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原発と震災被害にどう向き合うか 政府は大変だ。事故ってしまった福島第一原発をどう始末するか。そして、地震と津波で壊滅した被災地域の復興をどうするか。福島、宮城、岩手の漁業用船舶の9割ほどが津波で壊されたと言う。その多くは海岸線を超えて路上や農地に放置されたままで撤去が必要だ。農地もJR山手線の囲む面積の数倍にもなる地域が海水をかぶり、淡水で塩分を洗い流し、土壌の入れ替えをしなければいけないと言う。 これらの復興費用だけで20兆円を超す資金が必要だと言われる。 そして、それプラス原発事故がある。そして、こちらはまだ事故処理が続いていて、今後、一層過酷事故化する可能性がある。そればかりか、今後数年の内に、浜岡原発や若狭湾にある合計20機にもなる原子炉が巨大な地震に直撃されいっきに大規模な放射能漏れ事故になる可能性もあし、全国各地に散らばる54機もの原子炉が地震の直撃を受けて過酷事故化することも予想されている。特に、浜岡原発は東海地震の震源域の真上にあり、強烈な縦波、つまり、衝撃波の直撃を受け、制御棒が作動するよりも前に原子炉全体が大きく壊されてしまう可能性がかなり高いと思う。日本は勿論、世界の国々も含めて直下型巨大地震の縦波、衝撃波がどの程度の破壊力を持つのかの検証は一切行われていない。また、もともと、縦波による縦揺れへの耐震設計はされていないはずだ。何年か前に耐震偽装の問題が表面化した時も結局この問題は隠されたままになってしまった。 4月14日に政府肝いりの「復興構想会議」が開かれ、議長の五百旗頭真防衛大学校長が今後の復興ビジョンを6月には答申するとのこと。基本方針が5つあり、その中には「安全安心の水準に加え、クリーンエネルギー社会、高齢化社会の福祉をも視野にいれた街づくりを。新しい時代の先端モデルを取り入れ、それが全国水準たるべきものとする。(南海・東南海大津波を考えれば、日本の全地域の共通的問題である)」との文言がある。これだけ見ると原発に頼るエネルギー政策からの脱却を目指すように思える。しかし、http://www.47news.jp/47topics/e/205058.php によると、「原発の技術的な問題を議論することはできないが、原発を含む複合災害として国民全体で考える姿勢が大事だ」と五百旗頭真議長が述べたと言う。つまり、原発に頼るエネルギー政策の是非は論じないと言うことのようだ。 しかし、これは明らかに矛盾している。福島県浜通り付近を震源にした余震がマグニチュード4から5以上の大きさで頻発している。いつ、福島第一原発の直下で地震が起き、いっきに過酷事故化するか分からないのが現状だ。日本全国の原発が直下型の地震に襲われて、燃料棒が起動する前に大規模な原子炉崩壊に至る可能性はかなり高い。だから、本来、「復興構想会議」だけでなく、国会や県会議、市議会で将来のエネルギー政策を原発に頼ったものにしていくのかどうか、その結果、大規模な原発震災になった時の被害をどうするのか、それが話されなければいけない。マスコミは原発の存続の是非と、代替えエネルギーとしての地熱についてもっと報道をするべきだし、電力会社自身が自分たちがどの程度のリスクを背負って原発事業をやっているのか、それを正直に一般市民へ説明しなければいけない。 少なくとも、福島第一原発は未だ放射能漏れが収まっていない。福島県だけでなく、宮城県を初めとする東北地方一帯から関東地方までかなり強い放射性物質での汚染がされる可能性は多分何割という確率であるはずだ。だから、もし、アメリカで同じような事故が起こっていたら、周囲80kmの住民はとっくの昔に退避させられていて、今後の地震確率が日本と同じようにあるとされたら、確実に半径200kmほどの範囲は居住不可とされているはずだ。日本でそうしないのは、アメリカなどの諸外国に比べて、原発がもともと都市部の近くに建設されているため、あまりに影響が大きくなってしまうからだろう。 このままで行くと、今年の夏から秋にかけて原発震災がいっきに過酷化し、せっかく被災者の方たちがそれぞれの住宅で落ち着いた生活を始められたとき、またそれが破壊されることになりかねないと思う。だから、いろいろ困難な点はあるだろうが、過酷事故化のリスクを被災地域の人たちへ丁寧に説明し、現状の半径20kmという退避エリアをもっと大幅に広げる必要があると思う。 そして、その上で、なるべく早く、原発に頼るエネルギー政策をどうするか、地震や噴火などのリスクをよく説明したうえで国民的な合意をとることだ。その間、少なくとも浜岡原発は停止しておく必要がある。停止しておいても、核燃料は炉心に装てんされたままで、冷却の必要があり、直下型地震で原子炉ごと破壊されてしまう可能性が高いと思うが、それでも、運転したままよりはいいはずだ。 普通に考えれば、日本で原子力を続けることは不可能だ。原発が事故らなくても使用済み核燃料の処分ができないからだ。仮に六ヶ所村の再処理施設がうまく稼働したとしても、最終的に高レベル核廃棄物が出るわけで、日本の地層に数十万年という期間安定して保管できる場所などありはしない。正直に述べれば、既に何万トンにも上る使用済み核燃料が出てしまっているので、日本のどこかの地域は将来確実に破滅だ。地下水は汚染され、地表にも放射性物質の漏れ出しが起こるはずだ。ただ、それが数十年、または、数百年、または、うまく行けば数万年先のことになるかどうかというだけの話だ。 普通に常識的に考えて原発を止めれば、代替えエネルギーは地熱しかない。今、急に、家庭用バッテリーとして200万円ほどもする蓄電池の販売が計画されているようだ。これは単に今年の夏に予想される電力不足対策ではないだろう。太陽光発電をにらんで、そのためのバッテリー普及もにらんだものであるはずだ。しかし、200万円という価格はバッテリーとしてとても高価だし、太陽光発電自体も1kwh50円ほどのコストがかかり、今後、大量生産や技術革新があったとしても、2倍程度の電気代値上げという結果になるはずだ。それに対して、地熱なら、既に十分に商業発電に耐える実績があるし、国立公園内での開発規制などを工夫すれば今以上に安価で安全な電力供給が可能だ。また、地熱発電は今後の技術開発の余地がまだまだあり、この数年でまとまった資金を投資すれば、地域への温熱供給もでき冬場の温室農業などを可能にした地域開発ができる。これによって食糧自給率の向上が望めるし、やりようによっては食料自給率100%の達成も可能だ。地熱井戸は普通2000mほどの深さになるので温泉の泉源よりもずっと深い。だから、普通に地熱発電をやる分には温泉業界との競合は起こり得ない。また、地熱井戸を地震や噴火、または、津波の予知に役立てることもできる。 現状は、福島県知事でさえ、原発に頼るエネルギー政策の見直しを言い出さず、被災3県知事はどなたも福島原発事故の過酷化に触れていない。2004年のスマトラ島沖地震の2倍を超える規模で余震が起こっているのだから、誰が考えても、福島第一原発の事故の過酷化はかなりの可能性のあることだ。それを、あたかもそういった危険性がないかのように誰もが振る舞っている。あまりに異様としか言いようがない。 今回の地震は869年の貞観三陸地震の再来とも言われる巨大なものであり、このころは富士山の噴火や東海、東南海、南海地震の同時発生などもあったとされる地震・噴火災害の頻発期だった。つまり、今後、数年から数十年でこれらのことが起こる可能性が高く、これらの地震・噴火に対する安全性は想定でしか担保され得ない。 以上のことから、極めて常識的に原子力からの脱却と地熱発電の大規模開発しか今後の日本が進む道はありえないはずだが、一般市民も入れて、政治家、マスコミ、学者の方たちはそれでも原子力を続けようとするのだろうか? *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<519>>
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