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◎菅は「人垣の防波堤」を築いているときか
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-29
2011-03-29 07:55 :永田町幹竹割り
「いうべきをいう」「訴える」「覚悟を決める」「先見性」などを松下幸之助は「指導者の条件」としているが、首相・菅直人は全ての要件を満たしていない。どうして国民の前に頻繁に顔を出さないのか。ひたすらしていることは「官邸の肥大化」である。自分の前に「人垣の防波堤」を築いてしまっている。必要なのは自らの防御ではない。身を捨てた指導者のリーダーシップだ。この国難の時に菅は自らの言葉で語らない。国民は知るべきことを知らされない。首相官邸は「船頭多ければ船山に上る」の状況としか見えない。
報道各社の幹部やOBの会合に出席したが、結論は「菅では駄目だなあ」に落ち着いた。大震災後、菅は何をしたかであるが、目立つことを挙げれば「少し勉強したい」と震災翌日に福島第一原発を視察。原子力安全委員会委員長・班目春樹から「水素爆発は起きない」と間抜けな報告を受けたものの、その後時をおかずに爆発が起きた。何しに行ったのか。いまさらピントのぼけた「勉強」をしているときか。東電が引き上げるという誤報を真に受けて、何とやっちゃ場の東電に3時間も居座った。次いで毎日のぶら下がりを取りやめ、国民の前から姿を消した。2回の記者会見は中身がなく、記事は探さなければ分からないほど小さく報じられた。白眉は自主避難。官房長官・枝野幸男をして第1原発から半径20〜30キロ圏内の屋内退避対象地域について、「住民の生活支援および自主避難を積極的に促進する」と呼び掛けさした。住民からは直ちに「ガソリンがない」「行き先がない」の悲鳴が上がった。自主避難するならするで、対応策を打ち出さなければならぬところであった。無為無策で勝手に避難せよでは、まるで「棄民政策」のようではないか。
そして現在進行中が、異常なほどの官邸の組織拡大だ。首相補佐官を入れ替えたり、民間からブレーン役の内閣官房参与を震災後5人も増員。近く6人目も決まり合計15人となる。戦場の最大の戒めは「敵前で陣形を変えるな」だが、菅の意識には抜き難い官僚不信がある。此の期におよんで事実上失敗した「政治主導」なるものを“布陣”するつもりなのか。いまは度重なる震災で訓練された官僚組織をフルに活用して、事務次官会議を復活させ、官僚にやる気を出させるべき時ではないのか。読売新聞によると首相は最近、知人から「震災復興も原発対応も、良心的な官僚がいるはずで、彼らを使うべきだ」と助言されたが、「(東京電力や官僚は)情報を隠している」と不満を漏らし、聞く耳を持たなかったという。官僚組織は国難にあたり、菅とは無関係に自立的に作動しているように見えるが、この大震災は100%の力の発揮では足りない。政治の力で150%の力を発揮させてやっと切り抜けられる状況だ。
危機の時の指導者の条件は、国民に姿を見せるだけで安心感を与えなければならない。ぺらぺら弁舌を労せず、短い自らの言葉で国民を鼓舞する。「俺に任せておけ」の信頼感を与える。分かる範囲で見通しを述べる。そして決死で働く現場を褒めることだ。そうした人間関係の根底の部分での連帯が、未曾有の危機において何よりも必要とされるのだが、残念ながら菅にはいずれも欠けている。顔を見せないということは何をしているかが国民には分からないということだ。これが国民の“不安源”の1つだ。それとも菅は、顔を見せて失言と非難されることを避け、政権延命を狙っているのだろうか。自らの守りをしているときではない。
一方で野党も野党だ。ここは大連立へ参画すべき所を、「子ども手当の攻防再開」では泣ける。危急存亡の時である。持てるエネルギーを「救国的一致」に向けるきではないか。自民党はまるで「陳情の引き継ぎ屋」と化しているではないか。加えて危機管理の専門家なる連中は何をしているのか。権威とされる佐々淳行のホームページを見れば緊急提言として「福島原発の爆発事故の可能性が高まっている」と、まず事態をチェルノブイリ型ととらえる誤判断そしている。その上で「学童疎開」「国家勤労奉仕隊」の編成、消防団・青年団などによる「自警団」の編成などピントの狂った主張を展開している。まるで一大風評源を形成しているのだ。政府に対して「なぜ、政府は真っ先に東京消防庁に要請しなかったのか」と批判するなら、消防庁が動いて、テレビで報道されてから言うべきでない。すぐに進言すべきだ。浅間山荘、安田講堂事件の経験に基づく程度の危機管理ではとても及ばないのだ。いくら何でも「学童疎開」は弁舌巧みな百日の説法を“帳消し”にした。テレビのコメンテーターも相変わらずいいかげんで、女性の場合ヒステリックになっている。TBSで日大教授・高木美也子は「もう東電ではできない。アメリカの全面支援を受けねばならないところまで来ている」と宣もうた。米国の支援は拒むものでもないが、今やアメリカは原発後進国で日本からの輸入話が出ていた。戦争に強いから何でも出来るわけではない。国際原子力機関(IAEA)事務局長・天野之弥が「状況が安定するまでにはしばらく時間がかかるが、問題は解決されると信じている」と述べているとおりだ。うろたえるな。
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