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【高橋昌之のとっておき】与野党で動き出した「菅首相退陣−救国政権」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110424/stt11042418000002-n1.htm
2011.4.24 18:00 :産経新聞
3月11日の東日本大震災発生から1カ月半近くになります。この間、被災者の整然とした忍耐強い対応と官民による救援活動をみてきて、改めて敬意を表したいと思います。その一方で、政治が何をしてきたかを考えると落胆するばかりです。
それを最もよく示しているのは、震災関連の立法が全く行われていないことです。今回の震災は国難というべき事態ですから、平時の法体系では対応しきれないのは明らかです。それにもかかわらず、立法が行われていないのは、政治が機能していない証拠です。
「いつまでこの政治状況を続けるつもりなのか」と思ってしまいますが、24日に統一地方選後半戦が終わるのを受けて、ようやく政治が動き出しそうな気配です。
そこで、与野党内で急速に高まっているのは「与野党の壁を越えて震災対応に必要な立法ができる『救国政権』を作ろう」という機運です。その前提は「すでに野党だけでなく与党からも信頼を失った菅直人首相には退陣してもらう」ということです。
菅首相自身は関係者によると、「政権を投げ出したといわれたくない」との一心から、「退陣はみじんも考えていない」ようですが、政治的に孤立した状況の中で踏みとどまることができるのか、あるいは内閣不信任決議案可決などで退陣に追い込まれるのか、注目していきたいと思います。
菅首相の震災対応には「後手後手」「場当たり的」「迷走」などとさまざまな批判がありますが、致命的な欠陥は、与党をまとめたうえで野党の協力も得て法案を成立させるという「立法能力」が全くないことです。
議院内閣制における首相は、行政の長であると同時に、与党の党首として法案の作成だけでなく成立にも責任を負っています。しかし、菅政権は参院で過半数割れしていて、野党の協力が得られない限り、法案を成立させられません。
菅首相のままでも野党の協力を得て迅速かつ的確な立法が行われるのならいいのですが、自民党などは「菅首相には協力できない」と対決姿勢を強めており、野党の協力を得るのは不可能な情勢です。
この政治状況が続くと、どうなるでしょうか。第1に震災対応のスピードの問題があります。政府が法案を提出しても、野党の協力を得て成立させるには、ひとつひとつ与野党協議を重ねなくてはなりませんから当然、時間がかかります。
また、法案を作成した段階で成立が約束された政治体制なら、成立を待たずして実施の準備を進めることができますが、成立するのかしないのか分からない状況ではそうはいきません。これでは一刻を争う被災者支援に遅れが生じてしまいます。
第2にビジョンに基づき整合性のとれた復旧・復興ができないという問題があります。菅首相は復興構想会議を立ち上げましたが、そこで仮にすばらしい復興ビジョンができたとしても、実行できる担保がありません。かなりの立法を必要とするからです。
与野党で個別に法案を協議して、合意したものだけ立法するというのでは、法案が成立しない政策は実行されませんから、ビジョンと実態とは大きくかけ離れてしまう恐れがあります。そうならないためには、やはり立法可能な政治体制のもとでビジョンを作成し、それに基づいて立法を行い、実行に移していくことが必要です。
第3に日本の先行きに対する国内外の信用の問題があります。今回の震災が日本経済にとって大きな打撃であることは間違いありません。日本経済はすでに莫大(ばくだい)な財政赤字と景気悪化から危機的な状況にありましたが、震災によってさらに日本国内の経済が冷え込み、国際的な信用も低下してしまっては、本当に危機に陥る可能性があります。
そこで重要なのは「日本はかならず復興できる」という安定した政治体制を築くことです。それによって先行きへの不安が解消されれば、国民の消費や企業の生産を向上させることも可能かもしれませんし、それを受けて国際社会の日本経済に対する評価が下がることも避けられるでしょう。
こうした点からも、日本の将来がどうなるかは、政治体制にかかっているといえます。さらにそうした体制を築けるかどうかは、事態を考えるとそれほど時間的な猶予はありません。「救国政権」を作ろうという機運が政界で高まっているのは、その危機感によるものです。
そのために首相を代える必要があるなら、躊躇すべきではありません。首相を代えることに対しては「政治空白を作るのではないか」という懸念や、「菅首相を代えてだれを首相にするのか」という戸惑いがあるのも事実です。
ただ、立法できない政治状況が続いてきたことを考えると、もうすでに「政治空白」は生じているわけです。これからも漫然と政治空白を続けるよりは、多少の混乱はあっても、それは最小限にとどめて、強力な政治体制を作る方が望ましいと思います。
また、「だれを首相にするのか」という点については、政治体制を属人的ではなく、組織的な観点から考えるべきだと思います。議院内閣制における首相の能力は、首相を支える政治体制が強力かどうかにかかっているからです。
一方、「救国政権」や「大連立」には、「国会で与野党の健全な議論が行われなくなる」という批判的な見方もあります。確かに平時においてはそうかもしれませんが、未曽有の国難に直面していることを考えれば、私は「救国政権」が必要だと考えます。
ただ、その観点からも「救国政権」はあくまで震災対応の初動に対応する、復旧・復興の道筋をつけるということを目的として、「1〜2年」とか、「次期総選挙まで」などと、期間を限定することが望ましいと思います。
今回の東日本大震災はその被害規模に加え、深刻な原子力事故を伴っていることを考えれば、日本の歴史に残る国難であることはいうまでもありません。ひとりひとりの政治家がどう行動し、どういう結果を出したかも歴史に刻まれることになります。
政治を取材している一人として、最近の政治家のレベル低下は否定しがたい事実ですが、国難を目の当たりにしてもまだ「仕方がない」「何とかなるだろう」などという感覚で、政治をやられたのではたまりません。政治家には被災者をはじめとする国民全体、国家を考えて、果敢に行動してもらいたいと思います。
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