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なぜ自らの「政治とカネ」に気がつかなかったのか 前原外相辞任で追い込まれた菅政権の窮地 (田中秀征 政権ウォッチ|ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/articles/-/11438
前原誠司外相が自らの外国人献金問題の責任を取って辞任した。まずは、順当な出処進退を示したと言えるだろう。
この前原辞任が菅直人政権にどのような影響を与えるか。感じるままに列挙してみよう。
前原氏の辞任は“泣きっ面に蜂”
ドミノ倒しになる可能性も
まず、この問題での野党の追及をかわすことができる。だが野党が勢いを得て、細川厚労相の辞任要求を強め、いわゆるドミノ倒しになる可能性もある。
最有力の“菅後継”候補が挫折し、当面は民主党内の“菅降ろし”が下火になるかもしれない。
政権基盤の中枢を担い、外相という重要閣僚を務めてきた前原氏が抜けると、内閣の弱体化をもたらす。
前原、仙谷氏らの“前原グループ”が自由になり、首相の政権運営に是々非々の対応を強める恐れもある。
外交通の前原氏が辞めて、日本外交に対してもマイナス効果は少なくない。
民主党の錦の御旗である“クリーンな政治”に疑問符がつき、党全体への不信感が高まる。
いずれにしろプラスとなることはほとんどない。泣きっ面に蜂である。
偽メール事件の反省が生きていない?
脇が甘すぎる前原氏に募る不信感
それにしても、前原氏は脇が甘すぎる。このまま菅後継として党代表や首相になったら途方もない間違いを犯したのではないかとさえ思われる。
これだけ「政治とカネ」問題が、日本の政治を混乱させているのに、彼はなぜ自分の政治資金の出入りについて精査しなかったのか。まずそのことが大きな疑問である。
特に彼は数年前の偽メール事件で代表を辞任した前歴がある。それなのになぜ同様のことを繰り返したのか。何も学んでいないと言われても仕方があるまい。
私は今回の事件の内容は比較的軽微なものと思っている。
少年時代から彼に期待していた人が、何らかの形で応援したいという気持ちはわかる。そんな浄財をありがたく受け取る前原氏にも問題はない。ただ、それが法律違反の外国人献金だったから無視できないのだ。
しかし、こんな“美談”を前原氏が「知らなかった」というのは、かなり説明を要するだろう。
細川護煕元首相も認めた前原氏
次代の指導者候補として10年後に期待する
前原氏は、「日本新党」と「松下政経塾」を看板にして政界に進出してきた。民主党の中堅幹部にはそういう人が少なくない。
彼らはブームに乗って若くして表舞台に出たから、政治家として“上げ底”の人が多い。選挙や政局での手練手管を磨くことに熱心で肝心の志が鍛えられていない。
細川護煕元首相はかつて「前原はちょっと違う」 と私に言ったことがある。
それは母子家庭に育って苦労していること。そして、細川ブームだけで当選したのではなく、京都府議として自前の政治基盤を足場にしていることだ。
偽メール事件のとき、私は代表を辞めるだけでなく議員を辞職すべきだと公言した。それは将来の前原氏の活躍に期待したからである。
今回も「辞める必要がない」という声も少なくないだろう。だが、次代の指導者候補であれば、世間が求める責任より、はるかに大きな責任を引き受けてほしい。
彼が偽メール事件で議員辞職していたとしても世間は決して見捨てなかっただろう。もう既に政界に復帰して、もっと信頼感のある指導者となっていたはずだ。もちろん今回のような軽率な失敗を繰り返すことはなかっただろう。
“天が与えた雌伏のとき”。そう受け止めて、10年後を期するつもりで修練してほしい。
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