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巨大地震から1週間が経った。この1週間、被災地の壊滅的な状況には言葉もなく、被災地に住む親戚や知人と連絡が取れずにいたたまれない日を送ってきた。幸い私の場合は昨日あたりから無事を確認出来るようになってきたが、しかし目の前には戦後最大とも言うべき国家の危機が横たわっている。
日本はエネルギー資源の大半を中東の石油と原子力に頼ってきた。その中東各地では年明けから反政府運動が高まり原油価格は上昇傾向にある。そこに今回の巨大地震による福島原子力発電所の大事故が起きた。日本は経済の生命線とも言うべき二つの分野で深刻な打撃を受けつつある。そして地震と津波による破壊からの復興もかつてなく険しいものになることが予想される。
まさに国難と言うべきである。未曾有の事態に政治はどう対応すべきか。私は与野党を問わず人材を登用して事に当たる挙国一致の体制を図るべきだと考えた。しかしこの1週間そうした動きはまったくない。むしろ国会で問責され官房長官を辞した仙谷由人氏を再び入閣させるところなど「お友達内閣」で危機を乗り切る構えのように見える。
また総理がしばしば現場に出てくるのも疑問である。危機の全体像を把握しなければならない立場の人間は決して渦の中に入ってはならない。なるべく現場から離れ、俯瞰で日本の全体像を見渡し、今後数年はかかる復興のシナリオを考えることこそリーダーの仕事である。目の前の危機は担当の大臣に全力を挙げさせ、それらの情報を束ねながら総理はその先を見通さなければならない。
ところが菅総理は地震発生の翌日に現場を訪れ、さらに原発事故を起こした東京電力に自ら乗り込んで陣頭指揮する姿勢を示した。陣頭指揮するのは結構だが、現場に出ると目がそこに集中する。原発事故が大問題であることは論をまたないが、総理にはもっと大きな視野と長い目で問題を考えて貰わないと困るのである。
さらに気になる話も出てきた。復興にかかる費用を増税で賄う案が検討されていると言う。巨大地震の影響で全国民が疲弊し、経済が落ち込もうとしている時にさらに一律に国民に負担を負わせる心理が私には理解できない。それよりも復興への寄付金を全額税控除の対象にして、日本にも寄付文化を作るきっかけにすべきではないか。すでに多くの国民が寄付を始めているが、それを強制ではない形で全国民に広げていく。そのためには寄付した額を減税の対象にするのである。
危機は改革のためのチャンスである。韓国経済が今好調なのは90年代のアジア通貨危機で財政破綻をしたからだ。あの時アメリカのヘッジファンドに自国の通貨を空売りされ、アジア各国は軒並み財政破綻に追い込まれた。韓国も例外ではなく世界銀行からの借金で経済を立て直さなければならなくなった。その危機感がそれまで出来なかった既得権益の整理淘汰を可能にし、グローバル経済に合わせた国造りを実現させた。
財政破綻でウォンは暴落、通貨が安くなれば輸出は有利になる。おりからアメリカ主導のインターネット革命が始まった。韓国はその潮流に乗り、サムスンなどを中心に輸出主導の経済体制を確立した。ところが既得権益に縛られた日本は情報革命の波に乗り遅れ、インターネット分野で韓国に遅れをとり、今では「ガラパゴス」と呼ばれている。
だから私は「これ以上財政赤字を増やすと財政破綻して日本は潰れる。増税しないと日本は駄目だ」と言う人に常に反論してきた。「財政破綻の何が怖いの」と。日本の財政が破綻して円が暴落すれば、それこそ「昔取った杵柄」、「お家芸」の輸出主導経済が甦る。1ドル360円の固定為替相場があったからこそ日本は高度経済成長を実現出来た。そして世界一の金貸し国になれた。
世界一の借金国になったアメリカは日本の経済力を削ごうと必死に円高ドル安誘導を行ってきた。日本経済が苦しんできたのは円高である。円安になれば日本経済は復活する。しかも「日本は潰れる」との危機感を持てば、韓国のように既得権益の整理淘汰が出来る。「事業仕分け」などという甘さではない。バッサバッサと無駄を削減する気になる。
それが日本経済の競争力を回復させる。ところが現実の政治はそれとは逆の方を向いていた。自民党も民主党も借金する事を怖れ、増税で国民に負担を負わせようとしてきた。既得権益を淘汰できない弱腰だからである。しかし国家的危機になれば借金を怖れる必要などない。借金をしてでも国民生活を守り、何よりも国民を元気にする。
国民を元気にして経済の活力を取り戻す。経済が成長すれば借金は返せる。それが政治の取るべき国家再生の道である。明治の日本が日露戦争に踏み切るとき、時の日銀副総裁高橋是清は戦費調達のため海外から借金したが、その金額は国家予算の4倍であったという。それ位の覚悟を持ってこの国難に当たれば危機は乗り越えられる。問題は広角の視野と未来を見通す目と覚悟を持って事に当たれるリーダーを我々が持てるかどうかである。
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/03/post_251.html#more
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