http://www.asyura2.com/11/senkyo109/msg/752.html
Tweet |
○犯行時少年被告の実名報道は遺憾…日弁連会長 (読売オンライン 2011年3月10日19時59分)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110310-OYT1T00891.htm
連続リンチ殺人事件で犯行時少年だった被告3人の実名報道について、日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は10日、「少年法に反する事態で極めて遺憾。再審や恩赦によって少年が社会に復帰する可能性は残っており、実名が報道に不可欠な要素とも言えない。今後、実名報道をすることがないよう強く要望する」との声明を出した。
(引用おわり)
--------------------
元少年3人の犯した連続強盗殺人事件裁判が、3月10日、最高裁の上告棄却により死刑確定したことは、被害者ご遺族の方々にとって、また加害元少年たちの側の人々にとっても、つらく悲しいことでしょうから、軽々に感想は述べられません。
また、いわゆる「永山基準」から、光市母子殺害事件裁判を経て、変容し、今回ますます強化されてきたと思われる厳罰化傾向についても、賛否あるところでしょうが、ここでは論じません。
ここでは、このたび新聞、放送などが、加害元少年たちについて、実名・匿名の報道に分かれたので、このことについて考えてみました。
東京新聞(3月11日朝刊11版S 30面)によれば、新聞は朝日、読売、産経、日経が実名。毎日が匿名。(東京新聞も匿名。)
そのほか、共同、時事も実名で配信。
東京キー局は、テレビ朝日以外は実名。フジは顔写真も放送したそうです。
さて、その言い分ですが、
↓
○朝日新聞 「おことわり」 (朝日ドットコム 2011年3月10日15時14分)
http://www.asahi.com/national/update/0310/TKY201103100259.html
おことわり 朝日新聞はこれまで、犯行時少年だった3被告について、少年法の趣旨を尊重し、社会復帰の可能性などに配慮して匿名で報道してきました。しかし最高裁判決で死刑が確定する見通しとなったことから、実名に切り替えます。生命を奪われる刑の対象者は明らかにすべきだと判断しました。本社は2004年、事件当時は少年でも、死刑が確定した場合は原則として実名で報道する方針を決めています。
○読売新聞 「おことわり」 (読売オンライン 2011年3月10日19時51分)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110310-OYT1T00692.htm
おことわり 読売新聞は、犯罪を犯した未成年者について、少年の健全育成を目的とした少年法の理念を尊重し、原則、匿名で報道しています。しかし死刑が確定すれば、更生(社会復帰)の機会はなくなる一方、国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事となります。このため10日の判決から、3被告を実名で報道します。
(コメント)
朝日の、「生命を奪われる刑の対象者は明らかにすべきだ」というのは理由説明になっていません。意味不明。
読売の、「国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事」は、ひとつの言い分ではあります。後述します。
--------------------
他方、匿名とした毎日は、
↓
○匿名報道を継続します−本紙見解
(毎日jp: http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110311k0000m040040000c.html)
毎日新聞は元少年3人の匿名報道を継続します。4人の命が奪われた残虐極まりない事件ですが、事件当時に少年だった被告の名前は少年法の理念を尊重し匿名で報道するという原則を、最高裁判決が出たからといって変更すべきではないと判断しました。
少年法は、成熟した判断能力をもたない少年時代に起こした事件に関して、その少年の更生(社会復帰)を目的としています。死刑が確定すれば更生の可能性がなくなるとの意見も一部にありますが、更生とは「反省・信仰などによって心持が根本的に変化すること」(広辞苑)をいい、元少年らには今後も更生に向けて事件を起こしたことを悔い、被害者・遺族に心から謝罪する姿勢が求められます。
また、死刑確定後も再審や恩赦が認められて社会復帰する可能性が全くないとは言い切れません。
少年法61条は、少年時の事件で起訴された被告らの名前や住所など本人と推測できるような記事の掲載を禁じています。毎日新聞は以前から報道指針として、少年事件は匿名を原則としつつ、その少年が逃走中などで新たな犯罪が予測される時や社会的利益の擁護が強く優先する時などは実名報道もありうる、と定めています。また、死刑が執行されるような事態になれば、更生可能性はその時点で消えたと解釈することができ、実名報道に切り替えることも改めて検討します。
千葉県市川市の一家4人殺害事件で01年に最高裁で死刑が確定した元少年について、毎日新聞をはじめ多くのメディアが匿名で報道しました。その時から実名報道に切り替えるべき新たな事情も見当たらないと判断しました。
今回は実名で報じる場合には当てはまらないと結論づけましたが、少年事件の実名・匿名問題は今後も個別のケースごとに議論を重ねながら報道していきます。
--------------------
(参考)
↓
○少年法 第61条(記事等の掲載の禁止)
家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
○少年の実名報道を受けての会長声明 (日弁連)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/110310.html
本日、最高裁判所が、いわゆる連続リンチ殺傷事件について、犯行時少年であった3人の被告人に対して死刑判決を言い渡したことを受けて、一部の報道機関は被告人らの実名を報道した。
これは、少年時の犯行について氏名、年齢等、本人と推知することができるような記事又は写真の報道を禁止した少年法61条に反する事態であって、極めて遺憾である。
凶悪重大な少年事件の背景には家庭での虐待等の不適切養育や学校・地域などをめぐる複雑な要因が存在し、少年個人のみの責任に帰する厳罰主義は妥当ではなく、少年の成長支援が保障されるべきであることから、少年法1条は「健全育成」の理念を掲げ、同法61条は、この理念に基づき、少年の更生・社会復帰を阻害することになる実名報道を、事件の重大性等に関わりなく一律に禁止している。
(中略)
そして、上記の理念は、少年が成年に達したり、死刑判決が言い渡されたりしても変わるものではない。また、死刑判決が確定した場合には少年の成長発達は問題にならないとする見解もあるが、再審や恩赦制度があることから、少年が社会に復帰する可能性は残っている。さらに、少年法61条の精神は、憲法13条から導かれるものであり、少年の個人としての尊厳及び幸福追求権は、少年に死刑が確定した後も失われるものではない(当連合会2007年11月21日付け「少年事件の実名・顔写真報道に関する意見書」参照)。
もとより、憲法21条が保障する表現の自由の重要性は改めて言うまでもないが、私人である少年の実名が、報道に不可欠な要素とはいえない。事件の背景・要因を報道することこそ、同種事件の再発を防止するために不可欠なことであり、むしろ実名を報道することで、模倣による少年非行を助長する危険性もある。
当連合会は、報道機関に対し、今後、同様の実名報道、写真掲載等がなされることがないよう、強く要望する。
2011年(平成23年)3月10日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児
--------------------
(コメント)
要するに、今回の実名報道も、少なくとも日弁連の見解によれば、法律違反です。
朝日、読売などの、「おことわり」記事は、ただ違法行為(少年法違反)をした者の言い訳ということになります。
なお東京新聞は、自社の匿名維持の方針について、『なぜ匿名報道か−なお更生に配慮』、と題して、態度表明している(3月11日朝刊11版S 1面)。
そこで同紙が、少年法の趣旨を尊重し、更生への配慮の必要性はなおある、とする考え方には賛成です。
しかし、その中で、「報道は実名を原則とし、重大事件の加害者の氏名は社会の正当な関心事です」、としているのは、残念ながら大いに問題だと考えます。
(前出の読売が、「国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事」としているのも同様でしょう。)
私(投稿者)は、「重大事件の加害者の氏名は社会の正当な関心事」だ、などということはまったくない、(=それはほとんどの場合、卑しい興味関心にすぎない)、
報道が実名を原則とするのは、本来、ジャーナリズムが架空事を捏造するのを防止、チェックするためだけだ、と考えます。
ついでにいえば、上記日弁連会長声明にもあった、「憲法21条が保障する表現の自由の重要性は改めて言うまでもない」も、言い古されたデマ、インチキと思います。
「表現の自由」は、強いもの、権力に対する批判が抑圧されるときのみ問題となるものです。歴史的にもそうだったはずです。
それがいつの間にか、現在のように、その本来の意義を離れて無際限に利用、主張されています。
今では「表現の自由」とは、世間の卑しい興味関心をひくことを利用して金儲け、商売をしようとする連中が、もっとも好便に振り回すスローガンになっています。
そう考えれば、本来、事件の実名報道とは、政治家の不祥事や一部幹部クラス公務員の贈収賄などで十分ではないでしょうか。
--------------------
軽犯罪や、事実かどうかもわからない痴漢騒ぎなどまでいちいち実名報道とする最近の風潮は問題です。
「真実」の報道に名を借りて読者の関心を惹こうとするのでしょうが、残念ながらわれわれにはそのような下卑た興味はありません。
空腹のあまりの窃盗や、出所したばかりですぐ困り果て再び刑務所志願の強盗騒ぎなど、社会的事象としては知るべきでしょう。
しかし、そのような行為に出ざるを得なかった人たちの「実名」など、私たちは知りたくありません。
読者にそのような下卑た興味があると考えるのは、金儲けを考えるジャーナリズムだからこそする、まさに下卑た邪推です。
最近では「第三書館」の出版差し止め事件、古くは柳美里「石に泳ぐ魚」事件や、「ジャーナリスト」草薙厚子の奈良少年放火事件調書漏えい出版がその例です。
↓
(以前の投稿ですが、資料としてご参照ください。)
国際テロ:流出情報、出版差し止め 東京地裁が仮処分決定(毎日新聞)−「問題提起したかった」?
http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/805.html
投稿者 一隅より 日時 2010 年 11 月 30 日
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK109掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。