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2011.3.23(その1)
森田実の言わねばならぬ【213】
平和・自立・調和の日本をつくるために [213]
《今日の論点》菅首相の大連立工作の失敗は、単なる愚かさの結果なのか、自民党のイメージを落とす菅首相の策謀だったのか/菅首相は自らの権力強化のために国民の大不幸を利用したのだとしたら、その罪軽からず (森田実の時代を斬る)
「古の愚や直、今の愚や詐のみ」(孔子)
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/
上記の言葉は、「昔の愚は正直だったが、今の愚は不正直」という意味である。
菅首相による自民党との大連立工作そのものはあっさりと失敗に終わったが、民主党内の一部には「うまくいった。自民党を悪者にすることができた」との見方がある。これで自民党のベテラン議員を政府の防災担当者に起用する案は事実上なくなった。あるいは、初めからそんなことは考えていなかったのかもしれない。これまでと同じように今後もリーダーシップなき菅首相と民主党の未経験者が防災の指揮をとることになる。誠に心許ないことである。自民党には防災に詳しいベテラン政治家がいる。彼らは被災者救済のためならどんなことでもすると考えていた。皆、純粋な気持ちで、未曾有の国難に立ち向かおうとしている。菅首相は、谷垣自民党総裁に「防災の仕事師を出してください」と頼めばよかったのだ。そういうことなら、谷垣総裁も前向きに対処したであろう。これだけなら、そんなに難しいことではなかった。政治家が、力を合わせる時だ。国難にあたって、与党も野党もない。
菅首相が谷垣総裁に副総理防災相への就任を求めたのは、三重の意味で愚かなことだった。第一に、大連立政権を何らの下準備なしに行うのは無理なことであり、ナンセンスである。政策のすり合わせをせずに、連立政権などはできない。菅首相はこのナンセンスなことをしたのだ。第二に、国会の対立状況を解消せずに大連立政権をつくるなどということは初めから不可能である。岡田幹事長の国会運営は対立のための対立をわざとつくり出している。岡田幹事長の野党に対する態度はあまりにも高圧的である。国会運営も円滑に進まないのにいきなり大連立などできることではない。岡田幹事長には、野党と協力する意思がないようである。ひどい幹事長である。この幹事長に黙々と従っている民主党幹部にもあきれる。第三に、谷垣総裁を防災担当にしようとしたことは人事政策として間違っている。谷垣氏は防災の専門家ではない。ミスキャストなのだ。
菅首相は、これほど杜撰なことをするほど愚かだと、政界で考える者はほとんどいない。
政界では、菅首相の「愚か」説はほとんどなく、「策謀説」がもっぱらである。全国民が政界が一致して防災対策にあたることを求めているとき、菅首相が谷垣総裁のナイーブさを利用したというのである。菅首相は谷垣総裁を苦境に追い込み自民党を傷つけることに成功した。谷垣総裁は野党第一党の指導者としてはあまりにもナイーブである。
だが、菅首相と民主党が、自らの政治権力の強化のために東北関東大震災を利用したという大罪を犯した菅首相の「恥」は残る。菅首相と民主党幹部が政治指導者にあるまじき卑しいことをしたという罪は残る。菅首相は策謀には成功したが、未曾有の国難の中で国民の幸せより自らの権力強化をはかるタイプの政治家であることが明らかになった。大多数の民主党議員は、自分さえよければ主義の虜となり、菅直人首相に従っている。いまのままでは彼らは菅首相と同じ下劣なる偽善的政治家と見られるであろう。このことによって民主党議員は次の選挙で国民によって審判されるであろう。
民主党の主流派の中には、「大震災は菅政権にとって神風」と、密かに言う者がいることは多くの記者が知っている。しかし、記者たちは沈黙を守っている。私も、これに似た言葉を耳にしたことがある。抗議したところ、相手は「そういう意味ではない」と否定したが、民主党内には民主党政治権力維持第一主義がある。菅政権の中で、権力を維持するためならどんなことでもするという権力至上主義が強まっている。2009年夏の政権交代が生み出したものは、自公連立政権よりも非民主的政権だったのだ。政権交代は裏切られた。
ここまで書いたとき、千葉県在住の知人から電話があった。
《昨日、大勢の人が集まる場所へ行ったら、ある人が「自民党はけしからん。みんなで力を合わせるべきときに逃げた。自民党は大連立を拒否した。自民党はダメだ」と大声で話していた。あまりに一方的な発言をしているので、「そんな考えはおかしいですよ。菅首相は人気取りをやったのでしょう?」と注意したが、ますますいきり立っていた。菅首相の策謀は少し成功したかもしれない》
菅首相の人気は少し持ち直すかもしれない。しかし、多くの人々が大地震・大津波で苦しんでいる時、すべてを捨てて救済、救援、復興の事業と取り組まなければならない時に、政治ゲームをしていてはいけない。菅首相と岡田幹事長は、国民のためではなく民主党政権強化のためだけの政治を行っている。責任を問いたい。
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