http://www.asyura2.com/11/senkyo111/msg/402.html
Tweet |
平成23年4月4日発売
小学館 通知
「圧送車」が3日遅れた理由
菅政権が許し難いのは、嘘をついた動機である。徹頭徹尾、政治家として失格だった。
事態が完全に自分の能力を超えた枝野氏は、避難指示が出ている原発20`圏の住民の怒りにおののき、突然「一時帰宅を検討している」と発言したかと思うと、すぐに撤回し、今度は20〜30`圏の住民に、「自主避難を積極的に促進する」と言い出した。もう知らん。家に帰るも逃げるも勝手にしてくれ≠ニいわんばかりだ。この緊急事態に、国民の生命・財産を守るという政治家としての最低限の責任感を喪失してしまったのである。
もっと罪深いのが民主党幹事長の岡田克也氏だ。本誌は、以下の話を開いて言
葉をなくした。
原発の注水作業では、50b以上のアームを持つ生コン圧送車が活躍した。「民間からの決死隊志顧」として国民も大いに称賛した。
が、この経緯には「政治的駆け引き」があった。
最初に提供を申し出たのは日本にある3台のうち2台を保有する三重・四日市の「中央建設」だった。17日に2台の車両をオペレーターとともに待機させ、元経産官僚で現在、三重県知事選に立候補している鈴木英敬氏を通じて東京電力に「提供する用意がある」と申し入れた。
東電はすぐに謝意を伝えたが、なぜか結論が長引き、同社に正式要請が来たのは20日の夕方だった。福島到着は21日。3日も得たされたのである。
しかも、その間に官邸は輸出のため横浜港にあった独企業所有の圧送車を徴用≠オ、先に現地入りさせると、22日から注水作業を開始した。そして、現地入りして待機していた中央建設の2台は、「もういい」と引き返させたのだった。
政府・与党の橋渡しをする政権幹部の話を聞こう。
「選挙戦が激しさを増している三重県知事選は、岡田幹事長のお膝元で負けられない戦いだ。最初に申し出た中央建設は、自民推薦の鈴木候補の後援企業で、同社の機械が使われれば敵の手柄になる。圧送車を巡る混乱の背景に、政府内部の配慮≠ェあったことは間違いない。岡田さんも、政府・与党の協議でその経緯を知っていたはずだ」
しかも、結局政府は1号機にトラブルが発生したといって、一度は三重に戻っていた2台を24日になって呼び戻している。
中央建設の役員は、「国の役に立てるなら、いつでも提供します。わが社への要請が遅れたのは釈然としないが、この非常時に与党支持か野党支持かは関係ない。政治的思惑などなかったと信じたい」と語る。為政者より民間人のほうが「国を思う気持ち」が強いのは、誇るべきことでもあるが、国家的危機でもある。
なにしろ、岡田氏はこの震災さなかにも政治資金集めの会合を開いていた。3月14日に大阪で「朝食会」を催し、一人2万円もの会費を集めたのである。
会見でこれを追及されると、「売ってしまった券をどうするのか」「私は出席しないことにして開催した」と言い訳に終始したが、自分が出ていないなら、まさにカネ集めが目的ではないか。この人が「議員歳費を削って震災復興予算に回す」といっても空々しい。
そして菅首相は、もう完全に当事者能力を失った。
東工大で応用物理を専攻した首相は、「私は原子力に詳しい」と吹聴していたが、専門家には「臨界って何だ」と初歩的質問をして.失笑を買い、原発視察も「勉強のため」だったことを班目春樹・原子力安全委員会委員長にバラされた。この人が「空きカン」であることは、もはや誰も否定しないだろう。
その「頭が空っぽ」を隠すために、震災翌日に原発視察のパフォーマンスをしたことは致命的だった。これにより、炉心の圧力を下げる「ベント」作業が遅れたと指摘されているが、菅氏はなんと「行く前からベントの指示はしていた」と反論したのである。
「ベントすれば放射性物質が漏れることになる。その場に総理大臣が行くことは危機管理上も間違だし、総理が来るといえば、現場はベントを延期するだろう。
それに、ベントという重大な決断、作業をしているさなかに勉強のために視察≠ネど言語道断だ」
原発の安全基準に詳しい技術者はそう絶句した。
(写真)最初に名乗り出た圧送車には不可解な「待機指令」が(右は独プツマイスター杜提供の圧送車による注水作業、下は岡田幹事長)
「原発連立」で政権批判中止
奇妙なのは、ここまで菅政権が対応能力を失っているのに、野党が批判を自粛≠オていることだ。原発視察の件も、本来なら国民を危機に陥れた重大な失策であるのに、自民党は参院予算委貞会でチラツと指摘してみせただけだ。幹部からの非難声明や辞任要求は全く出ていない。
裏は簡単だ。民主・自民両党の間で「震災復興大連立」の談合が進められていたからである。
工作の中心が、官房副長官に返り咲いた仙谷由人民だった。
仙谷氏が自民党と「大臣3人増員」で密約したことは前号で報じた。その仙谷氏の下で自民党と野合を進めているお庭番≠ェ、望月暗文・前経産事務次官と財務省出身の前田匡史・国際協力銀行部長とされる。
2人は仙谷氏が官房長官時代に内閣官房参与に起用したブレーンで、共通項は「原発利権派」である。
菅政権は昨年10月の日越首脳会談で、ベトナムの原発2期工事(総額7500億円)の独占交渉権を獲得した。当時の仙谷官房長官−前原誠司・外相の「新利権Lと騒がれたものだ。なぜ「新利権」かといえば、これまで原発は、自民党中枢部の不可侵領域とされてきたからである。
「半世紀にわたる原発推進政策は、自民党、特に保守系派閥の大利権だった。原発輸出も森政権時代に始まった事業で、推進役が望月前次官。カザフスタンからのウラン調達や、09年の日露原子力協定を手がけた。
当時は森喜朗・元首相や与謝野馨氏(現経財相)、甘利明・元経産相に食い込んでいたが、民主党政権になって仙谷氏と結びついた。
望月氏を通じて自民党の政策を引き継ぎ、前田氏を使ってベトナムでの原発受注を成功させたのが仙谷氏だった」(原発輸出に関わってきた民主党議員)
そして、よりにもよってこの原発危機のさなかに、「原発利権」を接着剤にして与野党が結びつこうとしているというのだ。
ベトナムとのパイプを持つ森側近議員がいう。
「森さんは民主党政権になっても、水面下で仙谷氏らの原発輸出を後押ししてきた。今年2月には前原氏に会ってエネルギー外交をアドバイスしたほどだが、この事故で苦労が水の泡になりかけている。ベトナムからも、安全性に関する質問が矢継ぎ早にきている。仙谷氏の今の仕事は、ベトナムをなだめることだが、それも限界がある。井戸を掘った人≠ナある森さんらが政権内部に入り、バックアップする必要がある」
それが大連立の原動力だというのである。確かに、森氏や、同じ派閥の安倍晋三・元首相は積極的に大連立を唱えている。
日本の原子力政策は、経産大臣(通産大臣)を経験した森氏、平沼越夫氏(たちあがれ日本代表)、甘利氏、与謝野氏ら自民党商工族が望月氏らエネルギー官僚と組んで推進し、役人は電力会社や重電メーカーヘの天下りを拡大し、政治家は企業献金に加えて巨額の原発補助金の利権を得てきた歴史がある。
そこに食い込んで族議員の列に加わったのが仙谷、前原両氏らで、「新利権」も「旧利権」、と共存共栄関係にあった。今回の原発事故で、自民党が民主党を批判せず、民主党も自民党の原発政策を批判もないのは、すでにスネに傷がある者同士、野合ができあが?ているからなのだ。
震災後の共同通信の世論調査によると、菅政権の原発事故対応を6割近くが評価せず、首相のリーダ―シップにも6割以上が否定的だったが、政党支持率では自民党が民主党以上に評価を下げていた。国民はわかっているのだ。だからこそ
「お互い、痛い腹の探り合いはやめよう」という大連立が推し進められようとしている。権力者が相互監視、切磋琢磨をやめ、思考停止で一つ方向に走り出す今の政治は、まさに《大震災翼賛会》と呼ぶべきものだ。
これがどんな恐ろしい政治で、国をどんなに悪くするか、日本人ならば理解に言葉を要しないだろう。
菅首相の入閣の打診を谷垣禎一・総裁が断わった3日後、首相官邸では気味悪い光景が見られた。
自民党の大島理森・副総裁と石破茂・政調会長が仙谷氏を訪ね、自民党がまとめた震災対策を提案すると、仙谷氏は、[感謝する」と満面に笑みをたたえて受け取ったのである。その後、自民党執行部は統一地方選のパンフレットから民主党批判を全面的に削除した。
石破氏はテレビの討論番組でも「政策協議の土で連立ということでないと。自民党には経験のある人材がいる。最大限に生かしたい。
(民主党の)足を引っ張ることはしない」と、完全に翼賛政治にシフトした。
(写真)現地を訪れようともしない閣僚たち
(続く)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK111掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。