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なぜ明確な政策なくして政権政党になれたのか 菅政権迷走の影にある民主党の“受け皿”体質(田中秀征 政権ウォッチ|ダイヤモンド・オンライン)
http://diamond.jp/articles/-/11355
菅直人政権の迷走が著しいのは民主党の本質的な体質に由来するのではないか。
結党以来、民主党は“受け皿政党”であったと言ってよい。その体質を最も強く持っているのが菅直人首相個人であろう。
民主党は“有権者の受け皿”
それゆえに明確な政策や姿勢がない
民主党は、「3党嫌いの人、この指止まれ」という姿勢で伸長してきた。
すなわち、自民党嫌い、共産党嫌い、公明党嫌いの有権者の受け皿となって伸びてきたのである。
自、公、共の3党は、強固な支持基盤を持ち、良くも悪くも政策路線が明瞭だ。それだけにアクの強さを感じる人もいる。固定票が多いだけに、浮動票や無党派層は疎外感を持ちやすい。
特に、自民党嫌いが急増するにつれて、民主党の受け皿は山盛りになって、ついに一昨年、民主党政権が出現した。
受け皿政党は、明確な政策や姿勢を打ち出せば、3党嫌いの人の多くを受け入れることができないというジレンマがある。
だから「クリーンでオープンな政治」、「二大政党制」、「政権交代」程度のスローガンで済ませておかねばならない。
民主党が受け皿政党であることを示す象徴的な一面は、言うまでもなく「綱領を持たない政党」であることだ。
私は、かつて綱領を持たない政党が他に存在したかどうか知らない。それほど異常、異例なことである。
だから、有権者が民主党を受け皿として活用するのはともかく、民主党から立候補する人は、どう思ってきたのか不思議である。
理念や哲学がない菅首相の言葉は
有権者の心に迫ってこない
菅政権が参院選で惨敗したとき、世論には続投を容認する声が高かった。
本欄で指摘したように、それは@自民党政権の復活を望まない、A小沢一郎氏の復権を望まない、B首相がコロコロ代わるのはよくない、という3つの消極的理由であった。そこには積極的な民主党政権、菅政権への期待が乏しかった。菅政権そのものも、“受け皿政権”であったと言えるだろう。
しかし、半年を経て、この3つの支持理由は大きく後退してきている。いまでも世論は自民党や小沢一郎氏にはきわめて厳しいが、菅政権への厳しさはさらにそれを越えている。
政党における綱領は、政治家個人で言えば、理念、目標、哲学ということだろう。
少なくとも鳩山由紀夫氏は、それを持とうと努力しているように見えた。
しかし、菅首相にはそんな前向きの姿勢さえ見えない。「クリーンでオープンな政治」も「有言実行内閣」も、いかにも口先だけの印象で人の心に迫ってこない。言葉を発すれば発するほど紙吹雪のように飛び散ってしまう。
首相は、野党に対しても「歴史に責任を持て」という。しかし、誰が見ても歴史に責任を持たずに政権維持だけに追われているのは首相本人ではないか。
折から、3月1日未明、来年度予算は、予算関連法案と切り離されて、衆議院から参議院に送られた。
菅首相はいつになく満面の笑みを浮かべていたが、これからどうするのだろう。
おそらく首相にはそれなりの見通しがあるのだろうが、常識的に見れば首相は全くの手詰まりに陥っている。またも重大な誤算があるのではないか。
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