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(回答先: 誰が小沢一郎を殺すのか? 日本の読者へ(カレル・ヴァン・ウォルフレン緊急インタビュー) 投稿者 pochi 日時 2011 年 2 月 25 日 16:30:58)
カレル・ヴァン・ウォルフレン
訳=井上実
誰が小沢一郎を殺すのか?
プロローグ ―― 歴史の岐路に立つ日本
大地震や大災害に見舞われると、人間というものははたと現実に気づくのか、あらためてよく注意して周囲を見回すようになるものだ。選挙や革命といった政治事件もまた、こうした大きな自然災害と同じく人々を目覚めさせる「ビッグ・ニュース」となる。だれもが襟をただし、政治のなりゆきに注目するのは、それが国民全体の将来を決することになるかもしれないからだ。ところが国家の将来を決定づけるような重大事であるにもかかわらず、人々が関心を向けようとしない政治の出来事も、この世には存在する。実は、世間の注目を集めることはなくても、途方もない、巨大な影響をおよぼした事件は歴史的に少なくない。
たとえばアドルフ・ヒトラーが台頭したときがそうだった。あるいはずっと後年になって、アメリカの銀行業界の規制緩和が進んだこともそのひとつに数えられよう。いまこうした出来事の数々をふり返ってみると、我々の日常生活に並行する形で進行していたのに、当時、まったく人々の関心を呼ばなかったことがわかる。そして私はいま、日本はまさにそれとまったく同じような重大な転換期にあると確信している。しかもそのような動きはすでに一年余にわたって続いているのである。
本書で私が論じようとしているのは、日本の将来の方向性を決定づけることになる、ある状況についてである。そこにはふたつの事柄がかかわっている。ひとつは小沢一郎という政治家に対する「人物破壊(character assassination)」と私が呼ぶ動きである。もうひとつは日本の国際社会における役割をめぐっての、日本とアメリカ政府との対立である。現在、日本では沖縄のアメリカ海兵隊基地の移設計画が大変な論議を呼んでいるわけだが、その根底にあるのは、国際社会での日本の自立という問題だ。
民主党政権を誕生させるにいたった最大の立役者・小沢一郎という政治家に対して、検察と新聞がなにをしてきたかは、日本の人々なら当然よく知っているだろう。しかし我々が目撃している状況に、どれほど大きな意味が秘められているかを理解している人というのは、ほとんどいないのではないだろうか。メディアと検察の行動を奇妙でうさんくさい、と感じている人々はもちろん大勢いる。またそんなメディアや検察に対して公然と異議を唱えての抗議デモも、日本各地で繰り広げられている。それなのに小沢氏の問題は、これまでこの国のメディアを長年にわたって賑わせてきたお馴染みの政治スキャンダルとして、まるでエンターテインメントさながらの扱いしか受けていない。
だが小沢氏をめぐる問題が、民主党政権の命運にかかわるという事実が持つ意味はきわめて重い。それは日本が将来、国際社会のなかで意義ある地位を占めることができるかどうか、そして日本の経済的な繁栄、さらには近隣諸国との秩序ある政治関係を築けるかどうかにもかかわる重大事である。ところが大多数の日本人にはそれが見えていないと、私には感じられる。
これまで私は、浮沈を繰り返す日本の政治、さらには日本と国際社会との関係を、つぶさに、およそ三○年にわたって検証し続けてきた。いまこそ日本は今後のこの国の命運にかかわる多くの重大事が決せられようとするときを迎えたと、私は自信を持って断言できる。小沢氏が誕生させた政権は、過去半世紀の間に日本で登場した多くの政府とは、まったく本質を異にしている。民主党は、これまでの日本の国内統治のやり方を詳細に、そして冷徹に検証し、そこに必要な修正を加えると同時に、国際社会における日本の役割を見直したいと、強く国民に訴えることで政権の座を獲得した。民主党はまた、中国との間に、安定した、相互に有益な関係を築くため、それにふさわしい外交政策を展開し、国際社会のなかでもっと独立した地位を確立したいと訴えた。巨大な経済・政治大国として台頭する中国が、今後、日本に多大な影響を与えるであろうことを、彼らは予想していたのだ。つまり民主党は、これからの日本は少なくとも、これまでのように太平洋の反対側にあって最近は乱暴なふるまいが目につく超大国、アメリカの巻き添えになりはしない。そして悪しき方向に押し流されたくはない、との意思を表明したのだった。
ところがいま、政府の、そして国際社会における日本の新しい方向性を選挙された政治家自身が打ち出そうとする、その試みは挫折しかねない危機的状況にある。小沢氏の政治生命を抹殺しようと間断なく繰り広げられるキャンペーンは、小沢氏の評判が傷つけられるのみならず、民主党の威信までもが貶められようとするなかで、国民の支持を揺るがしている。もしそうなれば、窒息せんばかりの圧力をもって、日本をみずからの支配下に置こうとするアメリカから逃れようとする民主党は、その動きを中断させられてしまうだろう。そればかりか、東アジア圏、そして世界という檜舞台でのメジャー・プレーヤーになろうという、第二次世界大戦後初めての試みも頓挫してしまうかもしれない。日本の市民たちは、いまこそこの事実に気づき、そのなりゆきに注目する必要がある。そうした日本の心ある人々のために、私は本書を通じて、民主党の貴重な試みを阻止しようとするのがなにものであるのか、なぜそのような動きが生じるのかについて、明らかにしたいと思う。
現在、我々が目の当たりにする小沢一郎への「人物破壊」という動きは、いまにはじまったことではない。その発端は過去にさかのぼる。しかもふたつの異なる時点を端緒としてはじまったものなのである。実のところ、その一方ははるか一○○年以上も昔である。だがまずは、この反小沢キャンペーンに直結する、より近年の発端について検証することにしよう。それはほぼ一八年前の出来事へとさかのぼる――。
http://www.kadokawa.co.jp/wolferen2011/
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