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http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2011/03/post_250.html
去年の参議院選挙の結果によって菅政権は3月には行き詰まることが予想された。従って3月政局に波乱が起きるのは想定内だが、3月に入るや否や外国人献金問題、主婦年金救済問題、竹島署名問題、メア米国務省日本部長発言と問題が日替わりで出てきた。想定を越えるめまぐるしさである。
参議院で過半数を失った政権は、普通は味方陣営の結束を固め、次に敵陣営の一角を切り崩して安定を図るものだが、菅総理は「脱小沢」を強調して味方陣営を分断し、敵陣営の最大勢力である自民党の政策を取り入れて対立軸をなくそうとした。
政権交代直後の民主党政権が「政治とカネ」のスキャンダル攻撃と普天間問題でアメリカの壁にぶつかったことから、アメリカと官僚権力を後ろ盾にしないと政権を維持出来ないと考えたのかも知れない。既得権益と戦うのをやめて従来の自民党的手法に戻ろうとしたのである。
菅総理は自民党と張り合うように増税路線を主張し、官僚を持ち上げ、「クリーンな政治」を表看板にし、日米同盟を強調した。しかしそれが国民の不信を招く。秋波を送られた自民党も国民に支持されない政権と手を組むわけにはいかない。不人気なままの政権を解散・総選挙に追い込む戦術に出た。それが2月までの流れである。
ところが3月に入ると菅総理の看板である「クリーン」がブーメランのように政権を直撃した。前原外務大臣が在日韓国人からの献金を指摘されて辞任すると、すぐさま菅総理自身にも同様の献金問題が発覚した。
昔、年金未納問題で自民党を攻撃していたら、それが自分に戻ってきて民主党代表を辞任せざるを得なくなった時と状況が似ている。未納は役所の不手際で本人に落ち度はなかったようだが、年金未納の自民党閣僚を舌鋒鋭く批判して辞任に追い込み、マスコミを煽って未納政治家を次々炙り出したため、いざ自分の問題が指摘された時には釈明が効かないほど社会全体が「魔女狩り」モードになっていた。
当時、私は年金未納の何が悪いのか分からなかった。誰にでもミスや勘違いはある。未納をすれば受け取れる年金が受け取れなくなるだけで、閣僚を辞任しなければならないほどの問題かと思ったが、新聞もテレビも連日未納政治家の顔と名前を悪の代表のように報道した。そしてその裏側でどさくさにまぎれるように国民の負担が増えて受給額が減る年金法案が成立していった。
私は年金未納問題は年金法案を成立させるための権力側の陰謀だと思っていたが、それに乗せられた菅民主党代表は、鋭く追及したばかりに自分の首を絞め、頭を丸めてお遍路するはめになった。権力を目指さない昔の野党ならいざ知らず、政権交代が可能になった時代には、スキャンダル追及で鬼の首を取ったような気でいると、いつか自分にはね返ってくるのである。
外国人からの献金はアメリカでも違法だが、その対応を比べると日米の落差は著しい。巨大商社の政治担当役員から聞いた話だが、アメリカ大統領選挙の時期になると共和党関係者が日本にも集金に来るという。献金に応じた企業は大統領就任パーティに招待されて大統領周辺と人脈を築ける。
一方の民主党は中国人からの個人献金がしばしば問題にされる。ゴアは中国系宗教団体から献金を受けたと言われ、オバマとヒラリーは中国人から個人献金の疑惑が持たれた。ヒラリー国務長官は外交の責任者である。しかしだからといって辞任追及の話にならない。政治家の評価は政治的能力が第一で、スキャンダルは二の次なのである。あのケネディもマフィアからの献金で大統領に就任したと言われたが、それで政治家の評価が下がった訳ではない。
しかし日本ではスキャンダル第一である。本人の能力を考慮する前に外国人からの献金が発覚すれば公民権停止の話になる。これまでは企業献金が悪で個人献金が善のような言い方をされてきたが、個人献金ほど素性の分からないものはない。外国人が偽名を使うことはもとより、犯罪者や不適切な個人の寄付があるかも知れない。そのたびに国会で問題にされ、辞職を迫られ、与野党がもめていたら政治の本来の仕事は出来ない。「クリーンで国民主権は守れない」と私が思う由縁である。
「クリーンな政治」を標榜したのは三木元総理で、菅総理は「三木おろし」に抵抗した三木元総理を真似たいようだが、その三木元総理は「クリーン」の裏側で札束をばらまく政治家であった事を「配り役」をやった海部元総理が暴露している。そしてそれは必要悪であったと海部氏は弁解している。
政治家は自前の政治資金を作らないと、情報収集や人脈形勢が難しく、官僚の情報に頼らざるを得なくなる。アメリカでは官僚の他に議会のシンクタンク、政党のシンクタンク、民間のシンクタンク、そして国費で雇える数十人の政策スタッフに支えられて政治家は仕事をする。海外に人脈を作ることも大事な仕事である。「クリーン」に縛られて情報や人脈をおろそかにすればそれがそのまま政治力の差になる。
「クリーン」を標榜して「脱小沢」を図った菅政権が自縄自縛に陥ってきたのではないかと書いていたところで、突然大揺れがきた。巨大地震で国会審議もストップ。大災害になればスキャンダル追及どころの話ではない。災害復旧のために政治は全力を傾けなければならない。与野党は協力して政治の仕事に取り組むしかない。
臨時国会でも北朝鮮の砲撃事件で菅政権は危機を救われた事があるが、今度は国内に大災害が起きた。それが3月政局にどう影響するか、まだ見通すことは出来ないが、それにしてもこの変動は普通でない。3月は大乱の様相である。
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