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菅総理では東北・関東大震災は救えない
日本は史上稀というべき非常事態である。日本発の世界恐慌の恐れさえ孕む重大局面である。野党も協力を申し出ている。菅総理も反小沢・親小沢の確執を乗り越えて挙党態勢を構築し、あらゆる人材を活用しなければならないはずだ。この時期に菅総理の無様な対応、言動を批判することは不謹慎だという反発が出てくることは百も承知である。しかし、言うべきことは言わなければならない。「国難、非常時」を理由に一切の批判を封じ込めるのは権力側の常套手段だ。ニューヨークの9.11同時多発テロのとき、CIAの情報操作に踊らされ、思考停止となって激情のままにブッシュ大統領のイラク攻撃を支持し、わずか数年にして、国際社会でアメリカの信用を失墜させた上下両院議員とそれに唆されたアメリカ国民の姿を他山の石とすべきである。
■菅総理は思考停止である
15日朝、枝野官房長官は福島第一原発事故について「本日、政府と東電で統合対策本部を設置する」と発表した。私は気絶するくらいびっくりした。 11日午後、車を運転中、強烈な地震を感じ、ラジオで震源が岩手沖であることを知ったとき、阪神淡路大震災とはケタ違いに大きいと直感した。菅総理は私よりもはるかに詳細な情報を、瞬時に受けていたはずだ。被災者救援と原発事故防止に、最悪の事態を想定した万全の体制と対策を具体的に指示したと思っていた。しかし、菅総理は何もしていなかったのだ。
産経新聞によると、同日午前、菅総理は東電本社に乗り込み「福島第一原発の爆発事故の連絡が遅れたことについて『一体どうなっているんだ』と強く批判した。『テレビで爆発が放映されているのに首相官邸には1時間くらい連絡がなかった』と東電の対応に苦言を示し、『撤退などあり得ない。覚悟を決めて欲しい。撤退したときには東電は100%つぶれる』と厳命した」のである。その怒鳴り声は廊下まで響いたそうだ。原発事故の責任を東電に転嫁するつもりなのか。東電の現場社員は命がけで対策に没頭しているが、東電本社の幹部の対応には「情報を隠蔽しているのではないか」という不信が私も含めて多くの国民の中にある。しかし、根源的な問題は、菅に震災時の原発事故防止の最高責任者は総理であり、責任転嫁は出来ないという危機管理意識と責任感が希薄なことである。
13日午後、枝野長官は記者会見で「総理が被災現場を視察したいという強い意向を持っているので、地元と調整したが、調整がつかなかった」と述べた。総理が視察するとなると、その対応だけで地元はてんやわんやの大忙しになる。救援活動で猫の手も借りたいこの時期の視察ほど迷惑なものはない。私は二度、阪神淡路大震災を視察したが、地元に余計な負担や迷惑をかけないよう、細心の注意を払ったものだ。愚妻も扇千景参院議員(当時)の「議員夫人が現地で炊き出しをしよう」との提案で神戸に行ったが、現地に負担をかけたのは、炊き出しの場所確保だけで、食材も釜も全て「炊き出し部隊」の持ち込みだった。「現地の迷惑考えず」、テレビを通して「最高指揮官としての雄姿」をアピールする目論みは瞬時にして見透かされたといえよう。
15日、電話で菅と会談した佐藤雄平福島県知事は「県民の不安や怒りは極限に達していることを伝え、(1)国が責任を持って事態の早期収拾を図る (2)県外避難先の確保など、全面的な支援を行う (3)県民に分かりやすい情報を提供する、の3点を要望した。翌16日朝、津波と原発事故にみまわれた南相馬市の桜井市長はNHKを通じて「国からの情報はまったくない」と怒りをぶちまけていた。避難先についても栃木県那須町や埼玉県三郷市がいちはやく用意し、東京都も住宅提供を申し出るなど、国の無策とは大違いで、地方自治体の対応は具体的で迅速である。
13日、福島原発の取材のため双葉町入りしたフォトジャーナリストの広河隆一によると「午前10時20分、双葉町役場玄関付近で放射線を計測。すべての計測器が振り切れた。さらに、午前10時30分頃、双葉町厚生病院玄関前で計測したところ、ここでも、すべての計測器が振り切れた」という。使用した計器は「BEIGER COUNTR DZX2(上限は1000マイクロシーベルト/時)」と「VICTOREEN209-S1(上限は10ミリレントゲン/時以上)」、「MYRate PRD-10/時」」の3台で、上限を超えているため、正しい数値を確認することはできなかったということだが、かなり危険な数値だ。しかし、政府、東電は「心配なし」と言い続けた。被災地の住民、とくに戦争体験をもつ年配者は「わが軍の損害、軽微なり」という大本営発表と同じだと不信感を募らせていた。
15日午前10時22分、3号機付近で、一般人の年間被ばく限度の400倍に匹敵する1時間あたり400ミリシーベルトの放射線量を計測した。東京でも放射線量を計測した。京大原子炉実験所の小出裕章助教は「既に米スリーマイル島の事故をはるかに超えている。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故になりかねない。1,3号機もその危険を抱えている」と指摘している。菅は「冷静に」と呼びかけ、原発から半径20〜30kmの住民に屋内退避を要請したが、満足な情報が与えられていない住民はしらけるばかりだろう。広河隆一は「半径20km圏内立ち入り禁止の表示も検問もなかった」と書いている。住民の不安を抑え、パニックを防ぐ最良の方法は国民に信頼されている内閣が、正しい情報を住民に機敏・適格に提供し続けることである。
12日朝、菅は突然、福島原発を視察した。総理の視察となると、現場は資料の作成や専門家の説明員の確保で事故対策どころではない。初動の最も大事な数時間を総理対応に浪費させ、その結果、原発事故対策を後手後手にして、最悪の事態をまねきかねない状況に追い込んだ菅の愚行は糾弾されてしかるべきだろう。菅総理は自己保身のみに汲々として、それ以外は思考停止である。
今回、眼を引くのは自治体職員、警察官、消防団員の命がけの活躍とそれをサポートする自衛隊の活動だ。阪神淡路大震災を教訓にして、与野党が協議し、多くの法整備、法改正をした。例えば、自衛隊に災害出動を要請できるのは県知事だけだったが、阪神淡路の反省として、市町村長も要請できるように改正した。
ところで、政治が早急に取り組まなければならないのは日本経済の立て直しとインフラ、国民の生活など復旧、再建事業である。阪神淡路大震災とは比べものにならない巨額の資金と長い期間が必要になる。私は巨額の資金を単に従来型土木事業ではなく、この機会に日本国土の改造、日本経済・産業構造の転換、一般庶民の生活基盤の強化など、構想すべき壮大なビジョンが必要だと考えている。壮大なビジョンを作り、その実現に猛進するスケールの大きな政治家とそれを支える豊富な知識と情報を持った有能な官僚が不可欠だ。財務省流「財政の健全化」などというチャチな観念に固執すると日本列島は沈没し、世界大恐慌の引き金をひくことになるだろう。予算の総組み換えという荒療治をするにも絶好のチャンスではないだろうか。
また、今回の被災者救援活動は県、市町村など「地方の力量」を見せつけた。中央官庁はまったく手も足も出せなかった。情報すら提供出来なかった。地方主権は可能である。補助金制度を廃止し、地方自治体に一括交付金と権限を移譲する理論の現実性を見せつけたのである。
「科学の時代」は怖い。原発は牙を剝くと人類を絶滅させる。ただちに全原発の総点検を行い、さらに、時間はかかるけれど、「脱原発」をエネルギー政策の基本にし、第三のエネルギーを開発すべきだ。高速道は非常時には全く機能せず、在来道路が威力を発揮した。電話はアナクロの黒ダイヤル電話は平常どおり機能したが、携帯は役立たずだった。ガソリンがないので遠出もできない。わが町も「大東京」も、ともに陸の孤島だった。私たちがなじんできた便利で安楽なライフスタイルがバーチャルであることも明らかになった。地震の恐怖がなければ静かな空間があった。インフラ整備も生活の質を豊かにするものを検討すべきだろう。今までの生き方を、見直す勇気を持ってもいいのではないだろうか。
阪神淡路大震災の際、与党自民党を指揮したのは幹事長・森喜朗で、野党新進党を指揮したのは幹事長小沢一郎だった。16年経った今日、非常時対応の経験がある議員は少なくなった。大半の議員は机上の勉強もしていないド素人だ。16年前、若手として活躍した官僚は、今は局長、審議官だ。官僚は絶えず、議員の品定めをしている。官僚が使命感をもち、のびのびと活躍できる環境を作るのも政治主導である。政治主導は仕組みだけではなく、議員の実力、人間性も重要な要素なのだ。
地震が起きたとき、東京・青山のペンシル・ビルの地下にいて、編集者と執筆の打ち合わせをしていたキャリア官僚のOBは、揺れが一段落したとき、開口一番、「ヨレヨレの菅が、出動服を身につけてパフォーマンスを始めるだろう。ヨレヨレの菅もこれでひととき息を吹き返すことになるにちがいない。この震災は、菅にとっては『神風』になるかもしれない」、「こういうときには小沢一郎のような人物が必要なのかもしれない」と言ったという。それから数日後、さすがのマスコミも「政権無策 不安を増幅」(読売15日)「政府対応 後手に」(毎日16日)と「菅の危機管理能力の欠如」を追及し始めた。大げさではなく日本の存亡を賭けた政治を菅に委ねるのか、とりわけ、民主党議員の見識と決断にかかっている。(敬称略)
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