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フリージャーナリストの青木理さんが一昨日(3月17日)京都大学原子炉実験所小出裕章助教に電話インタビューした記事が「The Journal」にアップされています。以下に全文を転載しますので情報拡散をお願いします。記事の中で小出裕章助教は今まで我々に決して知らされて来なかった二つの事実を語っています。
@ <広島に落とされた原爆で燃えたウランの量は800グラムでした。現在、私たちが使用している原子力発電所は日本に54基あり、平均して1基につき100万キロワットを発電します。100万キロワットの原発が1日稼動するとウランを3キロ燃やします。つまり広島型原爆3〜4発分のウランを燃やすわけです。それによって作られたエネルギーの3分の1だけを電気にして、3分の2は海に捨てるというのが原子力 発電所という機械です>
A <最終的な結末はわかりませんが、いま炉心が溶ける危機に直面している原発が1、2、3号機と3つあります。その出力を全部合計する と、200万キロワットを超えます。チェルノブイリの原発はちょうど100万キロワットの出力でした。今回はその2倍に相当する放射能と戦って いるわけです。それが出てきてしまえば、チェルノブイリを超えてしまうわけです>菅首相、枝野官房長官、東電、原子力完全・保安院そしてNHKをはじめとする大手マスコミは福島第一原発の一号、二号、三号炉が今直面して いる「メルトダウン」の危機を一切語らず事実を隠しています。
もしも一号、二号、三号炉の圧力容器内に残っている高温のウラン燃料の冷却に失敗すれば、2800度で「メルトダウン」し圧力容器と格納容器し底を突き抜け瞬時に水と反応して「水素爆発」をおこし放射線と放射線物質が同時に空気中に拡散するのです。
政府や東電や大手マスコミは意図的に三号炉、四号炉の使用済核燃料の冷却の方を問題にしていますが、一号、二号、三号炉の圧力容器内に残っている 高温ウラン燃料の冷却に失敗した場合の「メルトダウン」の危険の方がよっぽど重大時なのです。
賢明なる国民はこの事実を冷静に受け止め、政府・東電・大手マスコミの「大本営発表」報道を鵜呑みにせず隠された真実を突き止めて共有しましょう。出来る人は福島原発より300km−500km以遠に疎開するようにしましょう。それにしても事故直後に米国から原子炉冷却材と専門家の派遣支援があったにもかかわらず「原子炉が廃炉となる」「自力で解決できる」と断ってし まった菅直人首相と東電首脳の責任は万死に値する。
▼ 「福島原発事故」 京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏電話インタビュー
ジャーナリストの青木理
(インタビュー開始)
17日午前、福島第一原発2、3、4号機で白煙が確認された。自衛隊が空から放水するなど、冷却作業が続いている。福島原発事故の現状と今後想定される問題点について、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏に、ジャーナリストの青木理が聞いた。
青木:東京電力福島第一原子力発電所の状況が深刻化しています。緊急性が高いニュースなので、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに お話を伺おうと思います。 小出さん、よろしくお願いします。まず、今最も懸念されているのは、「メルトダウン」がさらに進むことだと思います。今、一部炉心溶融が起きている。ただし、一般に言 われている「メルトダウン」にはまだ達していないという認識でよろしいでしょうか。
小出:私もそう思います。
青木:「メルトダウン」が起きれば、どういう状況になるのでしょうか。
小出:皆さん、原爆はご存知だと思います。広島に落とされた原爆で燃えたウランの量は800グラムでした。現在、私たちが使用している原 子力発電 所は日本に54基あり、
平均して1基につき100万キロワットを発電します。100万キロワットの原発が1日稼動すると、ウランを3キロ燃やします。つま り、広島型原爆3〜4発分のウランを燃やすわけです。それによって作られたエネルギーの3分の1だけを電気にして、3分の2は海に捨てるというのが原子力 発電所という機械です。
青木:海に捨てるというのは、発熱したものを熱量として捨てるということですか。
小出:そうです。1秒間に70トンの海水の温度を7度上げて、また海に戻すという、なんとも言葉に尽くせないほどの膨大な環境汚染をしながら発電する装置です。
青木:今は、原子炉の燃料棒が冷やせない状態になり、その一部に溶融が起きているというわけですね。確か、スリーマイル島原発事故のとき は燃料の45%くらいが溶けて下に落ちたと記憶しています。しかし、幸いにも底は抜けませんでした。福島原発では底が抜ける可能性があるのでしょうか。
小出:スリーマイル島の事故のときは、電気が使えました。ポンプも使えました。それでも事故になり、原子炉の半分近くが溶けてしまいました。しかし、最終的にはポンプを回すことで原子炉を冷やし、最悪の事態を免れたわけです。福島原発の場合は一切の電源がなく、ポンプも回らない状況です。消防のポンプ車を使って冷却水を回す方法を思いつき、一気に破局的な状況にいくのを食い止めているのが現状です。しかし、事態は日が経つにつれて悪化しています。
青木:政府や東京電力は「まだ大丈夫」と言っています。それが嘘だとは言いませんが、事態はどんどん悪化しており、今後は最悪のことも考 えなければならないと思います。
いわゆる「メルトダウン」が起きると、格納容器に穴が開くのでしょうか。それとも爆発するのでしょうか。
小出:色々な可能性が考えられます。原子炉の燃料が存在している場所を炉心と呼びます。炉心を包んでいるのは、鋼鉄の巨大な圧力容器です。燃料が溶けるか「メルトダウン」してしまうと、圧力容器の底に落ちます。その部分に水が残っていると、水蒸気爆発という現象が起きます。爆発の規模にもよります が、もし大きいと圧力容器が壊れてしまうこともあります。原子炉圧力容器の外側には格納容器があります。原子炉圧力容器が水蒸気爆発で破壊される事態になれば、格納容器もたぶん壊れてしまいます。 そうなると、放射能を閉じ込めるすべての容器が壊れてしまうことになってしまいます。
青木:燃料が溶けることで床が抜ける可能性もあり、水がたまっている場合は水蒸気と反応して爆発を起こし、最悪の場合は格納容器も壊れてしまうということですね。
小出:青木さんがおっしゃったように、水蒸気爆発をしなくても、「メルトダウン」した炉心が圧力容器の底を抜く可能性はあります。炉心は 2800 度にならないと溶けません。しかし、圧力容器は鋼鉄なので、1500度にもなれば溶けてしまいます。2800度の溶融体が溶けて下に落ちれば、もちろん圧 力容器も溶けてしまいます。その外側の格納容器に水が残っていると、また水蒸気爆発をする可能性があるわけです。
青木:経産省原子力安全・保安院は、今回の事故を国際原子力機関(IAEA)が定める8段階の国際原子力事象評価尺度で、「レベル4」と しています。しかし、フランスなどは上から2番目の「レベル6」だと言っています。スリーマイル島の事故は「レベル5」、チェルノブイリ事故は一番上の 「レベル7」ですが、この原子力安全・保安院の「レベル4」という考えは論外なのでしょうか。
小出:論外です。スリーマイル島の事故は越えています。
青木:複数の原子炉が同時多発的に制御できなくなっている現状を見ると、チェルノブイリ事故以上の事象と言えるのでしょうか。
小出:最終的な結末はわかりませんが、いま炉心が溶ける危機に直面している原発が1、2、3号機と3つあります。その出力を全部合計する と、 200万キロワットを超えます。
チェルノブイリの原発はちょうど100万キロワットの出力でした。今回はその2倍に相当する放射能と戦っているわけです。 それが出てきてしまえば、チェルノブイリを超えてしまうわけです。
青木:ここから先は、ご覧になっている方にも冷静に考えていただきたいし、私もパニックを誘発したくはないですが、最悪のケースを想定す る必要はあると思います。仮に原子炉が完全に「メルトダウン」した場合、首都圏への影響はどの程度あるのでしょうか。
小出:風向きなどによると思います。西風がずっと吹いていれば、出てきた放射能は太平洋の方にいくので東京は助かります。しかし、現に今東京で放 射能が検出されるように、風向きはころころ変わるわけです。すべての放射能が海に流れるわけではありません。東京にも当然届くかと思います。ただし、どの くらい届くかはわかりません。
青木:放射線は放射能物質とは違いますよね。放射線は原発から離れれば離れるほど、弱くなると考えて良いのでしょうか。
小出:放射線を放出する物質が、原発の中にある限りはそうです。
青木:それが、放射線物質として拡散してしまうとどうなるのでしょうか。
小出:拡散して表に出てしまえば、拡散したもの自体が放射線を出すので、どこにいてもだめです。
青木:風向きが東京に向いていれば、東京の辺りでも相当な汚染が広がる恐れがあるということでしょうか。
小出:たとえば、福島原発から東京までは200から250キロの距離があります。チェルノブイリ事故のときどうだったかというと、ソ連当 局は30 キロ圏内の住民を避難させて、無人地帯を作りました。しかし、チェルノブイリの原発から200〜300キロ離れた彼方で、ものすごい汚染を発見しました。 なぜかというと、放射能を含んだ雲が流れていき、その地域に雨が降ったからです。みなさんご存じだと思いますが、井伏鱒二さんという小説家が「黒い雨」という小説を書きました。広島の原爆が落ちた時にきのこ雲で死の灰が舞 い上がりまし たが、その時に雨が降りました。普通の雨と違って黒く、町の白い土壁に黒い雨の筋が残るほどだったのですが、その雨に放射能が洗い落とされて混じっていた のですね。その雨に打たれた被爆者たちが、さらに被爆したことをテーマにした小説です。放射能の雲が流れてきたときに、どこで雨が降るかが決定的な問題に なるわけです。
青木:その地域では、人体に直接影響のある汚染があったのでしょうか。
小出:私はあったとは思いますが、放射線障害を診断するのは難しいのです。亡くなったり、髪の毛が抜ければわかりますが、なかなかわからないまま過ごしていたのだろうと思います。体の調子が悪いと思いながら普通に生活していて、3ヶ月後にわかったといいます。
青木:現在原発の周辺20キロが退避地域になっていますが、なんとか現状で被害を抑えられた場合、この地域はどうなるのでしょうか。
小出:正確には答えにくいですが、東京にも放射能が拡散されていることが観測されているので、原発周辺は東京以上に汚れていることでしょ う。その汚れがどの程度かという問題で、人々が住めるかどうかの判断をする必要があります。粗い推測ですが、現時点での汚染であれば、住民は戻ることができると思 います。しかし、今後さらに汚染が進むと、チェルノブイリのように封鎖しなければならなくなると思います。
青木:現時点では、よく調べ除染すべきをすれば、住民が戻って生活をできる可能性があるということですね。ただし、これ以上悪化すれば、 極端にいえば人が近づけないような状況にもなりかねないということですね。
小出:おっしゃる通りです。(インタビュー終わり)
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