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香川大学でのシンポジウムに出席する途次ひさしぶりに大阪に
立ち寄った。
その時乗ったタクシーの運転手と言葉を交わす機会があった。
相変わらず不景気でタクシーの客は減ったままだ、中東情勢の影響
でまた原油が値上がりするらしい、そういえば民主党はガソリン減税
をやるといっていたけどどうなってしまったのか、政治家はどいつも
こいつも口先ばかりや、という話を立て続けにその運転手は話した。
私がなるほどと思ったのは橋下大阪知事に話しが及んだときだ。
橋下知事の人気は大阪ではまだ高いのですかとたずねた私にその
運転手は即座に答えた。
高い、と。なぜなら彼は我々の考えていることを代わって言って
くれているからだという。
私は知らなかったのだが、運転手はその一つの例として最近彼が話し
た次のような言葉を聞かせて見せた。
つまり政治家や評論家は予算を通せ、予算関連法案が通らないと大変
なことになる、と騒ぐが、予算なんか通らなくていい。一度そこまで
混乱してみたほうがいい。その時初めて皆が気がつく。重要なものから
予算を使っていけばいい、予算のもとは税金だ、その税金を我々が必要
なものから順番に使えばいいだけの話だ、大騒ぎすることはない。今まで
政治家が勝手に予算を決めてきた。それが出来ないからといって騒ぐの
は政治家の都合だ。予算は我々のものだ、と。
橋下氏がどのような言葉で話したのか私は知らない。その運転手が言お
うとしていたことを私は正確に理解できたのかどうかもわからない。
しかし間違いなくその運転手はそのような事を言っていた。
そして運転手は最後に、政治家は多すぎる。政治家なんて要らない、と
声高に言っていた。
考えてみればこの運転手の言葉は、菅政権を擁護する今の大手メディア
に対する痛烈な批判でもある。
予算が成立しなければ一番困るのは国民だ。国民第一というのなら
解散・総選挙を求める暇はない。与野党協力して予算を通すことだ。
このような論調が最近やたらに新聞に目立つ。
しかしこの運転手は、それは恫喝だ、俺たちはそんなことでおどろか
ないぞ、どうせお前らに俺たちの生活は救えない、俺たちに、俺たちが納
めた税金を使わせてくれたらいいのだ、俺たちの気持ちを一番理解する
政治家がそれをやってくれればいいのだ、そういう政治家を探せばいいのだ、
私にはそう聞こえたのである。
考えてみれば今中東で起きていることの根底にあるのも、自分たちの
国は自分たちで動かす、その自覚に目覚めたことではないのか。
国民が今一番求めているのは既存の政治の根本的変革なのである。
ちなみにこの運転手はいますぐ解散総選挙をやれといっていた。
何度でも選挙をしてやる、いい首相が現れるまでいくら首相が代わ
っても結構だ、それでいい首相がみつかるなら、それまでいくら代わっ
ても何の問題もない、と言っていた。 了
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