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2011年4月10日 (日)
子孫に超危険高濃度放射能使用済燃料は遺せない
福島第一原発での放射能放出事故は、人類に対する原子力利用断念を誘導する最後通牒である。
チェルノブイリ、スリーマイル島で、重大な事故が発生した。
日本でも、JOC東海村、関西電力美浜原発、東電柏崎原発で、重大な事故を経験して現在に至っている。
原子力の特徴は、ひとたび、大事故を引き起こせば、取り返しがつかないこと、使用済み燃料が数万年単位で、地球生命全体に深刻な影響を与え続けること、の二点にある。
日本ではこれから財政再建の論議が意図的に拡大されることになる。財務省、政府、大資本、御用学者、電波、そして多数の政党は、財政再建のための増税を主張するだろう。
その際、
「子や孫の世代に負の遺産を遺せない」
が常套句として使われる。
誰しも、子や孫の世代に負の遺産を遺してゆきたいとは思わない。
しかし、財政の場合、国の借金残高=国債残高が次の世代に引き継がれていくが、同時に国債購入者にとっての財産である国債も次の世代に引き継がれていく。引き継がれる国の借金と引き継がれる財産としての国債は、常に同額だから、あたかも借金だけが次の世代に引き継がれるというのは事実に反している。
たしかに、将来の世代が、ある時点で、国の借金の累積合計である国債残高の全額を税収で返済してしまうと、このときの納税者の負担は非常に重くなる。この場合には、借金で政府支出の恩恵を受けた世代が得をして、将来の国債の償還を行う世代が損をするということは生じてくる。
しかし、国債の残高を経済規模との比率で一定に保ち、常に維持してゆくなら、世代間の不公平は生じない。このときに、国債残高をゼロにする必要性もない。
国の財政赤字が拡大の一途を辿り、国債残高のGDP比が増大し続けることは問題だが、この程度の財政規律を守ることは現状では、十分に可能である。
実際、政府の財政赤字は、好況の局面では大幅に減少する。これが、不況になると、税収が減り、景気対策が必要になり、赤字が増える。
過去30年程度を振り返っても、1980年代後半はバブル景気で財政赤字が減った。その後、1990年代から2003年にかけては、バブル崩壊と失われた10年の不況で財政赤字が増えた。その後、2008年ころまでは、景気の緩やかな改善で財政赤字は減少傾向を示した。
ところが、2008年半ば以降、サブプライム金融危機が発生し、麻生政権が大型補正予算を組んだりしたので、財政赤字が急拡大した。
そこで、これからは財政赤字の縮小を真剣に考えなければならないと考えていたところに、今回の大震災が発生した。
こうなると、性急な財政再建はいったん先送りするしかない。国民の生命、安全、生活が何よりも大事だからだ。直ちに10兆円規模の補正予算を編成して、迅速に実行しなければならない。
ところが、菅、岡田、仙谷、枝野、玄葉、野田、などの各氏が内閣や与党の主要ポストにいて、頓珍漢な政策運営を行っている。日本の財政にどの程度の余力があるか、いま何が一番に必要か、どの分野にどれだけのお金が必要か、などの基本をまるで理解していない。
危険極まりない、これから廃絶に向かわねばならない原子力に膨大なカネを注ぎながら、放射能の危険に晒されている国民に避難の勧告さえ出さない。財政支出を節約するために、国民の生命を犠牲にしているのだ。
財政政策の話はまた別の機会にしっかりと記述する。
「子や孫に負の遺産は遺さない」を根拠に、財政再建=庶民大増税=社会保障支出切り詰めに突き進んでいるのが、菅−岡田−仙谷−枝野−野田−玄葉政権である。
財政再建を進めるなら、まず天下りを全廃することだ。原子力だけで、どれだけの天下り機関があるというのだ。原子力発電所を建設するのに、政府はどれだけの補助金を出しているか。原子力関連分野の科学研究費にどれだけの費用を投下しているのか。天下りで癒着している経済産業省が、電力会社に厳しい姿勢を取れるわけがない。
事業仕分けという名の学芸会は開催されたが、台本はすべてを財務省が書いていた。官僚利権を一切削らないための儀式に過ぎなかった。
官僚利権を100%温存して、国民生活を切り捨てる財政運営が許されるわけがない。まして、震災という天災と放射能地獄という人災で、国民の生活が根幹から脅かされているいま、政府が予算措置を取らずして、被災者が立ち行くはずがない。
さて、問題は原子力だ。「子や孫に負の遺産を遺さない」と考えるなら、脱原子力の方向に進むしか道はない。どれだけ万全を期したとしても、事故は起こるのだ。まして、115年前の地震の際に発生した程度の津波に対する備えもないような、気の緩み切った姿勢で原子力利用政策が行われているのだから、重大な事故が起こらないわけがない。
あげくの果てに高濃度の放射能に汚染された水を海に垂れ流しするなど、重大な法令違反行為である。警察当局は、今回の放射能放出事件について、刑事責任を問う捜査を直ちに開始するべきである。
今回の事故、事件は、原子力事象国際評価基準に照らして、すでにレベル6にまで深刻化していることは、明らかになっている事象から明らかだ。
福島第一原発の第1号炉では、すでにメルトダウンが生じ、格納容器に穴が開き、危険な放射能が大気に漏れだす状況に立ち至っていると思われる。
格納容器の底に落ちた燃料が核反応を再開する再臨界が、すでに低規模に始まっている可能性も高いと考えられる。
この第1号炉の格納容器の爆発が生じれば、まさにチェルノブイリの再現となる。レベル7の深刻な事態に至る。
絶対にレベル6をレベル7に移行させないための、全精力を注いでの対応が求められているが、東電および政府の情報開示が不十分で遅すぎる。
また、農産物や水産物について、「安全だ」と言うことよりも、「危険を排除する」ことに重点を置き、他方、農業、水産業生産者に対しては、生産物を国が全量を買い上げる措置を直ちに取るべきである。
放射能に汚染された農産物、水産物の出荷を解除しても、消費者が安全策を取って購入しなければ、生産者は途方に暮れるばかりである。
政府は政府の負担金を節約するために「安全だ」と繰り返しているように見える。基本スタンスが間違っている。
原子力発電を推進する勢力については、
「原発推進=人類滅亡導く米官業政電+学利権複合体」
に詳しく書いたが、すべてが「カネ」に群がる人々であり、民衆の幸福、生命、健康を踏みにじっても、自分たちさえ儲かれば良いと考える人々である。
最大の問題は、2010年6月2日クーデターで、政権交代後の政権が、この利権複合体=悪徳ペンタゴンに完全に乗っ取られてしまったことである。
大震災のさなかに統一地方選が行われる。この選挙を、反原発・脱原発の第一歩にすることが求められている。知事を選出する地域もある。とりわけ影響力の大きい知事選においては、脱原発=反原発を明言する人物に投票を集中させ、新しい時代の新しい政治のリーダーを選出してゆくべきだ。
次期総選挙までに、
「増税検討の前に天下り根絶」、
「増税の前に企業献金根絶」、
「脱原発・脱対米従属」、
の旗を鮮明に掲げる第三極を糾合してゆかなければならない。
「子や孫の世代に負の遺産を遺さない」ために、脱原発の方向を明確に打ち出さねばならない。
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