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「運用3号」が明らかにした官僚の無責任を報道しないマスコミ
今月に入り、俄かに騒がしくなった専業主婦の年金切り替え問題は、「運用3号」を撤回し、時限立法で常識的な線で見直すことになった。新聞やテレビでは、この運用3号について詳しく説明していたのには驚いた。嫌味を書くが、政治資金規正法、検察審査会法などについても、同様に法律と制度の趣旨を詳しく説明することができたはずだ。なぜ、それをしなかったか、それが問題なのである。
この運用3号が問題なのは、総務省の年金業務監視委員会が指摘したように、年金保険料をまともに納付してきた人と、救済措置を受ける人との間に生じる「不公平」にある。今一つの問題は、厚生労働省の一課長が出した「課長通知」で以って、法律に反した措置を行ったことにある。中央官庁の官僚が出す「通知・通達」の類はあくまでも法律に基づいていなければならない。この点を指摘したマスコミは全くない。
しかも、一課長が出した通知を、細川律夫厚生労働相が承知していなかった。そのことを、野党自民党は細川厚労相の責任だと言い、問責決議を出す構えであるが、それは少し違うだろう。一方、細川大臣の言い訳も見苦しい。長妻前大臣からの引継ぎに無かったとか、事務方から受けた当面の課題に関する説明の中でも、この問題が含まれていなかったとか、他に責任転嫁する発言は、政治家としてすべきではない。
一番叩かれるべきは、厚生労働省の官僚だ。行政は全て法律に基づいている。だが、法律だけでは行政を執行できない。従って施行令が定められ、さらには通知・通達が出される。おそらく霞ヶ関から多くの通知・通達が出されているが、その多くが大臣の了解を得ていないのだろう。一事が万事だ。だからこの問題が発生した。そう考えても不思議はないだろう。
この問題で今一つ不可解なのは、100万人だと言われる保険料未納の3号被保険者の数とその原因だ。100万人もの主婦が「本当に知らなかった」のだろうか。3号被保険者の専業主婦には、少なくとも2つのチェックポイントがあったはずだ。その第一は、夫が厚生年金から脱退した時。第二は、企業を退職し、企業健康保険組合から国民健康保険に切り替えた時の2回である。
60歳未満で、2号被保険者である夫が厚生年金から離脱すると、退職時に企業の担当者から、また、国民年金加入手続きの際に市町村の年金窓口で、それぞれ注意されるはずだ。また、国民健康保険への加入窓口でも、同様に注意がある。60歳以上で退職した場合は、企業担当者の言い忘れもあるだろうが、それでも、退職後2年前後で、企業健康保険から国民健康保険に切り替える時に、窓口で指摘されるはずだ。
この二重のチェックポイントで、なぜ100万人もが見逃されたのか。その原因を究明し、対策を立てなければ今後も同じことが起こる。しかも、この3号から1号被保険者への切り替えで、無届や未納問題が起こる危険性は85年の制度発足時から指摘されていた。つまり、自民党政権での制度設計に問題があった。だから、この問題で細川厚労相を問責することは出来ないと言うのだ。
マスコミは、細川厚労相を問責など政局に絡ませて報道してきたが、マスコミがもっと報道すべきは官僚の怠慢だろう。大臣の了解も得ないで、一課長の通知で、国民の目の無いところで、事を済ませようとした。遡って言えば、この未納専業主婦の存在が明らかになったのは、9年秋に実施した旧社会保険庁OBへのアンケート調査であったそうだが、それまで知っていても黙っていた官僚の無責任さだろう。
マスコミが官僚の無責任を追及しないのは、記者クラブの所為だと思う。東京地検が東京新聞の報道内容にクレームをつけ、記者クラブへの出入り禁止をしたことがあったが、官僚の無責任を先駆けて報道をすると、それに近いことをされるのだろう。マスコミの報道が信頼できないことを、小沢問題で論じると、直ぐに親小沢とか反小沢とか色眼鏡を掛けるが、このような問題では、素直に理解できるだろう。
<徳山 勝> ( 2011/03/09 18:30 )
http://www.olive-x.com/news_30/newsdisp.php?n=105080
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