日本の原発、ここが危ない! 原発技術のほとんどはアメリカで開発されている。現在の原発は基本的にアメリカとフランスで開発されたものだ。だから、当然、アメリカやフランスの自然条件が前提となった開発がされてきた。日本と違うのは大きな地震が起こらないことと岩盤が日本に比べてはるかに強固である点だ。また、人口に比べて国土が広いという点もある。これらのことが日本にとってとても危険な技術をアメリカやフランスではどちらかと言えばあまり危険ではないと意識させてしまっている。以下、具体的に、日本の原発の何が危険かを述べる。
1.日本は地震の頻発国であり、しかも、関東地方などは過去の活断層が地表面の厚い堆積層によって隠されていて、活断層がどこにあるのかさえなかなかわからない。アメリカは活断層が比較的地表面にはっきり見える場合が多く、一般市民がどこに活断層があるかを比較的簡単に知ることが出来、その結果、原発反対の運動が市民レベルの知識によって裏打ちされるが、日本の場合、活断層がどこにあるかなどの検証は学者に頼るしかなく、一般市民が直接知ることが出来ない。結果的に、浜岡原発とか伊方原発のように大地震の震源域の真上に原発が作られてしまった。
2.アメリカやフランスの原発は戦争や飛行機の落下などに備えた構造をしているが地震に関してはあまり考えていない。つまり、地震に対しての国際的な耐震設計の基準ができていない。その結果、日本では勝手に限界地震とかの大きさを定めて耐震設計をやっているが、全て、机上の計算であり、実際に想定内の揺れであったとしても本当に耐震性があるのかどうかは確認されていない。つまり、現実に大きな地震に原発が直撃された例は世界でまだ一例もない。大きな地震が原発の最も近くで起こった例は2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発の約30kmほど離れた地点だった。マグニチュードは7.8で、日本で起こる地震としては決して最大とは言えないもので、かつ震源も離れていたが、柏崎刈羽原発は原子炉の真上にあったクレーンの車軸が折れ、原子炉建屋のすぐ横の地面が2m近く地盤沈下し送電管が折れてそこへ変圧器から絶縁オイルが何トンも漏れて引火した。油火災用の消化器が原発内になくて数時間燃えるに任せるしかなかった。また、冷却系統が故障し、核暴走という福島第一原発での事故と同じことが起こる一歩手前まで行った。今回の東北地方太平洋沖地震も震源は原発から100q以上離れていて揺れ自体は大きなものではなかったはずだが、どの程度の被害で済んだのかの情報公開は未だにない。つまり、今回の福島原発事故は津波の危険性だけが言われているが、地震に対する安全性が証明されたわけではない。津波にしても地震にしても、世界的に標準化された耐震設計は未だにない。日本は、そういった耐震設計の実証実験をやらされているようなものだ。
3.やわらかい地層だと揺れが増幅されるので、原発は固い岩盤の上に直接建設される。これは横揺れが軟らかい地層で増幅されるから。しかし、縦波による縦揺れは固い岩盤のほうがよく伝わり減衰しない。つまり、日本のように地震の多い国では直下型の地震が原発を直撃する可能性があり、その場合、地震の縦波、つまり、衝撃波が原発をほとんど減衰することなく襲うことになる。ところが、原発を大きな地震が直撃した例は世界で一例もないから、縦波の影響がどの程度のものか、まったくわかっていない。おまけに、耐震設計のほとんどは横揺れに対して行われていて縦揺れ、縦波に対しての耐震設計はほとんどきちんとしたものが開発されていない。
4.上に述べたことと関連するが、日本の原発が建っている岩盤は実際には泥岩や砂岩であり、岩盤としてはとても脆いものだ。浜岡原発の建っている岩盤など手で割れるほど脆いものだ。つまり、縦波をよく伝えるが横揺れに耐えるほど堅牢でもないと言うことだ。
5.地層や岩盤が弱いということは、安定した地盤がないと言うことであり、高レベル核廃棄物の地層処分ができない。フィンランドやアメリカは10万年とか100万年の地層の安定性を求めているが、日本にそんなに長期間安定した地盤はない。
アメリカと日本は自然条件が異なるのに、それを無視してアメリカより10倍以上の高密度で原発を作ってしまった日本は、国内に原発時限爆弾を50機以上抱え込んでしまったようなもの。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<528>>