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「東日本つぶれる」「20年住めない」…首相は「歩く風評被害」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110422/plc11042223130035-n1.htm
2011.4.22 23:11 :産経新聞
東京電力福島第1原子力発電所の事故は、放射性物質(放射能)をまき散らすだけでなく「風評被害」という副産物も生んだ。菅直人首相は22日の記者会見で「外国首脳が日本に駆けつけ『ある部分を除いては外国人が来ても大丈夫だ』『いろんなものを食べても大丈夫だ』と発信してくれている」と人ごとのように語ったが、ちょっと待ってほしい。事態をより深刻にしてきたのは首相自身ではないか。
「思いつき」だけの軽はずみな発言を続ける首相はもはや「歩く風評被害」というほかない。
「最悪の事態となったとき東日本はつぶれる」
「(福島第1原発周辺は)10年、20年住めないのかということになる」
これまで首相はこんな風評を流した。行政の長でかつ「ものすごく原子力に詳しい」と自負する人がこんな無責任な発言をすれば、国内外で「日本、特に福島県の製品・産品は危険なのではないか」と不安が広がっても仕方あるまい。
後者の発言について、首相は直後に「私は言っていない」と否定したが、それならば、なぜ発言を流布した松本健一内閣官房参与を解任しないのか。枝野幸男官房長官が「適切な対応を検討する」と解任を示唆してもなおかばい続けるのだから「やはり首相の発言だったのではないか」との疑惑が深まっても文句は言えないはずだ。
15日には、風評被害払拭を求めて首相官邸を訪問したJA福島の代表団からイチゴとキュウリを差し出され、いきなりこう尋ねた。
「このまま食べても大丈夫ですか?」
「悪気はなかった」と信じたいが、まるで野菜の放射能汚染にビクビクしているかのような言いぐさではないか。これでは風評被害を払拭するどころか、助長しかねない。
「福島ナンバーの車が止まっていると『どけ』といわれる。福島県から他県に避難した子供が学校で『放射能がついているんじゃないか』といわれる」
衆院福島3区選出の玄葉光一郎国家戦略担当相はこう訴えた。私事で恐縮だが、私も自家用車は「いわきナンバー」で義父母は福島県に暮らす。首相はこの窮状をどう受け止めているのか。江田五月法相は「根拠のない思い込みや偏見で差別することは人権侵害につながりかねない」と風評被害を断罪したが、この言葉をそのまま首相にぶつけるべきではないか。
首相は22日の記者会見で東日本大震災を「危機の中の危機」と断じた。そう認識しているならば毎日国民の前に姿を現して風評被害の根絶を訴えるのが筋だといえる。日本の食料品や製品に海外から疑惑の目が向けられることにも「政府の情報発信のあり方が不信を招いているのではないか」と自問し、誤解を解く努力をすべきだろう。
にもかかわらず首相は大震災発生以来一度もぶらさがり取材に応じず、官僚や政治家の足が遠のいた首相執務室で、次々に内閣官房参与に起用した原子力専門家らと連日「雑談」に興じているそうだ。自らの説明責任を果たさないまま、参与らを通して風評被害を垂れ流すとは…。
震災発生後1週間ほど首相が周囲を怒鳴り散らしていたことは有名だが、怒鳴られた秘書官らは「きょうは何ミリシーベルト被曝(ひばく)した」と言い合っていたという。
極めて不謹慎なジョークではあるが、首相がもはや官邸で「放射能」扱いされていることだけは疑いようがない。(阿比留瑠比)
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