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週刊エコノミスト 2月28日(月)17時38分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110228-00000000-economist-pol
◇小菅洋人(こすげ・ひろと=毎日新聞政治部長)
菅直人首相は内閣総辞職を選択するのか、追い込まれた首相が「窮鼠猫をかむ」がごとくに解散に打って出るのか、早くも首相の進退をめぐる政局に入った。
まず内閣支持率。与謝野馨経済財政担当相らの起用により上昇した支持率は再び急落した。毎日新聞世論調査(2月19、20日)では支持率が前回29%から19%、朝日新聞(同)でも26%から20%に落ちた。毎日調査では「できるだけ早く総選挙を行うべきだ」が6割に上った。
消費税増税と社会保障制度改革の一体改革や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)問題など重要政策課題があるにもかかわらず、あえて「政治空白」を承知で解散を求めるのは、国民が政治のリセットを求めている証拠である。低支持率同様に民主党政権に対する不信任の意思表示だと思う。
◇大義名分なき倒閣運動
国会で連日のようにマニフェスト(政権公約)の見直しが語られ、政権交代とは何だったのかと根本的な問いが投げかけられた。首相の国債の格付けに対する「疎い」発言と鳩山由紀夫前首相の海兵隊の抑止力に関する「方便」発言。特に後者は鳩山氏個人の資質を超えて、同氏を創業者の1人にする民主党そのものに対する信頼失墜につながった。
支持率が低ければ野党は泥舟に同乗するのを嫌がり、政策協議で与党の呼びかけには応じない。国会停滞の責任の一端は野党が負うべきだが、この与党の体たらくでは野党の抵抗に対して批判は集まりにくい。
ねじれ解消に最も期待した公明党も統一地方選挙を前に民主党との対決姿勢を保った方が得策だと、歩み寄る姿は一向に見せなかった。
それならばと衆院の再可決に必要な3分の2の議席獲得を目指して昨年、普天間飛行場の県外移設断念で袂を分かった社民党に再び復縁を申し入れた。社民党は県内移設経費の削除や法人税の5%削減、子ども手当の見直しなどを求め、交渉は極めて難しいものになっていった。
ここで小沢系16人の会派離脱届け出が起きた。小沢一郎元代表は国会での弁明を拒否したため民主党執行部は七転八倒の末、元代表を党員資格停止処分にする。離党は離婚であり党との関係は完全に切れる。会派離脱なら党員の身分は残る家庭内別居で、足元から執行部を揺さぶることができるというわけだ。追い詰められた元代表は、かつて国会の知恵袋と言われた元参院議員の平野貞夫氏の発案と思われる奇策で逆襲に出たのだと思う。
この行動は元代表の処分に対する反発が主な動機であり、元代表の生き残りための大義名分なき倒閣運動だ。
茶番ではあるが、元代表の抵抗も限定的だと、たかをくくっていた執行部のショックは大きかったろう。これによって社民党との協議が吹っ飛んでしまった。社民党の衆院議員はわずか6人で、小沢系16人が再可決で予算関連法案で造反すれば法案は成立しない。民主党とのぎりぎりの交渉をしようとした社民党の気力もうせてしまった形だ。
予算関連法案のなかでもとりわけ特例公債法案が通らないと予算の財源的な裏付けがなくなる。一般会計予算92兆4000億円のうち、約40兆7000億円の財源を担保する法案だ。3月上旬にも予想される衆院での関連法案の採決の段階で各党、さらに造反グループの対応がはっきりする。これが3月危機だ。
さあ、どうする。
【続投】1つのシナリオは菅氏は粘りに粘る。内閣不信任案が通らなければ首相を辞めさせることはできない。今のところ小沢元代表のグループに野党の不信任案に同調する迫力も大義名分もないと思う。特例公債法案、子ども手当法案など、関連法案26本の採決の順番に優先順位をつけて衆院段階の採決をできる限り延ばす。統一地方選挙が終わり公明党が「全員当選」という初期の目的を果たした後で改めて協力をもちかける。「国民生活に影響を与えていいのか、国債が暴落していいのか」と。
しかし、ここで公明党との協議が不調に終わり同党が反対に回ると、参院でも同様の対応をとるので法案が通らない。公明党は首相が交代しても関連法案に賛成しない方針を固めており、民主党期待は楽観すぎる。ここが本当の危機だ。
◇仙谷代表代行はどう出るか
【総辞職】解散すれば政権の座から滑り落ちるかもしれない。菅内閣は総辞職しなければ事態は前に進まない。新首相の下で支持率はご祝儀相場もありほぼ確実に上昇する。そこで新首相は渾身の力を持って野党に救国の協議を呼びかける。これ以上の混乱を望まない世論は野党に対して協議に乗れと後押しするはずだ。それでも野党が乗らなければ解散に打って出るしかない。そうすれば菅氏の下で想定される惨敗よりも、はるかに負け幅を圧縮できる可能性もある。
菅氏は、記者団に首相の辞任が与野党の取引材料になるような古い政治には逆戻りしないと断言した。首相の言を待つまでもなく、今の与野党はガチンコ勝負であり談合など通用しない。あくまで「あるべし論」で貫き、相手と貸し借りを持たないところに民主党の真骨頂と限界がある。人材的にもこの政党に調整型を求めても難しい。政治技術としては稚拙だが、身を捨てて世論の空気の変化を待つしかない。
【解散】読めないのは菅氏の心持ちである。菅氏は簡単に辞めるような性格の持ち主ではなく、解散の可能性もあるとの見方が国会議員や取材記者のなかにも少なからずある。菅氏は野党に対して協議に応じないのは「歴史への反逆」と言い切ったのだから、国民への信を問いたいのは本音だと思う。
しかし本人の意思だけでは解散という荒業はできない。菅氏を支持するグループからも猛烈な反対論が出ることは必至で、それを跳ね返す力が支持率19%の首相にあるのか。
それでも首相は解散を口にするかもしれない。その時に「殿、ご乱心めさるな」と説得する役回りが政権を支えてきた前原誠司外相のグループであり、若手リーダーの後見役的な存在でもある仙谷由人代表代行だろう。首相と勝負するという胆力で他に候補が見当たらない。仙谷氏はそれを強く自覚しているのではないだろうか。
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