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(日刊ゲンダイ2011/3/31)
2011-04-01(00:13)
「忍耐」や「我慢」が為政者の思うツボ
これほど無知無能な首相をこのままやらせていたら復興どころか破滅必至
―江戸時代以来「長い物には巻かれろ」のDNAを植え付けられ、お上に従順な庶民は津波原発大災害に襲われてもジッと我慢している
―なぜ無能な政府に抗議やデモが起きないのか、世界から見たらかなり不思議な国民
前衆院議員の保坂展人氏が先日、陸の孤島と化している福島県南相馬市に入った。福島第1原発から20〜30キロ。放射能汚染に対する恐怖から、運送業者が引き返すなどして、物資が届かなくなったところだ。桜井勝延市長がテレビで窮状を訴えたが、その後、どうなったのか。
「桜井市長と話しましたが、最近はいくらか物資は入ってくるようになったそうです。ただし、手を差し伸べたのは国ではなく、他県の自治体。緊急物資と避難用のバスを差し向けてくれたのです。17〜20日にかけて約8000人が山形、新潟、群馬、長野などに自主避難を始めた。そうしたら、枝野官房長官は25日になって、突然、会見で自主避難を呼びかけた。市には何の連絡もなく、桜井市長は枝野さんに電話して、『事前に知らせてくれ』と訴えたそうです」(保坂展人氏)
ゾッとするような国の対応ではないか。屋内退避で餓死寸前に追い込まれた揚げ句、官房長官が何の連絡もなく、自主避難を発表してしまう。断っておくが、南相馬市は寒村ではない。人口7万人。製造業が盛んで東北でもトップクラスの企業がある。それなのに、政府の対応は、虫けら扱いではないか。市民の不安、混乱、そして、怒りは想像を超えるが、南相馬市の市民は文句も言わずに耐えている。
南相馬市だけではない。水、食料、ガソリンが届かず、どれだけの被災者が苦しんでいるのか。普通だったら、暴動が起こってもおかしくないが、避難所に閉じ込められている被災者はじっと耐えている。これが東北人の「美徳」「我慢強さ」などと称賛されているのだが、これには強烈な違和感を覚えてしまう。 アフリカの途上国じゃあるまいし、震災後、3週間もたっているのに、この惨状は何なのか。「我慢強い」国民性をいいことに、無能政治家がのうのうとのさばっているのである。
◆無告の民の声を聞く政治家はいないのか
評論家の佐高信氏はこう言う。
「欧米人に我慢強いとか、寛容だ、と褒められても違和感を覚えますね。私は東北の農業高校の教師をしていた。だから、東北人の気質が分かりますが、我慢強いというより、あきらめなんですよ。政治は何もしてくれない。自分たちを搾取する存在である。抗議をしようにも刀狩りで武器さえない。そんな歴史があるものだから、DNAが染み付いている。だから、『東北人よ、もっと声を上げよ』とも言うのも酷なのです。それよりも政治家が無告の民の声なき声にもっと耳を傾けるべきでしょう。それが最低限の政治家の資質なのに、マトモな政治家がいない。あまりにも嘆かわしい話です」
前出の保坂展人氏は阪神大震災のときもボランティアをやった人々と交流がある。
「関西人はガンガン、文句を言ったから、すぐに待遇が改善された。それに比べて東北の人は我慢強い。こんなボランティアの声も聞きました。ま、関西人との比較はともかく、今の政府はあまりにも何もしていない。物資の搬送だけでなく、説明すらしない。南相馬市の放射能レベルは1マイクロシーベルト以下で福島市の2・70マイクロシーベルトより低い(3月30日)。同心円で避難地域を拡大させて、混乱させている菅政権は非科学的です。いつまで、こんな避難生活が続くのか、その後の生活はどうなるのか。私が見た避難所には布団がなく、被災者は段ボールを敷いて寝ていました。600人が乗れる豪華客船が協力を申し出ているのに、なぜ使わないのか。カーフェリーでガソリンを満載した車を運ぶ手もあったのです。もっと被災者は声を上げるべきですよ」
「我慢強さ」を褒められ、ありがたがっていると、デタラメ政治家に殺されてしまうことになるのである。
◆みんなで「ガマンガマン」と言う社会風潮の異様
震災以後、やたらと流れているACの「みんなで頑張ろう」みたいな広告も不気味だ。ACは1970年の大阪万博を前にサントリーの佐治敬三氏が呼びかけて作ったもので、もちろん、政治色はないのだろうが、このタイミングにあれだけ流されると、国民に文句を言わせないプロパガンダに見えてしまう。実際、ムチャクチャな停電にも文句は出ず、みんなが「ガマンガマン」で耐えている。これは異様な光景でもある。ジャーナリストの斎藤貴男氏はこう言った。
「外国のメディアが我慢強い国民性に驚き、称賛する記事を海外に発信するのはいい。誇りにしていいと思います。しかし、国内のメディアも一緒になって、日本人の美徳を強調し、社会全体が我慢を呼びかけるのは全然、別次元の話です。今度の震災には、自然災害と人災の2つの側面がある。人災の最たるものは原発事故です。福島県民は今、何を言っても許されるはずですよ。安全神話は嘘っぱちで、自分の家にも帰れない、農作物も作れない。健康でいられるかどうかも分からない。どうしてくれるんだ、という話です。他の国民も怒るべきです。
これで外国人は逃げ出し、農作物の自給率がますます、不安になっている。企業は停電で大打撃で、工場は海外移転せざるを得ず、雇用にも重大影響が出る。津波はしょうがないと言う人もいるが、三陸はしょっちゅう、津波に襲われてきた歴史がある。それに備えた都市づくり、防災計画をしてきたのか。官邸や東電本社はデモ隊に囲まれていてもおかしくないと思います」
◆英国だったら大臣が何人もクビになっている
英国のデーリー・テレグラフ紙の看板記者、アンドリュー・ギリガン氏は週刊現代で、「被災地で日本人のやさしさに打たれた」と言う一方で、こんなコメントを寄せている。
「原発事故に関する日本政府の発表は後出しばかりで不明瞭だった。イギリスであれば、メディアが政府に情報公開するように強い圧力をかけただろうし、大臣クラスが何人も辞任していておかしくない。欧米と比べると国民と政府、政治家の間にいい意味での緊張関係がないのだろう。日本の政治家は命拾いをしたのではないか」
優しい国民に救われたのが、よりによってスッカラ菅だから最悪だ。東工大准教授の上田紀行氏(文化人類学)はこう言った。
「日本人には耐え忍ぶ美学があり、辛抱が美徳とされてきました。物資が届かないことに怒りをあらわにする被災者が見受けられないのも、そのためでしょう。しかし、われわれは税金を納めて、国家を支えている。もっと権利意識を強く持ってもいいと思います。あれだけ安全と言われてきた原発が目の前で爆発し、放射能を放出しているのに政府は安全だと言い続け、責任追及の暴動も起きていない。世界から見れば不思議に映っているかもしれません」
耐え忍ぶ国民性プラス「長いものには巻かれろ」というDNA。それやこれやが被災者や国民を沈黙させて、世紀の大バカ政権をのさばらせている。ここで声を上げておかないと、復興どころじゃなくなることを自覚するべきだろう。
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