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東京電力から原子炉の安定化の工程表が出されました。おそらくこれは福島県の佐藤知事の意向を受けた政府が東電に描かせたものだと推測します。しかし、地方自治体も国も一体いつまで同じ過ちを繰り返すのでしょうか。もうそろそろ原子力災害というものが通常の事故や災害とはまったく性質が異なることを理解して、地元住民に率直に理解を求めるべきでしょう。
まず、簡単に今回出された工程表を見ておくことにします。現状では、1〜3号機までの原子炉は、程度の差はあるかもしれませんが圧力容器、格納容器とも損傷していることは明らかであり、地下水に高濃度の放射性物質を含んだ汚染水が流れ出していることから原子炉建屋の底部もかなり大きく損傷していると考えられます。
このような状況で注水を行いつつその一方で莫大な量の放射性物質を含んだ汚染水を排水し、圧力容器の新規の循環冷却システムを構築するなど、画餅以外の何物でもないでしょう。この工程を実現するにはまず手始めに原子炉圧力容器、格納容器、建屋からの漏水箇所を発見し、これを補修しなければなりませんが、現状ではそれが出来るとはとても考えられません。
原子炉建屋内の放射線レベルは、1号機では10〜49mSv/h、3号機では28〜57mSv/h程度であり、緊急事態に対する引き上げられた作業員の年間被曝線量をわずか4,5時間で浴びてしまうほど強烈なものです。このような高放射線レベルの劣悪な条件の下で、原子炉建屋内に作業員を入れて圧力容器や格納容器の漏水を止め、新たな循環冷却システムを構築するという困難な作業が出来るとは常識的には考えられないでしょう。根本的にこの工程表は見直す必要があるでしょう。
もっとも、この工程表を出した東電としても、この工程表はあくまでも机上の空論であることは十分に承知した上で、政府や福島県知事をとりあえず黙らせるためにそれらしい内容をまとめたに過ぎないと認識していると思います。
住民からいつ帰れるのかと突き上げられた無能な知事が現状を冷静に判断する能力が無く、そのまま政府に伝え、仕方なく東電が住民を沈静化させるためにとりあえずの絵を描いたというのが真相だと考えます。今回のあまりに楽観的な収束工程表に対して、海江田や菅は出来ればさらに前倒しで工程を進めるようになどという大馬鹿としか言えないコメントを出す始末です。
この工程表を受けて枝野は避難住民が帰れるのは数ヵ月後以降であるなどという空手形を切る始末です。住民にとっては本当に厳しい現実ですが、原子炉が仮に安定したからといって放射性物質で汚染された地域に戻ることは出来ないと早く住民に対して納得を得るように説明を尽くすことこそ行政の勤めだと考えます。
このような、政府や東電の事故発生以来「一貫した」楽観論=『風評』によって住民は裏切られ続けており、その結果住民の中に混乱と不信感が膨れ上がり、事故に対する本格的な対応が遅れているのです。政府や自治体は事態を科学的・客観的に直視し、それを誠実に住民に語るべきことに早く気づくべきです。おそらくこのままではこの工程表は早晩破綻することになるでしょうが、その時さらに住民の混乱が増すことになるのは必定です。
http://chikyuza.net/n/archives/8871
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