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社説:原発と放射能 リスク伝達に専門官を
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110321k0000m070113000c.html
福島第1原発では放水作業が功を奏しているようだ。外部電源も復旧が進んできた。なんとか冷却機能を取り戻し、制御につなげてほしい。
ただ、それまでは放射性物質が環境にもれ続ける。こうした放射性物質の健康への影響は非常にわかりにくい。だからこそ、健康被害を防ぐためにも、不安を抑えるためにも、リスクを的確に伝える「リスク・コミュニケーション」が欠かせない。
ところが、政府の対応は万全とはいえない。たとえば、食品や水道水の放射能汚染の情報も、伝え方が不十分だ。
原乳などから検出された放射性ヨウ素について、政府はCTスキャンと比較して「ただちに健康に影響は出ない」と説明した。確かに影響を心配する必要はないだろう。
しかし、食品は体内に取り込むことによる「内部被ばく」が問題となる。ヨウ素は体内で甲状腺に集まる性質があり、放射性ヨウ素を大量に取り込むと甲状腺がんのリスクを高める。1回放射線を浴びるCTスキャンを持ち出すだけでは、不安を除くのに十分な説明とは思えない。
データのない地域の食品を気にする人へのメッセージも足りない。政府は、風評被害を防ぐためにも、データだけでなく判断材料まであわせて丁寧に伝えてほしい。水道水の情報も遅れてはいけない。
今、国民への情報提供は、事実上、官房長官会見で行われている。これを充実させるためにも、政府は、放射線の影響とリスク・コミュニケーションの知識を持つ有能な人材を特別専門官として登用し、長官会見を補佐させてはどうか。補足の会見を開いてもいい。専門官の説明は人々の冷静な判断につながるはずだ。
リスク・コミュニケーションの不足は、すでに原発周辺の住民の生活も困窮させている。
そもそも、20キロ圏内の避難指示、20〜30キロ圏の屋内退避の具体的な根拠が示されていない。屋内退避圏内の住民に対する行動指針も、出す時期が遅く、内容は不親切だ。ガソリンが不足する現場で「外出はなるべく車で」と言われても困る。
不安は広がり、屋内退避圏内でも避難を決める町が出てきた。圏外なのに物資輸送を断られるケースもある。
このままでは、住民の生活が守れない。政府は、情報も物資も不足している現場に判断を預けたままではいけない。屋内退避の指示を続けるなら、住民への徹底した支援が必要だ。それが無理なら、受け入れ先を見つけ、避難の範囲を広げることを考えるべきだ。
原発災害から国民を守るために必要なのは、事態の収拾だけではない。情報もまた、命にかかわる。
毎日新聞 2011年3月21日 2時31分
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