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【from Editor】
「恥の意識」と無縁の政権 有権者をサル視か
2011.3.4 14:05 :産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110304/plc11030414060009-n1.htm
米国の文化人類学者、ルース・ベネディクトは『菊と刀』で日本について「恥の文化」と指摘し、欧米の「罪の文化」と対比した。その論の正否は別として、恥の意識は日本人が言動を判断する大きな基準と言えるだろう。
恥を気にして失敗を恐れるとの意見もあるが、謙譲や潔さといった日本人の美徳の背景に、恥の意識があるのはまちがいない。
国際連盟の元事務次長で、『武士道』の著者として世界中で知られる新渡戸稲造が1900年に英語で同書を著したのは、ドイツ留学中にベルギーの法学の大家、ド・ラヴレーに「日本には宗教教育がないというが、どうやって子孫に道徳教育を授けるのか」と尋ねられたのがきっかけだった。
米国人の妻にも同様のことを聞かれた彼が行き着いたのが、幼少時から教え込まれた武士道だった。身の処し方などその精神が、恥の意識に強く裏付けられているのはいうまでもないだろう。
翻って、1年半前に多くの国民の熱狂的な支持を受けて誕生した民主党政権はどうか。
違法な“子ども手当”問題でシラを切り、政権運営は迷走、最近は米海兵隊の「方便」発言で世間を呆(あき)れさせた前首相。自身の政治資金規正法違反事件で国民の声とはかけ離れた理論を振りかざして党の混乱に拍車をかける元代表。不祥事が発覚しても開き直って居座る閣僚や幹部も負けていない。
現首相は目玉公約の子ども手当を「聞いたときはびっくりした」と宣(のたま)い、“金科玉条”のように奉(たてまつ)っていたマニフェストをいとも簡単に見直して政権にしがみつこうとする。支持率が20%を切り政権担当能力を失っても、職を辞する潔さも解散に踏み切る胆力もない。上から下まで政権・党のどこを見ても、恥の意識とは無縁だ。
考えてみれば、恥を恥と思わない、恥ずかしいと感じないことほど手に負えないものはない。
保守の論客だった故・会田雄次京大教授が第二次大戦での捕虜体験を綴った『アーロン収容所』には、英国軍の女性兵士が捕虜の日本兵の前で恥ずかし気もなく裸になって着替えや化粧をする様子が描かれている。彼女たちは負けた日本兵や植民地の黄色人種をサル程度に考えており、裸を晒(さら)しても羞恥(しゅうち)を感じないというわけだ。
そうしてみると、現状について恬(てん)として恥じることなく、居座りを決め込む民主党政権の有り様は、有権者をサル程度にしか見ていないという証しなのではないか。(編集局長 片山雅文)
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