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日中韓の経済貿易担当相会合が開かれ、風評被害からくる過度の
輸入制限の冷静な対応を日本側が求めたが、議論は平行線を辿った
という(4月25日各紙)。
丹羽宇一郎駐中国大使は地方視察で日本の輸出産品の安全性を訴え
ているという(4月26日各紙)。
そのような努力に水を差すつもりはない。
しかし、これは私の体験から書いている。
私は地元の農家の人たちから相談を受け、福島原発事故の直前まで、
栃木県のコシヒカリや牛肉を中国に輸出する手伝いをしていた。
手伝いと言っても信頼できる知人の香港人を紹介しただけだ。そして
地元の農家の人たちと知人の香港人の間で話が進みつつあったと聞かさ
れて喜んでいた。
そこへきての突然の福島原発事故だ。ほとんど話がまとまりかけていた
のにすべてが白紙に戻ってしまったと地元の農家の人々が落胆した。
あまりに気の毒なので、何とかならないかと知人の香港人に連絡を
とったら返って来た言葉は単純明快だった。
何とかしたいのはやまやまだ。自分としてもビジネスを成功させたい
し出来ると思っていた。しかし、食べ物についての不安は説得して解消
するものではない。ましてや放射能汚染だ。なによりもまず放射線流出
を止めてもらわないことにはどうにもならない。
これを聞いたとたん私は返す言葉を失った。
その通りではないのか。日本政府が何にもまして最優先で取り組むべき
は福島原発から放出され続けている放射線流出を一日でも早く止めること
だ。すべてはそこから始まる。
この国の指導者たちはなぜすべてをそこに集中しないのか。
わかっていながらそれが出来ないとすれば、それこそ大問題である。
事態は我々が考えているよりはるかに深刻ではないのか。
放射線流失を食い止められままのいまの日本についてもっともっと
危機意識を持たなくてはいけないのではないか。
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