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2011年02月27日
安政の大獄(英米の圧力に屈し、日米修好通商条約締結後に起きた明治維新までの一連の流れ)が日本の第一の開国と位置づけた時点で、菅直人は売国政治家であることが窺い知れる。外圧に屈し、国体の姿を変えさせられる事を彼は「開国」と捉えるのだから阿呆である。
この恥を決定的にしたのが第二の開国と位置づけた「敗戦」である。米国に完膚なきまでに叩きのめされ、東京大空襲で10万人、広島・長崎に原爆を投下され、「開国」させられて、嬉々として屈辱の歴史を受け入れた菅直人は、最期にダボス会議で、TPPが第三の開国だと口走った。すべてが、外圧による我が国の敗北と云う事だ。
第一、第二の歴史的事実には多くの検証が必要だろうが、日本を世界の先進国(英米)が包囲する形で起きた部分も多く、一概に当時の指導者を糾弾する事が妥当かどうか判断がつかない部分がある。
しかし、TPPを通してアメリカの完璧な統治国となる選択をもって、開国と言うのは狂気である。
第一、第二の不平等条約が締結された状況には、日本の後進性。弱小性が歴然としていたので、致し方ない締結事情も存在したであろう。しかし、今回の米国の統治国家に成り下がるTPP協定は、自ら飛び込む不平等条約である点で、狂気の選択だ。
昨日のビデオニュース・ドットコム(http://www.videonews.com/)で、ノーベル経済学賞に最も近かったが、反米的で受賞を逃したと言われる東大名誉教授・宇沢弘文氏のインタビューは歴史を遡りながら、TPPの不平等性を語っている。
マスメディアが嫌う学者こそ真実を語っている。否、米国の思惑を指摘する学者にこそ、真実に迫る論理性を見いだせる。是非、視聴する事をお勧めしておく。 「杉並からの情報発信です」様ブログに、宇沢氏に関する適切な情報があったので、一部抜粋掲載させていただく。
≪杉並からの情報発信です http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/5ed5cea14cf40fa3e9252965c67892f1
日本には素晴らしい経済学者がおられます。宇沢弘文先生です。 素晴らしい本に出会いました。宇沢弘文・内橋克人著「始まっている未来」(岩波書店刊\1470))です。
素晴らしい経済学者がおられます。東京大学名誉教授の宇沢弘文先生です。宇沢弘文先生は今年82歳。米国滞在が長くミルトン・フリードマンがいた新自由主義の総本山シカゴ大学で経済学部教授としてフリードマン理論に反対する「新古典経済理論」を研究し教鞭をとられていた方です。
長年の研究成果に対して1997年に文化勲章を受賞されています。宇沢弘文先生は日本人経済学者の中でノーベル賞に最も近い学者と言われていますが、なぜか日本では一般的に知られていません。なぜならば先生は「日本は米国に搾取されている植民地である」と公然と主張されているからです。
現在の日本の大苦境の原因は米国に強要され実行された「無駄な公共投資630兆円」であると主張されているからです。日本の大手マスコミは意図的に先生の主張を報道しませんし、経済学者は無視しているからです。
著書「始まっている未来」の中の「日本の植民地化と日米構造協議」の部分を下記に転載しますので是非お読みください。
現在日本が陥っている「10年ゼロ成長」「10年デフレ」「巨額な国家債務」「夕張の悲劇」の真の原因は、米国が海部政権に強要した「日本経済の生産性を上げるために使ってはいけない」630兆円の「無駄な公共投資」だったことが良くわかります。
【宇沢弘文・内橋克人著「始まっている未来」より抜粋】
▼ 日本の植民地化と日米構造協議 (P41−P45)
宇沢
日本の場合、占領政策のひずみが戦後60年以上残っている。アメリカの占領政策の基本政策は、日本を植民地化することだった。そのために、まず官僚を公職追放で徹底的に脅し、占領軍の意のままに動く官僚に育てる。同時に二つの基本政策があった。
一つはアメリカの自動車産業が戦争中に自らの利益を度外視して国のために協力したという名目をつくって、戦後、日本のマーケットをアメリカの自動車産業に褒美として差し出す。
もうひとつは農業で、日本の農村を、当時余剰農産物に困っていたアメリカとは競争できない形にする。
ポスト・ベトナムの非常に混乱した時代を通じて、アメリカは経常赤字、財政赤字、インフレ―ションの三重苦に苦しんでいたが、とくに対日貿易赤字解消に焦点を当てて、円安ドル高是正を迫ったのが、1985年のプラザ合意でした。
しかし、その後も、日本企業は、徹底的な合理化、工場の海外移転などによって高い国 際競争力を維持しつづけて、アメリカの対日貿易赤字は膨らむ一方だった。そこでアメリカ議会は「新貿易法・スーパー301条」を制定した。これは、もっぱら日本に焦点を当てて、強力な報復・制裁措置を含む保護政策の最たるものです。
それを受けて、1989年7月に開かれた日米首脳会談で、パパ・ブッシュ大統領が宇野首相に迫ったのが、「日米構造協議」の開催でした。それは、アメリカの対日貿易赤字の根本的な原因は、日本市場の閉鎖性、特異性であるとし、経済的、商業的側面をはるかに超えて、社会、文化など含めて日本の国のあり方全般にわたって「改革」を迫るものでした。
日米構造協議の核心は、日本のGNPの10%を公共投資にあてろという要求でした。しかもその公共投資は決して日本経済の生産性を上げるために 使ってはいけない、全く無駄なことに使えという信じられない要求でした。
それを受けて、海部政権の下で、10年間で430兆円の公共投資が、日本経済の生産性を高めないような形で実行にうつされることにになったのです。
その後、アメリカから、それでは不十分だという強い要求が出て、1994年にはさらに200兆円追加して、最終的には630兆円の公共投資を経済生産性を高めないように行うことを政府として公的に約束したのです。
まさに日本の植民地化を象徴するものです。ところが、国は財政節度を守るという理由の下に地方自治体に全部押し付けたのです。地方自治体は地方独自で、レジャーランド建設のような形で、生産性を下げる全く無駄なことに計630兆円を使う。
そのために地方債を発行し、その利息の返済いは地方交付税交付金でカバーする。ところが、小泉政権になって地方交付金を大幅に削減してしまったため、地方自治体は第三セクターをつくったものは多く不良債権化して、それが自治体の負債となって残ってしまったわけです。
630兆円ですからものすごい負担です。その結果、地方自治体の多くが、厳しい財政状況にあって苦しんでいます。日本が現在置かれてい る苦悩に満ちた状況をつくり出した最大の原因です。
内橋
押しつけられた地方財政の赤字、それを住民への行政サービスのそぎ落としによって埋め合わさせる。「みせしめの夕張」が必要だったわけですね。
宇沢
そういう政策を見ていると、日本は完全に植民地というか・・属国ならまだいいのです。属国なら一部ですから。植民地は完全に搾取するだけのもです。それがいま大きな負担になっていて、救いようのない状況に陥っているわけです。社会的共通資本のいろいろな分野、特に大気、教育、医療が徹底的に壊されていくことに対して、たとえば内橋さんがずっと正論を20年も主張されているときに、同僚の経済学者たちがそれを揶揄したり批判したりする流れがあるのは、私は経済学者の一人として黙ってみていられない。
経済諮問会議も制度的な問題があるのではないでしょうか。首相自らが諮問し、首相自らが議長の諮問会議で議論して、答申を出す。それが首相自らが 議長の閣議に出されて、自動的に決定され、政府の正式な政策となる。ヒットラーが首相となって権力を握ったときとまったく同じ方法です。
内橋
官邸独裁ですね。世界で初めて「生存権」をうたい、もっとも民主的とされたワイマール憲法のもとでヒットラーが生まれました。政治的独裁の危険に通じます。いま、先にも触れました経済学者の中谷巌氏が市場原理主義からの「転向」「告白」「懺悔」の書を発表し、話題になっておりますが、気になるところもありますね。
アメリカでは競争万能の市場原理主義が社会の激烈な分断と対立をもたらしました。「喉元をかき切るような競争」のはてに共同体が崩れていく。そこで失われた絆とか人間信頼の輪を取戻し、社会統合を回復すべき、と唱えて登場したのがネオ・コンと呼ばれる「新保守主義」でした。中谷氏は今回の著作「資本主義はなぜじかいしたのか」(2008年集英社インターナショナル刊)のなかで、「古き良き日本」を回復すべき、と説いておられるように見えます。
昔の日本企業には人間相互の信頼とか絆があった、自分たちのやってきた規制緩和万能、市場原理主義がそれを破壊したのではんせいしている、そういった筋書きです。だから、古き良き日本型経営に戻ろう、と。そういうお気持ちなのでしょう。
ですが、かつての日本は企業一元化社会であり、官僚絶対優越社会でした。企業に対してロイヤリティー(忠誠心)を差し出し、献身を誓わなければ排除され、排除されれば社会的にも排除される。そういう企業一元支配社会にはほんとうに 人間的な絆があったのか。そうではないでしょう。規制緩和、市場原理主義という幻想から、今度じゃ古き良き日本的経営という幻想へ。願わくば、幻想から幻想へと飛び跳ねる思想転向ではないことを、切に祈りたい気持ちです。≫
(「杉並からの情報発信です」サイトからの抜粋)
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