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二見伸明の「誇り高き自由人として」
政治は「民」か「官」か 戦後初の壮絶な路線闘争 ── 3.19一万人東京集会 の歴史的意義を考える
16人の会派離脱に続いて、今度は菅民主党に愛想を尽かして、3月3日、愛知一区の佐藤夕子衆議院議員が離党届を提出した。翌4日には、政治家は絶対に受け取ってはいけない外国人からの政治献金を、あろうことか、前原外相が受け取っていたことが発覚し、参院予算委員会で自民党から「外相辞任」を突きつけられ、前原は辞任した。(注:自民党長期政権の礎を作ったのはアメリカCIAの対日工作資金だという歴史的事実は記憶の片隅に留め置く価値があるだろう)。「小沢潰し」に明け暮れるツケが回って来たのだ。
「暗い日曜日ならぬ暗い一週間」が始まる。菅総理は、将棋で言えば「詰んでいる」。それも、「雪隠詰め」だ(注:雪隠(せっちん)とは便所のこと)。しかし、当の本人は「なんとかなる」と思い込んでいる。こういうのを「雪隠で饅頭を食う」という。国民の立場からすると、たまったものではない。国会は国民の生活を人質にして与野党がいがみ合っているようなものだ。自民党とマスコミは「民主党はマニフェストを投げ捨てて、自公政権が踏襲してきた従来型の官僚主導政治に戻れ」と攻め立て、菅執行部も、本心は自民党流政治の方が脳みそを使わず、気楽で、政権も長持ちしそうだと錯覚し、場合によっては自民党との大連立も模索したいのだが、「健全な世論」と「民主党正統派」が「国民との契約を破棄することはまかりならぬ」と眼を光らせているので、困り果てているということである。
2011年度予算は年度内に成立する。ところが、予算を執行するために必要な40.7兆円の借金(赤字国債)を許可する「特例公債法案」は廃案になるだろう。ということは、手持ち金51.7兆円で日本を運営しなければならないのだ。一方、義務的経費は、国債費(借金の返還)21.5兆円、社会保障関係費 28.7兆円、地方交付税交付金 16.8兆円の三本柱だけで67兆円になる。その他、国家公務員や小中学校の教師の給料分が6.8兆円ある。国債が返還出来ないとなると、国債の格付けは下がり、それが長期金利の上昇へと跳ね返って景気に悪影響を及ぼしかねない。年金も満足に支給できず、公務員の給料も遅配になるかもしれない。菅もその点を見越し、戦争末期の「本土決戦、1億玉砕」の平成版的発想で事態を乗り切ろうとしているのだろう。攻める野党やマスコミは菅に「国民生活が第一」を廃棄処分させ、「増税一直線」を飲ませるだろう。この毒薬は菅執行部にとっては甘い味のする薬かもしれない。しかし、先祖返りする政治では国民生活にとって明るい展望はなく、残るのは無力感、虚脱感だけである。大喜びするのは財界の一部とアメリカの国益のみを考え、「日本はTPPなどアメリカの世界戦略を無批判に受け入れる」ことを当然視しているネオコンとオバマ大統領だろう。
「閑話休題」
予算編成に関する菅内閣の致命的失敗を指摘しておこう。民主党は有権者との公約を果たすために予算編成に際し、政治家が政策の優先順位を決め、財源は予算の総組み換え、特別会計の抜本的改廃で捻出するはずだった。ところが、菅総理はそうした努力もせず、民主党の基本方針を否定し、自民党が取り続けてきた「シーリング方式」を採用した。この方式は高度成長期ならいざしらず、昨今の景気低迷や産業構造の転換、社会状況の変化に対応出来ないだけでなく、財政赤字を拡大する時代遅れの方式である。このことについては、昨年9月の代表選で菅は小沢一郎に厳しく問い詰められ、満足に答えられなかったのである。朝日、読売、毎日など大手マスコミの論説委員たちは無能なるが故か、はたまた、「小沢潰し」の意図によってか、こうした国の基本に関わる重要な論議を「政策論議が深まらない」と論評したのである。「国のかたち、政治のあり方をめぐって、自民党と同じ「先祖返り」を突き進む菅執行部派と「政治主導=国民生活第一」の民主党正統派との路線の対立は、すでにこの時、明らかだったのだ。
予算はさておき、マスコミは16人の会派離脱や佐藤の離党届を口汚く批判中傷し、「世論は支持しない」と報じている。しかし、Yahooの「みんなの政治」の「みんなの評価」では、菅、仙谷、岡田の「評価」は5点満点で{1}なのに、16人離脱組の会長、渡辺浩一郎は「2.5」、佐藤は小沢並みの「3」という高得点である。マスコミはこれら一連の出来事を「民主党内の内紛」「与野党の権力争い」とステレオタイプの皮相的コメントに終始しているが、これほどIQの低い、「学力不足」の評論は珍しい。有権者は直感的に事態の本質を理解しているのだ。
現在、日本は「官尊民卑」に象徴される牢固とした官僚制度に支えられた「バラマキ利権と弱肉強食の小泉、竹中以降、極端になった市場原理主義」という古い、従来型の政治と「官僚支配を打破し、政治主導・自立と共生、地方主権」を標榜する新しい政治が、「国のかたち」をめぐって争う路線闘争の真っただ中にある。換言すると小沢一郎、鳩山由紀夫を中心とする改革派が菅一派、自民党・マスコミ・官僚検察軍団などの連合軍と壮絶な戦いを展開しているのである。先日、私は外国人特派員に「総理の座を争う単なる権力闘争ではない。『民』か『官』か、国のかたち、政治のあり方を問う、戦後初めての路線闘争だ」と説明をした。
18年前、小沢が投じた一石は時代を作る激浪に成長した。自民党内にも公明党内にも小沢理論に共鳴する具現の士が出てきた。菅が衆議院を解散するか、それとも退陣するか、予測しようもないが、早ければ4月、遅くても6月には総選挙があるだろう。一進一退はあるだろうが、改革のうねりは、怠ることなく、大きく確かなものにしなければならない。
■「3.19一万人東京集会」の歴史的意義は大きい
政局が極度に緊張しているであろう3月19日13時、東京・千駄ヶ谷の明治公園で「一万人集会」とデモを行いたい。連合や業界・団体が個別のテーマで抗議あるいは要求の集会・デモ行進をすることは珍しくない。しかし「3.19」は「検察問題」「TPP」など個別の要求を内包しながら「国民生活が第一」という政治の原点、あり方そのものを訴える集会、デモだ。無名の庶民が自分の意思で参加し、政治家に覚醒を促す、民主主義の原点に立脚した運動である。おそらく戦後初だろう。労組、各種団体の参加は大歓迎だが運営するのは集会・デモを取り仕切った経験の少ない無名の庶民だ。手違いもあるだろうし、ゆきとどかないところもあるだろう。
リーダーの一人は毎週、新宿南口で、黙々と「民主党内で小沢一郎の地位保全を求める」署名運動をして、5千名以上の署名を集め、岡田幹事長に提出している人だ。また、小沢が民主党倫理審査会に提出した「私の主張」に「これこそ民主主義の原点だ」と感激して印刷し、東京駅前で配布している人もいる。第五検察審査会に単身乗り込んで、議決疑惑を暴き、国会質問につなげた猛者、菅総理の衆議院本会議での「こども手当2万6千円にはびっくりした」との答弁を聞いて「政権交代の原点を忘れたのか」憤り、自分で立てた20個の民主党の掲示板を叩き壊したサムライもいる。TPPなど時局の課題に一家言をもつ個性の強い人が多そうだ。我々が「小異を残して(注:『捨てて』ではない)大同につく」度量があれば、小沢一郎を総理にして「国のかたち」を変えることは可能だ。「消費税増税」はない。私は実行委員会の顧問に過ぎないが、老骨に鞭を打って成功させたい。言い古された言葉だが、日本のため、子、孫のために。
小沢一郎とは不思議な男である。18年間も叩かれながら、平然として影響力を拡大しているのはまさに驚異である。小沢の母校、慶応義塾大学の創始者、福沢諭吉は「すべて事の極端を想像して覚悟を定め、マサカの時に狼狽せぬように後悔せぬようにとばかり考えています」と語っている。小沢も同じだろう。肚のすわった者は頼もしく、強いのである。
投稿者: 二見伸明 日時: 2011年3月 7日 10:25
http://www.the-journal.jp/contents/futami/2011/03/_319.html
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