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東日本大震災:復興へ官邸強化 馬淵前国交相抜てき
http://mainichi.jp/select/today/news/20110327k0000m010079000c.html
2011年3月26日 20時32分 更新:3月26日 21時37分 :毎日新聞
東日本大震災への対応で、菅直人首相は、緊急の課題である東京電力福島第1原子力発電所事故に加え、これまでほとんど手つかずだった復興計画立案を見据えた態勢づくりに着手した。26日には首相補佐官に側近の寺田学氏を外し、前国土交通相の馬淵澄夫民主党広報委員長を抜てき、原発対応とともに震災復興のけん引役とする位置付けを明確にした。被災者支援の束ね役となる仙谷由人官房副長官に続く閣僚経験者の起用は、これまでの機動力不足を補う狙いもあり、被災者支援、原発事故対策、復興計画の主軸がようやくそろうことになる。【中田卓二、田中成之、小山由宇】
「地震災害、原発事故対応と国家の命運を握る大きな対応になる。私の力の限り取り組みたい」。馬淵氏は26日夕、首相補佐官就任後、首相官邸で記者団にこう意気込みを示した。今年1月の内閣改造で「問責決議組」として国土交通相を外されたが、首相から「原発の対応が非常に大変だ」と請われて官邸入りした。
原発対応には、東工大卒で「原子力に詳しい」と自負する首相自らが深くかかわり、「原発指揮官」のおもむきだ。海江田万里経済産業相、細野豪志首相補佐官が東電本店の対策本部に頻繁に出入りして情報収集するようになり、「ようやく原発の現場の情報がスムーズに来るようになった」(政府高官)という状況だ。
ただ、原発内部の被害の全容が分からず、手探りの状態が続く。馬淵氏は国交相時代、JRや日本航空などを所管し交渉した経験があり、危機管理対策のノウハウにも期待したとみられる。
馬淵氏の起用のもう一つの理由が復興だ。枝野幸男官房長官は26日の会見で「震災、原発対応に最も適任で最も力がある。国交相経験もあり、震災対策でも大きな役割を果たしていただきたい」と語った。
馬淵氏は大地震発生翌日の12日、国交相時代のブレーンである東大教授らと協議し、大規模な都市計画に基づく東日本復興プランをまとめ、首相官邸に届けた。馬淵氏は周辺に「広域に壊滅した地域をどう復興し、新しい日本をどうつくるかの視点が必要。復興は関東大震災後の『帝都復興院』が参考になる」と語っている。
首相は25日には阪神大震災などを経験した石原信雄元官房副長官(事務)を官邸に呼んで意見を聞くなど、これまでの「原発一色」の対応から復興を視野に入れた動きを見せ始めており、馬淵氏起用も無縁ではない。
補佐官定員は5人。首相は大震災対応での仙谷氏起用に伴い藤井裕久前副長官を補佐官に降格、側近の加藤公一前補佐官を外している。寺田氏交代を併せ「身内を引かせて官邸機能を強化させる意気込みの表れ」(首相周辺)との見方もある。ただ、仙谷、馬淵両氏は問責決議を受け1月の内閣改造で交代させられたばかり。枝野氏は「対応力強化があらゆることに優先する」と話すが、人材払底の党の現状を露呈させたともいえる。
◇今度は「影の官房長官」
官房長官時代に「影の首相」と称された仙谷副長官は震災とともに官邸に呼び戻された。官房長官時代に「脱官僚」路線を転換し、官僚の束ね役となった。役所間の総合調整が不可欠な被災者生活支援の指揮官となった。仙谷氏は、副長官就任翌日の18日から各府省事務次官を官邸に呼んで現状報告を求めた。「副大臣を集めましょう」との意見には「副大臣で機能するのか。事務次官の方が業務が回る」と「官僚重視」を徹底する。
仙谷氏は22日の民主党役員会で「復興には法律を弾力的に運用する『乱暴副長官』が必要だ」と宣言。26日の連絡会議では、ドラム缶を並べた仮設ガソリンスタンドを被災地に作る資源エネルギー庁の提案をその場で了承。危険物に指定されているガソリン給油には消防法の規制もあるが、政治判断で「お墨付き」を与えた。
今度は「影の官房長官」との評も出始め、責任の所在はあいまいになるおそれもある。だが、首相は26日、笹森清内閣特別顧問に漏らした。「各省次官の被災者生活支援はうまくいっているよ」
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