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菅直人首相→閣僚→「復興構想会議」など20の対策本部→各省閣僚→被災各県庁(岩手、宮城、福島など)→被災地域の市町村→被災地域住民という縦系列のパイプが、目詰まりしている。
東日本の各県は、保守基盤が根強く、「自民党王国」を支えてきた住民や農業漁業・企業関係者が少なくない。民主党内野党的な存在になっている小沢一郎元代表が自民党と同質の保守基盤に依存している。
今回の東日本大地震・大津波・福島第1原発大事故による大被害から立ち直るための「復旧・復興事業」が遅々として進まない最大の原因は、菅直人首相による統治が、途中で切断していたり、ショートを起こしていたり、さらには、末端部分で極細になっていたりしていて、行き届いていない点にあることを看過してはならない。
これを細かく見ていくと、菅直人首相の統治能力のなさと、統治の欠陥が改善されなければ、多くの被災民が、現在のドン底生活から長期間にわたり這い上がれないという最悪の事態に陥る。
@菅直人首相は、人の言うことを聞こうとせず、独善に陥っている。各省官僚を信用せず、また、上手に使おうとしない。官僚も菅直人首相からそっぽを向いている。
A各省官僚は、世界に冠たる「シンクタンク」としての機能を果たしてきたが、菅直人首相は、この機能を頑固なまでに使おうとせず、それに代わるシンクタンクとして、「復興構想会議」など20の対策本部を設けて、復旧・復興事業を組み立てようとしている。
Bしかし、いくら立派な復興ビジョンを構想しても、これを実行に移して、実現する手足を持たなければ、絵に描いたモチである。
このため、国民新党の亀井静香代表の提案である「実施本部」(復興対策を話し合う与野党協議機関)を設置して、国土交通省、環境省などの官僚を「間接的に動かそう」と画策した。亀井静香代表が、警察官僚出身であり、村山富市政権の運輸相、橋本龍太郎政権の建設相を歴任しており、「国土交通官僚などを動かせる政治家」としての「政治力」に期待したのである。
だが、亀井静香代表が、巨額の復旧・復興予算を牛耳ろうとしている「下心」が見え透いていることから、野党自民党はもとより、民主党政権内からも異論が噴出していて、「実現困難」の形勢だ。朝日新聞asahi.comは4月16日午後9時53分、「『首相の名代』名乗り亀井氏奔走、与野党とも冷ややか」という見出しをつけて、こう報じている。
「国民新党の亀井静香代表が『首相の名代』を名乗り、東日本大震災の復興対策を話し合う与野党協議機関をつくる構想を掲げ、野党との調整に奔走している。しかし、野党はおろか政権内の反応もいま一つで実現は難しそうだ。この構想は13日夜、菅直人首相、亀井氏、北沢俊美防衛相の会談で浮上。
名称は『復興実施本部』で、首相が本部長、亀井氏が本部長代行に就き、野党幹部が入る。復興政策に関する中央省庁の権限を実施本部に集約し、内閣は実施本部の案を丸のみするという大胆な構想だ。亀井氏は以前から、明治憲法下で天皇の最高諮問機関だった『枢密院』をモデルに『非常事態対策院』構想を温めていた。
亀井氏は14日から、石原慎太郎東京都知事や自民党の派閥領袖に電話し、『総理は私にすべて任せるということだった』と理解を求めた。ただ、そもそも首相と亀井氏がどこまで腹合わせしたのかは不透明なうえ、亀井氏の影響力が増大することから、政界は与野党問わず否定的だ。
亀井氏から打診を受けた自民党の谷垣禎一総裁は『それはちょっと……』と断ったという。内閣が近く提出する復興基本法案は全閣僚が加わる『復興対策本部』を司令塔と位置づけている。枝野幸男官房長官は『現時点で具体的指示があるわけではない』と突き放しており、亀井氏肝いりの構想は宙に浮きそうだ」
C各省閣僚→被災各県庁(岩手、宮城、福島など)のパイプも、決して意思疎通が十分であるとは言えない。読売新聞は4月17日付け朝刊「総合面」(2面)の企画記事「検証東日本大震災」のなかで、こんな実例を書いている。
「鳥取県知事を務めた片山総務相は震災直後から、市町村の行政機能の回復に向けた対策を指示したが、総務官僚の反応は鈍かった。片山氏の命令で総務省の職員2人が岩手県庁に派遣されたのは3月17日のこと。『菅政権が官僚をうまく使いこなせないことが、対応の遅れにつながった』(省庁幹部)との批判も強い」
前にも、このブログで述べたが、総務省の前身である内務省が、GHQの指示で全国に向けて発した命令を、わずか15分で津々浦々に伝えたという事実と比べると、隔世の感がある。内務省(泣く子も黙る「特高警察」を持つ)が、それほどの権力を持っていることを知り、恐怖を覚えたGHQは、内務省を廃止してしまった。
D保守基盤が根強く、「自民党王国」を支えてきた住民や農業漁業・企業関係者たちが、野党に転落している自民党にいろいろ陳情しても、民主党の菅直人政権に伝わりにくい。この点について、朝日新聞は4月17日付け朝刊「4面」で、「自民の看板 無力感」−「地元被災地の要望 与党なら、大連立なら」「支援・復興 応えきれず 支持者離反も懸念」という見出しをつけて、自民党の大島理森副総裁が、「政権中枢への影響力をなくして要望を実現させるのが簡単ではない」という境遇のなかで悲哀を噛み締めている姿をレポートしている。
労組などをバックにしている民主党サイドからも、保守基盤へのアプローチが難しく、地域住民の要望を吸い上げるのが、容易ではない。同じ日本民族でありながら、食べ物が違う異民族どうしの関係にも似ている。
http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken
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