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【検証 大連立】首相、処方箋なき“暴走” 仙谷氏、大島「取り込み」で策謀
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110323/stt11032322500008-n1.htm
2011.3.23 22:47 :産経新聞
東日本大震災の混乱の最中、菅直人首相は自民党の谷垣禎一総裁に副総理兼震災復興担当相として入閣を求めた。安定政権樹立を目指した電撃作戦だったが、谷垣氏はあっさり拒否し、「大連立」への野望はあえなくついえた。首相の「処方箋なき暴走」により与野党の「挙国態勢」の動きは止まってしまったのか−。(水内茂幸、峯匡孝、文中敬称略)
大震災から8日経た19日午後、自民党本部4階の総裁室にいた谷垣の元に、党の代表番号にかかった一本の電話が回された。
「2人だけでお会いすることはできませんか…」
声の主は菅だった。電話口にも緊迫感がヒシヒシと伝わった。
「菅さんは本気で大連立に動くつもりなのだろうか?」
そんな疑念が谷垣の脳裏をよぎったが、返すべき言葉はすでに決まっていた−。
ここで時計の針を少し巻き戻そう。
この直前まで菅は、前首相の鳩山由紀夫、元代表の小沢一郎、前外相の前原誠司ら党代表経験者を首相官邸に招き、挙党態勢への協力を求めた。ここで谷垣の入閣構想はおくびにも出していない。それもそのはず、官房長官の枝野幸男、官房副長官の仙谷由人ら“身内”にさえ相談していない秘中の秘だったからだ。
菅が谷垣との直接交渉を考え始めたのは17日ごろ。菅は大震災直後の13日に首相官邸で谷垣と会談しており、おそらくこの際に「脈がある」と感じとったらしい。
ところが、13日の会談に同席した自民党幹事長の石原伸晃の態度はかたくなだった。そこで菅は「次は絶対に谷垣と2人で会わなければならない。事前に情報が漏れれば必ず石原がこの話を潰しにくる」と考えたようだ。
菅には成功体験があった。経済財政担当相の与謝野馨だ。菅は昨夏以降、秘密裏に与謝野と直談判を重ね、閣内への一本釣りに成功した。これで「サシならば説得できる」と自信を深め「二匹目のドジョウ」を狙ったわけだ。
再び首相と谷垣の電話対談に戻ろう。
谷垣「震災対策には全面的に協力しますが、2人だけでコッソリなんて会えませんよ」
菅「トップ同士が膝を突き合わせなければできない話があるでしょ」
谷垣「それならばこの電話で何を話し合いたいのか言ってください」
菅は一瞬答えに窮したが、意を決して打ち明けた。
「あなたに副総理兼震災復興担当相として入閣してほしい」
これが失敗だった。思わせぶりの態度を示しながら信頼関係をジワジワと構築するという定石を打てば、「震災復興」という大義名分があるだけに事はうまく運んだかもしれない。
「あまりに唐突だ! 政策協議もなしにまず連携ありきというのは順序が違うでしょ!」
谷垣がこう切り返したのは当然だといえよう。菅は「震災対策で責任を分担してくれないのか」となおすがったが、谷垣は「わが党として政権には最大限協力する。それと入閣とは別次元の話ですよ」と一蹴。最後は菅が「直接会談して決める気持ちもないんですか!」と逆ギレしてしまった。
「このままでは一蓮托生(いちれんたくしょう)となりかねない」と考えた谷垣はただちに緊急役員会を招集し、電話のやりとりを暴露した。露骨な一本釣りに政調会長の石破茂は「いきなり電話でするような話か!」と激高。入閣拒否は「機関決定」となり、菅の企ては水泡に帰した。
谷垣はその後もしきりにこう繰り返した。
「どうして菅さんは順序をわきまえないのかな…」
この一件で菅の痛手は大きい。菅が独断専行ぶりを実感した谷垣は「こんな調子では政策協議をしてもこちらが納得できるような修正案は出せないだろうな」と不信を強めたからだ。
大連立構想は今回が初めてではない。平成19年秋には当時首相の福田康夫と当時民主党代表の小沢が大連立の一歩手前まで話を進めた。この際、民主党役員会で「政策協議もなしにトップ同士で決めるのはよくない!」と猛反対したのは菅だった。
それから3年半。菅はくしくも小沢と同じ手法に打って出た。民主党ベテランは憤りを隠さない。
「今は自分が首相なんだからいいとでも思っているのか。独裁者のつもりでいるのか!」
× × ×
大連立への動きは全く別ルートでも進行していた。ターゲットは自民党副総裁の大島理森(ただもり)だった。
大島の地元は震災で大きな被害を受けた青森県八戸市。17日には被災地選出の議員の会合に顔を出し「政府に申さなければならないことは私が直接各大臣に申しつける」と宣言し、政府と自民党との橋渡し役を買って出た。
「そこに目をつけたんだ…」
民主党のベテラン議員はこう打ち明けた。大島は情にもろく信義を大事にする。自民党内で発言力もある。それに谷垣を一本釣りするより民主、自民両党での波風は小さくて済む。「大島さんに復興のためだと言えば党内をまとめてくれるはず。そう期待して働きかけを始めたんだ」
交渉人となったのは「寝業師」の異名をとる仙谷だった。仙谷は官房長官時代から水面下で大島との接触を続け、それなりの信頼関係を築いてきたからだ。
仙谷は大島とひそかに接触し、切々と入閣を打診した。大島は「自民党と連立したいならば、まずは首相を代えろ。後任者が選挙管理内閣を作り、解散を経て連立だ」とかねての持論をかたくなに繰り返した。
「もう少し時間がかかるな…」と仙谷が戦略練り直しを始めた矢先に飛び込んだ菅の谷垣入閣構想。寝耳に水だった仙谷はカンカンに怒った。
「これで一からやり直しだ!」
× × ×
自民党内でも余波は続く。谷垣の出身派閥である古賀派会長で元幹事長の古賀誠は大連立の破談を聞いて周囲に不満をぶちまけた。
「この国難なのに、なぜそんなに簡単に断るんだ?」
古賀は自民党主導での政界再編を念頭に与野党の隅々にパイプを広げ、「救国内閣」を主張する国民新党代表の亀井静香とも連携を深めてきた。それだけに勝算もなく与野党対立を演出し続ける党執行部への不満を募らせる。
首相の“暴走”により大連立の芽はつみ取られてしまったように見えるが水面下の動きは消えていない。衆参ねじれの政治状況を考えれば、衆院解散がない限り、実行力のある政策を適切に打ち出すには連立の組み替えしかない。二大政党の大連立に向かうのはむしろ自然の理だと言えるからだ。
中でも長く政権与党の座にあった自民党には「震災復興という巨大テーマを前に指をくわえて見ていろというのか」との声は強い。古賀以外の派閥領袖(りょうしゅう)も民主党幹部と接触を続けており、中堅・若手の与野党接触も急増している。
民主党幹事長の岡田克也は22日の党常任幹事会で、谷垣への入閣要請に関し、こう報告した。
「自民党は現時点では断った」
出席者が「現時点とはどういう意味なのか」と説明を求めると岡田はこう応えた。
「それ以上の意味はないが、提案として総理が言われた以上それは残っているというふうに一般に受けとられるのではないか…」
自らの入閣を棒に振った大島は22日、首相官邸に仙谷を訪ねた。「これから緊急で具体的な問題があったら仙谷さんを窓口にどんどん申しつける」。大島が記者団にこう胸を張るほど2人のパイプは健在なのだ。大連立への胎動は止まることはない。
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