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2011年4月 6日 (水)
原発事故加害者が被害額大幅圧縮に突き進む暴挙
福島原発で発生した巨大な放射能放出事故で、政府がかたくなに避難エリアの拡大に抵抗してきた理由がより明白になった。
原発周辺住民に対する損害賠償責任を算定するに際して、避難エリアのみを対象とする方針が垣間見えてきたからだ。
安全性を基準に避難エリアが設定されたのではない。電力会社と政府の損害賠償金額を節約するために、避難エリアを過小に設定してきたのだ。
政府は避難住民に対する損害賠償仮払金の支払いの検討に着手した模様であるが、損害賠償の金額を低水準に確定するために、慌ただしい動きを示しているとすれば言語道断である。
避難者の生活の不自由を考慮して、あくまでも「仮払い」とのことで支払うのであれば正当であるが、仮払いの水準に最終的な支払い水準を誘導しようということであれば、近隣住民は明確に拒絶の意思を示す必要がある。
1世帯当たり100万円との数値が報道されているが、桁がひとケタ違うだろう。近隣住民に責任はない。
電力会社と国の責任は何%であるか。
間違いなく100%である。
その理由は、4月4日付記事
「明治三陸津波規模で発生の原発事故は明白な人災」
に記述したように、
@事故発生の主因が大津波にあること
A津波の規模は115年前の明治三陸地震津波にほぼ匹敵する規模であること
B福島原発が明治三陸地震津波並みの津波に対する備えを欠いていたこと
にある。
安全対策に万全を期さなければならない原発の構造設計において、わずか115年前に発生した津波と同規模の津波を想定していなかったのは、明らかな安全設計義務違反であり、その責任は厳しく問われねばならない。
責任は東電と国の双方にある。
住民側の責任はゼロである。したがって、原状回復が事故発生責任者の負う賠償責任ということになる。
1世帯当たり100万円の補償で原状回復と言えるわけがない。避難住民8万人の全員に100万円を支払っても800億円である。最終的な東電と政府の負担金額を極小化するために、この金額が提示されたわけだ。放射能を撒き散らしたことの重大さを、これほどまでに軽々しく考えているということになる。
この規模の損害賠償で、重大な放射能汚染事故の損害賠償責任を国と東電が済まそうということになるなら、直ちに全国の原子力発電所に対して、運転即時中止の大住民運動が勃発するだろう。当たり前のことだ。
原子力発電が積極推進されてきたのは、
@電力会社にとって原子力発電がもっとも儲かる発電手法であること
A関連大企業にとって、発電所ビジネスがビッグビジネスであること
B関連学界にとって、原子力発電推進の論陣を張ることが、巨大な経済的利得を得る方法であること
C政治屋にとって原子力発電を推進することがカネを得る極めて有効な方法であること
D電波ビジネスにとって原子力発電を積極推進することが巨額の広告収入を得る方法であること
E霞が関官庁にとって原子力発電推進が天下り利権を拡張する有効な手法であること
によっている。
電力会社を中心に、政・官・業・学・電の五者が利権複合体を形成して、原子力発電を積極推進してきたのである。
住民は年中無休で生命のリスクに晒され、事故が発生すれば被曝させられ、自宅から避難させられ、あげくの果てに、およそ被害と見合わないカネを掴まされて、あとは泣寝入りしろと言うのか。これほど市民を愚弄する政府が、現代社会のどこにあるというのだ。
この原子力ビジネス推進の最大の問題点は、いざ事故を発生させた場合の損失が無限大に拡散することである。
今回の事故に伴う損害を正確に計測するなら、間違いなく10兆円は超えることになるだろう。このコストを厳しく当事者に背負わせなければ、また同じことが繰り返されることは火を見るよりも明らかだ。これをモラルハザード(=倫理の崩壊)と呼ぶ。
1999年に発生した茨城県東海村のJOC原発臨界事故では、避難エリアは350メートルであったが、150億円の賠償責任が生じた。面積は相似比の二乗に比例するから、これを半径20キロにあてはめて、150億円を乗じると約50兆円との数値が得られる。
避難範囲は本来、より大きく取られるべきであったし、近隣の農業、漁業に与える損害は計り知れない。これらを正確に計測して補償を行う必要がある。
東京電力の昨年3月末の純資産は2兆1607億円。原子力損害賠償責任保険と原子力損害賠償補償契約でカバーできる金額が1兆8160億円であるから、両者の合計である約4兆円よりも東電の損害賠償金額が大きくなれば、東電は債務超過になり、株主責任が問われねばならなくなる。
政府と電力会社には、事故に伴う損害額をできるだけ小さく計測する方向に強いインセンティブが働いている。どちらも、損害賠償金額を最小化したいと考える立場にある。
政府が安全性や被害規模を計測するのは、交通事故を引き起こした100%責任を負う加害者が、被害者の損害金額を査定しているようなものなのだ。
被害者が「痛い」と言っているのに、加害者が「だいじょうぶだ」と言って、損害がゼロに査定されているのだ。このような不条理がまかり通ってよいわけがない。
被害を受けている一般国民、漁業関係者、農業関係者が被害状況を計測して、被害金額を確定してゆかなければならない。
政府は、中立を装いつつ、先回りして損害金額を著しく不正に低い水準に誘導して確定しようとしている。その行為はもはや犯罪的ですらある。
20−30キロ圏を避難エリアに組み込むことは当然であるし、また、その外側でも累計放射線量が極めて高い地域は避難エリアに組み込まねばならない。
政府と東電の利益のために、国民に犠牲を強制する政府には、即刻退場してもらう必要がある。国民を犠牲にして原発事故発生の責任者を擁護する政府でなく、政府や電力会社に厳しく対処しても、国民の健康と安全を重視し、国民の権利を確実に守る政府を樹立しなければならない。
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