分限と懲戒（おおやにき）
2011年3月 7日 13:45 おおやにきブログ
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前原外務大臣が辞任したそうである。長年の支持者であった在日韓国人の焼肉店経営者から献金を受け取っていたのが政治資金規正法に違反するということだが、そのような人間関係を背景に・5年間で合計20万円という程度の金額をもらったことが辞任に値するような悪いことか、と聞かれれば戸惑わないではない。前原氏自身も「献金によって外相の職務に影響を受けたことはない」(asahi.com) と述べたようだが、確かに国会議員が動く規模の金額ではないだろうし、そもそも言われているような関係があればお金など渡さなくても前原氏が動くことはあったかもしれない。そして、そのような人間関係を介した影響力を禁止する法律はないし、禁止することもできないだろう。大臣が自らの出処進退について判断したことなのでこのような表現がそのままあてはまるわけではないのだが、しかし懲戒免職に相当するような「悪い」振る舞いであったかは確かに疑問で、問題はそこにはないよなと思った。つまりこれって、どちらかと言うと分限処分の問題だろと。

以前にも、懲戒処分と分限処分の違いについては触れたことがある。要するに、悪いことをしたからそれに対する罰として処分しますよ、というのが懲戒。担当している官職・仕事が消滅したとか、本人の能力不足とか、法律的・道徳的に悪いことをしたわけではないが現職とのミスマッチがありますというのが分限処分である。今回の前原氏の行動の問題点は、(1) 大臣という重職にありながら(その規制の正当性について立法論的に論じることは可能であるにせよ)法律の文面上明らかに違法となる状態を放置していたこと、(2) 議会での質疑という・証拠が歴然と残る場面でそのことについて問われてすらすらと答えてしまったこと、(3) さらにその際、違法性の基礎となる事実(外国人である)を認識していることについて言質を取られたことにあるだろう。要するに、これが押さえられたらおおごとになるという感覚が欠如していたか、その感覚はあったが言動を適切にコントロールすることができなかったかということであり、政治家としてあほおである。だから行為自体の善悪がどうこうよりも無能であり外務大臣には不適格だと、そういうことになろう。

さらに言えば、問題になりかけたあとも福田康夫元総理が外国人を株主とする企業からの献金を受けていた例などを持ち出して抵抗している。しかし、本人の属性だけが問題になる個人献金に対して、企業献金の場合には現在の株主が誰でありそれぞれの国籍がどこにあるのかといったことが簡単にチェックできるわけではないし、違法性の基礎となる事実への認識があったのかどうか、より正確に言えばあったと言ってしまったかどうかが根本的に異なっている。実際には知っていたとしても国会の場では「いわゆる在日の方だが、国籍について確かには承知していない。早急に調査して問題があれば対処する」とでも言っておけば福田元総理の事例との比較にも持ち込めただろうが、その可能性を投げ捨てたのはご本人の能力不足によるとしか言いようがない。外交は信頼関係だ、20万円程度のことで継続的な人間関係を絶ち切っていいのかと言っている人もいたようだが、こんな脇の甘い人間が外交の舞台で信頼されるわけもないので心配する必要もなかろう。相手方がきちんと調査していれば「永田メール事件」の時点ですでに信頼できないという判断をしているであろうという点についてはとっても秘密である。

しかしまあ、これではっきりしたなと思うこともあって、つまりこの男は逃げるよね。正しい勝負の仕方というのはひと通りではないから、とりあえず曖昧に受けておいて相手の手札がはっきりしてから手を決めるという方法も、とにかく何か一旦言い張ったことを貫き通すという方法もある。福田康夫元首相なんかはわりと前者だったし、年金問題を「人生いろいろ会社もいろいろ」で突っ張った小泉純一郎元総理なんか、言っている内容は無茶苦茶なのだがとにかくその度胸は立派なものだと思う。しかし前原氏は、ポーカーで言えばまず無駄にレイズして掛金を吊り上げてからオリて逃げていくわけで、勝負の仕方としては最悪に近い。問題はこの人物の手腕に、(少なくとも)外交的には我々日本人の運命が賭けられていたという点にあるだろう。

人間の本質は変わらない、という意見には説得力がある。今回の辞任について、普天間問題から逃げたのだと見る人もいる。そうかもしれない。永田メール事件でインテリジェンスの感覚の欠如を露呈し、尖閣諸島問題でも強攻策に出て掛金を無駄に吊り上げてしまい、八ッ場ダム問題程度ですらこじらせるだけこじらせて自分ではケツを拭かなかった程度の人物を、何故外務大臣という重職に起用したのか。能力に関する相対的な評価の問題だと言われれば、返す言葉もないが。 　

コメント
01. 2011年3月08日 11:36:29: pIuQzZKpJc 前原には.経験不足の若造です。机上ては.頭が良いのだが.....小沢先生が前原の当選回数言っていたが？.....もっと勉強しなければ明日は無いよ。
02. 2011年3月08日 12:34:27: A4GQ7o9O02 投稿ブログに大いに同意。 こんな度胸のすわってない、器のちっちゃな奴に外交の命運を託していた民主党は反省せい。国民も大反省や。康夫ちゃんの口癖である「口先番長マエハラ」まさにその通りですね。
03. 2011年3月08日 22:17:45: c4fimY8n82 菅さんが前原さんを外務大臣に指名した報を聞いて『この人事は菅さんの命取りになる」と夫に言っていましたがそのとうりになりそうです。政治家ではないからです。また岡田さんが総理になったら『国が動かない」とも言っておりました。この人の融通の利かなさとルールを無視する思考は異常で理解不能です。この人も政治家ではありません。この一派と仙石、菅さんを含めた人が民主党を出て行くのが一番いい方法と思います。残った民主党議員が挙党一致で『国民の生活が第一』をめざしてほしいものです。

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