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2011年4月4日
一般家庭や企業の地道な節電努力で、予定されていた計画停電が不要になる日も増えてきた。だが、東京電力は、ひとまずの「回避」を強調するだけで、四月末まで継続する当初方針を変える様子はない。日本経済を疲弊させ、市民の命まで脅かす可能性のある「計画停電」を止めることはできないのだろうか。さまざまな節電努力と計画停電の“痛み”をあらためて追うと−。 (中山洋子)
◆百貨店、工場率先し節電
福島第一原発の事故後、飲食店やコンビニエンスストアなどはすぐに「節電」に取り組んだ。計画停電実施から三週間、看板のネオンが消えていても開店している状況には、すっかり慣れた。
大手コンビニチェーン「ローソン」では、夜間の店頭看板だけではなく、日中の店内照明の50%を消した。計画停電中は、レジを簡易バッテリーで動かして営業するが、冷凍食品の販売は中止。扉を封じて冷気を閉じ込めてしのぐ。
百貨店の節電も目立つ。東急百貨店は、震災翌日から渋谷・本店や吉祥寺店など首都圏の計九店で、エスカレーターやエレベーターの運転台数を減らし、一部のショーウインドーや天井の照明を落として節電。営業時間も短くし、電力を35%削減。
営業時間の短縮は売り上げにも響くが、渋谷駅・東横店などのフードコーナーでは、四月から営業時間を短縮したまま開店を遅らせ、帰宅客を見込む閉店時間を後ろにずらして節電を維持するという。
計画停電の対象地域にある町田や日吉、吉祥寺店では、実施前後に冷蔵や冷凍食品を倉庫に移動させる。広報担当者は「食品販売については地域の社会的な責任もある。可能な限り提供したいが、計画停電中は営業できない。夕方の一時間しか開けられない店もあった」と苦悩する。
街角では多くの自動販売機も照明を落とした。
日本コカ・コーラによると、夜道の街灯代わりとして防犯上必要なところを除き、首都圏と東北エリアでほとんどの照明を消している。担当者は「新しい機器は省エネが進んでいるので一概には言えないが、5〜15%の節電になる」とみる。
ちなみに、同社では災害時に無料開放される自販機を全国で六千台設置。今回の震災では少なくとも三百十四台の稼働が確認された。通常の自販機は停電時には金を入れても作動しない。計画停電の弊害を問うと「お買い求めになりたいときに提供できない。こればっかりは…」とため息が漏れた。
東京大学では震災直後から、病院などを除く暖房や空調、不要な照明を消したほか、大規模な電力を使う実験や研究をストップ。本郷や駒場、千葉県柏市など主な五カ所のキャンパスで、平日は最大五万キロワット前後の電力を使用するが、震災後は二万五千キロワット前後に半減させた。
例えば、東大の三月三十一日の節電効果は、一般家庭における一日の消費電力量で約三万六千世帯分。文京区世帯数の約35%に相当する。東大は「空調や照明などの抑制はできるが、いつまでも研究をストップさせるわけにはいかない」と頭を抱える。特に大幅な電力不足が心配される夏季も含めて、対策を検討しているという。
◆政府・東電の無策で疲弊
実際、こうした節電効果は大きく、東電が現在の最大供給力とする三千八百万キロワットを下回る日々が続く。にもかかわらず、なぜ計画停電は予定通りに組まれるのか。
東電の広報担当者は「気温の推移や節電へのご理解で、需要が低く抑えられ、結果として実施していない。ただ、節電しなくていいと思われると供給力は不安定になる。大規模停電を防ぐために、引き続き計画停電をお願いするしかない」と繰り返す。
だが、交通信号を止め、ライフラインをも“切断”する計画停電は、市民の命にかかわる。
東電は、大口需要の企業などと災害時に使用削減を要請できる「随時調整契約」を結んでいる。二〇〇七年の新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原発が被災して停止。同年夏には、その“伝家の宝刀”を抜き、十七年ぶりに同契約に基づく供給カットを実施した。東電によると、企業や自治体など七百事業者とこの契約を結ぶが、今回の震災では、三月十一日から十八日の間に計四日間要請した。
だが、被災した工場が稼働していなかったり、計画停電地域の企業も多かったため、実際に使用削減を要請した件数は多い日で四百五十件、節電効果は三十万キロワットにとどまった。また、二十二日にも電力不足を理由に計画停電が実施されたが、この時には随時調整契約に基づく使用削減は要請されなかったという。
大手化学メーカーの昭和電工(本社・東京)は、川崎や横浜、千葉など首都圏の五工場で、随時調整契約に基づく供給カットを受けた。しかも計画停電の対象にもなった。同社の担当者は「最低限の電力が供給される分、計画停電よりも随時調整の方がまだ助かる」と本音を漏らす。
被災で止めた工場も三月十七日から再稼働。自家発電の電力を東電に回し協力しているほか、同月末から計画停電にかからない夜間の時間帯に操業をずらした。「可能な限りのラインを止めているが、浄水場で使う水処理の殺菌剤や、火力発電用の薬品、医療用ガスなど緊急需要がある製品の生産を止めるわけにはいかない」と話した。
民間の努力や危機感に比べると、政府や東電の動きは鈍い。政府は夏の電力不足に向けて、大口需要者を対象に最大消費電力に限度を設ける「使用制限令」の発動を検討中だが、打開策は見えない。
計画停電頼みの“無策ぶり”に「すごくあおられている気がする」と不快感を示すのは、経済ジャーナリストの荻原博子氏。「随時調整契約を結ぶ大口事業者への供給を抑えれば、計画停電で社会全体に迷惑をかけないですむ。本当に全契約者に使用削減を要請しているのか。計画停電の被害を軽く考え、『やはり原発は必要』と思わせようとしているのではないか」
飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長も「戦時中じゃあるまいし、政府は何を考えているのか」とあきれる。「パニックになって無計画に始めたが、供給力からみて計画停電がなくても十分対応可能だ。一日も早く計画停電を見直してもらいたい。節電を呼び掛けながら、産業部門の随時調整契約を戦略的に拡張して、電力供給を維持するべきだ」と強調する。
飯田氏は「やろうと思えば明日にも計画停電を打ち切れる。その意思決定ができない。原発の事故処理とは別問題。菅内閣と東電、経済産業省はきちんとした戦略を立てねばならない。恐ろしいことだが、この期に及んでも、考えなしの計画停電を放置しており、戦略的に電力供給を考える陣容になっていない」
<デスクメモ> 駅や街の薄暗さにも慣れ、停止したエスカレーターを横目に階段を上るのも日常になった。避難所生活を思えば、不自由なことは何一つない。東電は「オール電化」で電気の大量消費を勧めながら、マスコット「でんこちゃん」で節電を呼び掛けていた。矛盾に満ちた会社の暗部に照明を当てよう。 (立)
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