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民主党は実質的に「正統民主」=「減税民主」と「連赤民主」=「増税民主」に分裂し、二つのグループへの移行が進行し始めているが、「連赤民主」の中核メンバーの「政治とカネ」問題が次々と明るみに出ている。
しかも、これらの人物の「政治とカネ」の問題は疑惑ではなく、事実である。小沢一郎民主党元代表および元秘書にかかる問題は疑惑でしかなく、当事者が冤罪であると主張している。客観的に判断しても、およそ刑事問題として取り上げることが著しく不自然な問題である。
これに対し、前原誠司氏、野田佳彦氏、村田蓮舫氏などに関する「政治とカネ」の問題は、疑惑ではなく事実である。
とりわけ、前原誠司氏は政治資金規正法で禁じられている外国人からの政治献金を長期にわたって受領しており、刑事事件として立件されるべき事案である。
この違反は、「3年以下の禁錮または50万円以下の罰金」を科せられる重大な犯罪であり、前原氏の責任明確化は避けられない。
国会での質疑において、総務省の田口選挙部長は「政治資金規正法では、外国人から政治活動に関する寄付を受けてはならないとされており、故意にこの規定に反して寄付を受けた人には罰則の定めがある。この刑罰に処せられた場合は公民権停止の対象になる」と説明した。
この説明に対応するように、前原誠司氏は、「外国人から献金を受領したが、その認識はなかった」と述べた。前原氏が献金受領を認識していなかったならば罪を問われないと受け止められかねない総務相田口氏の説明ぶりだが、この説明をこのまま鵜呑みにすることはできない。
政治資金規正法第二十二条の五に、外国人から政治活動に関する寄附を受けてはならないことが定められている。
そして、第二十六条の二において、三年以下の禁固または50万円以下の罰金に処することが定められている。
法律の条文に「故意」の表現はない。総務相選挙部長の答弁には細工が施されていた。法律の規定に対する一つの解釈を、あたかも法律の定めであるかのごとくに答弁したのは、虚偽答弁である疑いが濃い。
いずれにせよ、前原誠司氏が「政治とカネ」の問題で、法律の定めに違反する行為を行ったことは明らかである。捜査当局は法と証拠に基づいて適正な捜査を行う必要がある。まず参考人として事情聴取をし、犯罪が認められれば前原氏を逮捕することが必要になるだろう。
「政治とカネ」の問題で、クリーンな民主党にしたいと述べてきた菅直人氏は前原氏が大臣辞任、議員辞職などの行動を示す前に、前原氏をまずは罷免し、そのうえで離党勧告なり、議員辞職勧告などを行うべきだろう。
これまで「クリーンな民主党」であるとか、「政治とカネ」の問題から訣別などと主張してきた岡田克也氏は、新たに表面化している民主党議員の「政治とカネ」の問題に対して、厳しく、そして迅速に対応する必要があるだろう。
捜査当局の対応が遅ければ、主権者国民が刑事告発することも必要であるし、検察当局の対応が不自然であれば、検察審査会に持ち込むことも必要になってくる。
前原氏は小沢一郎氏に対して極めて冷酷な対応を示してきたのであるから、自分自身の問題が表面化した以上、これまでの発言と整合性がとれるように、議員辞職などの適正な対応を示すべきだろう。また、岡田克也氏は幹事長として、「政治とカネ」の不祥事に手を染めた民主党議員を厳格に処分する必要がある。
政治資金規正法の条文を読む限り、法律で禁止されているのは「外国人から政治活動に関する寄附を受ける」という行為であって、故意であるのか否かの認識について言及していない。前原氏は事実として、外国人から政治活動に関する寄附を受けたのであり、犯罪の構成要件をすでに満たしていると考えるべきだ。
後付けで、誰が行った行為かを見て、人物Aの場合は逮捕・起訴だが、人物Bの場合は無罪放免と対応を変えることは、法治国家の対応ではない。
小室直樹氏は『日本いまだ近代国家に非ず』と指摘した。
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ウォルフレン氏は、『誰が小沢一郎を殺すのか?』に、
「日本では、法律は支配しているのではなく、支配されている」
と指摘した。
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法律の解釈を、時と場合、適用する対象の人物によってそのつど変えて、政敵を攻撃するのは近代国家ではない。日本の警察・検察・裁判所制度は前近代に取り残されているのだ。
この状態を放置してよいはずがない。
まず、前原氏には明確に責任を取ってもらわねばならぬ。
また、菅直人氏は、野田佳彦氏、村田蓮舫氏に対して、「クリーンな民主党」を実現するために、厳格な処分を断行しないと、これまでの発言とまったく整合性が取れなくなる。
主権者国民もまず、政治資金規正法の条文をよく読み直す必要がある。
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