問の一方的な供述内容のみならず、弁護人からの反対尋問を経ての検察官からの供述内容も報道されるのが公平だと思います。
私としては、今後、報道が公平公正に為されることを要望します。
平成23年4月22日 石川 知裕
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※法廷でのやりとりは、筆者のとったメモを元に再構成したものです。
(文責:《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
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公判内容すら公平公正に記事にできないのであれば、もはやそういった報道機関は国民にとって不要なだけでなく害悪である。
裁判所はそんな報道機関に「記者席」を用意すべきではない。
捜査機関の取り調べのみならず、裁判自体を広く一般に視聴できるような可視化も議論があって当然だろう。
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