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2011年02月24日
■菅首相退陣報道へ虎視眈々の政治記者
政治記者にとって、最大のスクープは「首相の進退」だった。
過去形で書いたのは、この何年か、首相の在任期間があまりに短くなって、首相退陣のニュース価値が下がったように見られているためだ。ではあっても、現役の政治記者たちにとって、目下のターゲットは「菅首相、きょう退陣表明」を打てるかどうかだろう。
この連載コラムでも以前に触れたかと思うが、竹下登氏は「もののふ(武士)の進退は瞬時にして決すべし」とふだんから言っていた。それを承知していながら、毎日新聞に「竹下首相、きょう退陣表明」を抜かれた悔しさは、いまだに筆者の頭にこびりついている。
なぜ抜かれたか。それを必死でさぐったが、その後かなりたってから、某政治家に竹下氏が夜遅く電話してきて、その政治家のところへたまたま毎日記者が夜回りで遅くまでいたらしいというあたりまで分かった。
気配りの竹下氏のことだ。事前に退陣表明を耳打ちしておかなくてはならない何人かには、前夜に義理立てしたということだろう。「オレは聞かされていなかった」と関係が悪化するケースをできるだけ回避しようとしたという側面もある。
進退を決するには、大方が予測するタイミングよりも早い方がいい。あっと驚かせておけば、その後の政治力を維持できるし、後継者決定にも力を残せる。
■宙に浮く予算案と予算関連法案の年度内成立
菅首相はどうか。政界には、「あの粘着質の性格からして、自ら退陣表明ということはないだろう。ぎりぎりまで粘りに粘って、最後は、破れかぶれ解散か」といった見方をする人が少なくない。
首相周辺では野党側に対して、菅首相退陣と引き換えに予算案と予算関連法案の年度内成立を求める動きが出たらしい。それほど菅首相は追い込まれているということになるが、自民党はじめ野党側はこれをにべもなくはねつけたようだ。
予算案本体は衆院通過後30日で自然成立する。3月初めに衆院本会議で強行採決すればいい。
関連法案はそういうわけにはいかない。衆参両院の可決が必要だ。そこで、衆院再議決が可能な3分の2ラインを確保しようと、社民党6議席に狙いをつけて軟化をさそったのだが、社民党は普天間基地移設関連経費の削除、法人税減税の撤回などを求め、強硬姿勢を崩さない。
身内の反乱も起きてしまった。小沢氏系の衆院比例当選組16人が院内会派を離脱、「民主党政権交代に責任を持つ会」なる新会派をつくって、事務所も設置した。
この16人には失敬な言い方になるが、ほとんど知られていない政治家ばかりである。比例ブロックの名簿下位に登載されていた人たちで、前回衆院選の民主圧勝によって当選した。
小選挙区で勝ち抜いてきたわけではないから、自分の選挙基盤を持たない。次回は落選必至といわれる議員たちだ。
離党はせずに会派を離脱するというのは、本来はありえない。したがって、会派届も正式には受理されていないのだが、ここから発展して予算や関連法案に造反しないともかぎらない。
菅執行部にとっては、社民党6議席の取り込みに腐心するどころの話ではなくなってしまったのである。
■最後に残された手段は“居直り”
自民党も公明党も、現時点では首相退陣との引き換えで予算関連法案の年度内成立を認めようという方向にはない。あくまでも解散、総選挙を求める構えだ。
菅首相にとって、この厳しい局面を乗り切る秘策はあるか。直近の世論調査では、内閣支持率は20%前後にまで落ち込んだ。
フジテレビ系「新報道2001」の世論調査(2月17日)では、支持率16.2%だ。首都圏500人が対象だが、情報感度の高い地域のため、先行的な結果が出やすい調査といわれている。
政権は完全に危機ゾーンに入っているといっていい。菅首相がこの局面を打開するには、退陣を条件としての関連法案成立の見込みがないのであれば、ここは開き直る以外にない。
予算本体については、前述したように3月初めに衆院で強行採決すればいいのだが、関連法案も同様に衆院を強行突破するという手がある。
■菅首相にじっと耐える胆力はあるか
その場合、子ども手当支給、法人税5%引き下げ、住宅取得の税軽減措置などが中断し、赤字国債も出せなくなる。それもこれも、いかに批判が起きようとも野党の責任として押し付ければいい。
衆院での処理を3月中旬までにやれば、24日には知事選告示、4月には統一地方選一色となるから、じっと耐えに耐える。赤字国債が年度当初から発行できなくても、2−3カ月はなんとか財政運営が可能らしい。
衆院通過後60日たっても参院で採決が行われない場合は「みなし否決」となる。衆院に戻して再議決規定が使えることになる。その時点ではすでに統一地方選は終わっているから、社民党などの出方も違ってくるかもしれない。
国会運営がいかに混乱しようとも、これを押し通せば、菅首相の延命ははかれる。そのくらいの覚悟があれば、早期の退陣表明はないということになる。
とはいうものの、支持率がさらに急落の一途をたどるのは目に見えている。どこまで持ちこたえられるか。
竹下氏は「オレの支持率、売上税(消費税)の税率なみになっちゃうなあ」などと苦笑していたものだが、菅首相にそこまでの胆力があるか。
■取り沙汰される後継者の顔ぶれ
以上は菅首相が驚異的な粘り腰を見せるという極端なシナリオを想定したものだ。政界の常識からいえば、やはり「周辺がよってたかって辞めさせる」場面が来るのだろう。
3月にはいると、鳩山前首相の在任期間(266日)を超えるので、周辺としても説得しやすくなる。統一選や万一の解散・総選挙に備えるためにも、早い段階で「クビのすげ替え」をやって、新生・民主党のイメージを一新しておくほうが得策という判断も強まろう。
その場合の後継候補はだれか。原口一博前総務相、野田佳彦財務相、前原誠司外相、玄葉光一郎国家戦略担当相、岡田克也幹事長といったあたりか。
原口氏は月刊誌で菅政権に反旗をひるがえし、橋下徹大阪府知事や河村たかし名古屋市長らと連携して政策集団「日本維新の会」を結成すると打ち上げた。親小沢色が強い存在だから、原口氏が後継候補となるためには、反小沢勢力が勢いを失って親小沢派を担ぐことで党分裂を回避するという状況に持ち込む必要がある。
野田氏は中間派的なスタンスにあり、この世代では唯一、代表を経験していない。玄葉氏の場合はこの顔ぶれのなかで1人だけ40代という点が党のイメージチェンジには強みか。
■内閣総辞職か 解散・総選挙か
前原氏は仙谷前官房長官、枝野官房長官らと同じグループ(凌雲会)であることがどう響くか。菅政権崩壊の責任が問われるかもしれない。これは岡田氏も同様だ。幹事長として一蓮托生ということになる。
内閣総辞職で乗り切れるのならば後継者となるのは魅力的だが、これがひとつ間違って、早期の解散・総選挙となると、とたんに選挙管理内閣の位置づけになってしまう。どうやっても、次期衆院選で民主党が過半数を維持できるとは思えないからだ。
いずれにしろ民主党内では、そうした微妙な要素もからませながら、後継論議が始まっているのである。
「小沢問題」「鳩山問題」にも触れておかなくてはいけない。いずれも、菅首相には有利に働くものと見られていたのだが、ちょっと事情が変わってきた。
小沢氏に対して党の常任幹事会は22日、「党員資格停止」の処分を正式決定した。離党勧告や除名といった重い処分であったなら、ただちに「小沢新党」が想定されたはずだ。
党側が軽い処分ですませたのは、そうした展開を回避しようとしたものだが、ありていにいえば、「党員資格の停止」では小沢氏の政治活動をなんら制約するものではない。
■「小沢問題」「鳩山問題」は終息へ
あれだけ大騒ぎした割には、「小沢問題」は急速に沈静化するのではないか。となると、菅首相側には逆になんとも不気味な要素として残ることになる。この処分決定で小沢氏としては、これまで以上の「自由」を手中にしたともいえるのだ。
鳩山前首相の「方便」発言も「宇宙人の面目躍如たるところ」ぐらいの話で終わりそうだ。鳩山氏は沖縄2紙のインタビューで「方便」という言葉を自ら持ち出したのではなく、「方便として抑止力を使ったということか」といった質問に対して「そういわれればそうかもしれない」程度に軽く応じたらしい。
鳩山氏としては、両紙に厳重抗議するといった手段に出てもよかったのだが、今度は「方便というのは真理に導く手段の意味」ときた。仏教用語ではたしかにそういう意味合いがあるのだが、これによって、この問題はこれまた急速に収束しそうだ。
かくして、政局の焦点は、やはり菅首相の「出処進退」の一点に絞られつつある。
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