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「こんなときに」というか「この期に及んで」というか、菅直人首相は、挙党一致体制を築かないどころか、「小沢外し」に血道を上げ、その挙句に、4月1日の記者会見で「野党の力を借りて」という言葉を吐き、6月に首相の座を自民党に明け渡して「大連立政権」樹立を決意していると言われている。
これは、竹下登首相が1989年4月1日、難産の末に導入した消費税をスタートさせた後、リクルート疑獄事件により国会が空転状態に陥り、朝日新聞の世論調査で内閣支持率が7%に急落したため、4月25日、ついに政治不信の責任をとり辞意表明して退陣に追い込まれた前例が想起させる。竹下首相「とにかく予算を通してくれ。成立したら竹下首相は退陣する」と言って、本当に退陣した実例とされている。
竹下登首相の辞意を決意させたのは、経済同友会の石原俊代表幹事による竹下内閣退陣要求(4月21日)だった。竹下首相自身のリクルート疑惑も追及され、竹下首相の金庫番といわれた青木伊平が4月26日に自殺している。実際に政権交代したのは、宇野宗佑政権が誕生した6月2日であった。つまり、辞意表明から政権交代までに38日を要した。
しかし、問題は、菅直人首相が、これから6月までの2か月以上も、気力、体力を維持できるか否かだ。読売新聞は4月2日付け朝刊「総合面」(3面)に「記者会見で汗をぬぐう菅首相(1日午後、首相官邸で)=田中秀敏撮影」というキャプションがつけられた写真が掲載されている。白黒の写真ながら、目クマとあばたのシミ、むくんだ顔の表情から、過度の疲労、それも肝臓と腎臓を痛めているのが窺がわれ、相当限界に達してきている様子が読み取れる。
この点から菅直人首相の「野党の力を借りて」という言葉は、ある意味で「SOS」に聞こえるのだ。菅直人首相が心労を強める元凶となっているのは、菅直人首相自身が敵視している小沢一郎元代表と主導権簒奪を画策している獅子身中の虫である仙谷由人官房副長官の2人である。仙谷由人官房副長官は、菅直人首相が自ら呼び寄せたのに、寝首を掻かれそうになっている。
いずれも自ら招いた「元凶」であるから、だれも責められない。「官位討ち」という言葉が、むかしからある。このブログでも、ときどき解説してきたが、討ち取ろうと考える相手にわざと「高い位」を授けて、その任の重さで殺してしまうということである。菅直人首相の場合、自分で「高い位」(首相)を望んで戦い取ったので、正確には「官位討ち」に当て嵌まらないけれど、民主党代表選の際、「天命」を無視して、「党員・サポーター票」を茨城県つくば市内の集票所で操作したという確度の高い噂もあり、ある意味で「天」から「官位討ち」されているような感がある。
それでなくても、小沢一郎元代表を敵視して、「小沢潰し」に躍起になった政治家のほとんどが、「不幸な死」を遂げている事実を軽視べきではない。心臓疾患により、人一倍健康に気を使っている小沢一郎元代表の方は、むしろ、「人食って生きている」せいか、長生きしそうである。実に不思議なことだ。
@小渕恵三元首相→竹下派の後継争いに勝ち、小沢一郎元代表が自民党を離党、その後、自公連立政権を樹立するも、連立破綻した直後、在職中に脳梗塞で倒れて急死。
A竹下登元首相→米国最大財閥デイビッド・ロックフェラーの命令で「小沢潰し」を目的とするマスメディア関係者の集まり「三宝会」を組織して実行するなかで、急死。
B梶山静六元自治相→小渕恵三を竹下派後継会長に推し、長年盟友関係にあった小沢一郎が羽田孜を推したため対立し、「一六戦争」が勃発、後に、交通事故に遭い体調を崩して閉塞性黄疸になり、急死。
C橋本龍太郎元首相→竹下派後継争いで小沢一郎と対立、後に参院予算委員会で小沢一郎の腹心・平野貞夫元参院議員から中国スパイ女性との不適切な関係を追及され、さらに日本歯科医師会会長からもらった「1億円小切手」事件のため、過度の心労に悩まされるなか、腸管虚血を原因とする敗血症性ショックによる多臓器不全のため急死。
このほか、「不幸な死」ということではないが、「政治家としての死」の危機に瀕しているのが、「反小沢」に回っていた渡部恒三元衆院副議長である。通産相経験者であり、福島第1原発やプルサーマル導入の旗振りをした張本人として「原発で長生きできる」などと発言した責任を追及されている。
菅直人首相は、小沢一郎元代表に対し、「脱小沢」を標榜し、「民主党からの追い出し」の首謀者として、「党員資格停止処分」を断行した。このため、東日本大震災に遭遇して、岩手県出身の小沢一郎元代表に協力を求めることができないばかりか、いまだに「小沢潰し」を続けており、このために、極度のストレスに苛まれている。
獅子身中の虫である仙谷由人官房副長官に足下を脅かされ、いつ寝首を掻かれるか、油断もスキもない有様。これらにどこまで耐えられるか、と同時に、生命不安を抱えた菅直人首相が、自らの「命運」をいかに鑑定判断するかが、注目される。
http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken
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