http://www.asyura2.com/11/senkyo109/msg/248.html
Tweet |
近聞遠見:びっくり失言の「その後」=岩見隆夫
http://mainichi.jp/select/seiji/iwami/
子ども手当をめぐる<びっくり発言>のショックがなおも尾を引いている。だが、この失言、菅直人首相のけがの功名になるかもしれない。
先月末の衆院本会議で、菅首相は民主党の看板政策である子ども手当の支給額を月額1万6000円から一気に2万6000円に引き上げ、09年衆院選のマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ経緯に触れ、
「当時、一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えている」
と述べ、驚かせたのだ。当時というのは07年、小沢一郎代表、菅代表代行、鳩山由紀夫幹事長のトロイカ体制のもと、民主党は参院選(07年7月)に圧勝、安倍晋三首相が辞任騒動を起こしたころである。
のちに、小沢の<ツルのひと声>で大幅引き上げが決まったと言われた。それに、なぜ菅がびっくりしたのか。公明党の斉藤鉄夫幹事長代行らが衆院予算委で、
「マニフェスト作成に加わらなかったのではないか。いまでも実現性に疑問を持っているのではないか」
などと追及した。しかし、菅は、
「広い意味ではかかわったが、個別的には……」
とか、
「それまでの経緯と違って、思い切った提案が出てきたので」
とかわし、びっくりの真意は語っていない。
しかし、びっくりは、意外、突然のことに驚くサマをいうのだから、引き上げ決定に菅は関与していないとみるのが常識だ。その後、岡田克也幹事長も、
「私もびっくりしましたから」
とフォローした。民主党首脳の一人が言う。
「あの時は、みんなびっくりしたんです。しかし、首相がそれを口に出したらおしまいだ。岡田さんが同調したのも、批判が噴き出すのを防ごうとしたからでしょ」
小沢主導だったバラマキ色の強いマニフェストに不満を抱きながら、処理に悩まされる菅政権の様子が浮き出ている。
びっくり発言の前、2月初めの衆院予算委でも公明党の竹内譲が、最初の月額1万6000円の積算根拠を問うたのに対し、桜井充副財務相は、
「(支給額を議論した)会合に出席していないので、根拠については存じ上げない」
と答えた。さらに、
「なぜ突如1万円も上げたのか」
と迫っても、野田佳彦財務相は、
「背景は存じ上げていない」
とつれなかった。総額2兆9000億円の巨費を投じる子ども手当法案を審議するのに、この答弁は解せない。菅をはじめ一連の発言は、同法案成立に対する執念や情熱が乏しいことをうかがわせる。<脱小沢>のあらわれでもあるのだろう。
びっくり失言が、皮肉にもマニフェスト見直しにはずみをつける効果をもたらしたのは間違いない。すでに岡田幹事長は、子ども手当法案の扱いについて、
「いまの案でなければならないことはない。(公明党が求める)児童手当法の改正であっても新法であっても、問題は中身だ」(2月27日、NHKの日曜討論で)
と踏み込んでいる。白紙に戻す、と言っているのも同然だ。
さて、民主がさらに一歩踏み込むか、公明が対応を変えるか、小沢グループが何を策すか。三すくみのなかで3月危機の大詰めが近づいている。
<子ども>の案件が菅政権にとって時の氏神になりそうなのが、同政権の幼児性と重なって何とも奇妙なめぐり合わせだ。しかし、結局はそうならないか。(敬称略)=毎週土曜日掲載
毎日新聞 2011年3月5日 東京朝刊
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK109掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。