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日刊ゲンダイ2011年3月15日掲載
買い占めている国賊がいるのか
「ガソリンスタンドを6軒回ったけど給油できなかった」と、都内在住のサラリーマンはゲンナリ顔だ。
東北の被災地だけでなく、首都圏もガソリン不足で悲鳴を上げている。東京や神奈川、埼玉ではガソリンスタンドにクルマの長蛇の列ができ、東名高速や中央道では給油制限を実施。あちこちでガソリンが売り切れになっている。石油は半年分の備蓄があるはずなのに、どうなっているのか。
今回の地震では、コスモ石油の千葉製油所が火事になり、東燃ゼネラル石油の川崎製油所も操業停止になるなど、国内の原油処理能力の27%が失われた。ただ、全国的にガソリンが不足しているわけではないようだ。石油連盟に聞いた。
「全国のガソリンの在庫量は216万9586キロリットルあり、西日本では不足しているという報告はありません。ただ、関東は8カ所ある製油所のうち4カ所が操業停止になり、流通にも支障をきたしているためうまく行き渡らないのです」(広報グループ)
経済産業省は「被災地優先で緊急車両や人命救助、原発地区の住民の避難に使われています」と言うが、実は現地でも自衛隊の車両用ガソリンが不足しているという。関東から東の地域はどこもガソリンに不自由しているのだ。経産省は下々の暮らしが見えていないのではないか。
こうしたガソリン不足に首都圏では消費者の心理的パニックが重なる。立教大教授の郭洋春氏(アジア経済論)が言う。
「コンビナートからガソリンを運べないことのほかに、一般の人たちが“買いだめ”に走っていることも大きい。テレビで製油所の大火災を見て“ガソリンがなくなる”という不安から買いに走り、関東大震災が起きたらクルマで逃げようという気持ちが拍車をかけている。トイレットペーパーまで品薄になっているという現実がパニックを物語っています。大企業が買い占めてるわけではありません」
こうした状況はいつごろ落ち着くのか。
「04年の新潟県中越地震では余震が1カ月ほどでおさまり、市民のパニックも軽減しました。今回も買いだめが沈静化するまで1カ月ほどかかるのではないかと思います」(郭洋春氏)
14日、海江田経産相は126万キロリットルの石油を放出すると発表した。しかし、頭がパニックになっている国民はそんなニュースも知らず、15日も右往左往している。
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