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■税・社会保障一体改革に暗雲、格付け見通し下げで試される首相の実行力
[東京 22日 ロイター] 菅直人首相が政治生命をかける「税・社会保障一体改革」の具体化に不透明感が広がっている。民主党の衆議院議員16人が会派離脱届を提出したことをきっかけに、民主党の原点回帰を主張する動きが広がり、党内の内部亀裂が深刻化しているためだ。
自民党など野党幹部からは民主党内の意見集約は困難で、6月の成案づくりは「もはや無理」との懐疑的な声があがっている。
結論の先送りは将来の国民負担を大きくするだけで、日本の財政健全化に向けた動きは停滞が許されない。この日、日本国債の格付け見通しを引き下げたムーディーズなどの警鐘を待つまでもなく、菅首相の「実行力」が試されている。
<6月の税・社会保障一体改革具体案にも「無理」の声>
民主党会派離脱届の波紋は、予算関連法案の年度内成立を「絶望的」(野党筋)にしたのにとどまらず、税・社会保障一体改革の成案作りに疑問符がつき始めた。
自民党の林芳正政調会長代理(自民党シャドウ・キャビネット財務大臣)は21日のロイターのインタビューで6月の具体案は「もはや無理」と懐疑的な見方を示した。自公政権で財政健全化を主導した与謝野馨経済財政担当相がとりまとめを行うため、政府案は自民党案に極めて近いものになると林氏はみる。しかし、民主党の原点回帰の主張が党内で広がりをみせるなか、民主党が与謝野氏主導でまとめる政府案を受け入れるのは「ほとんど不可能だ」という。
事実、会派離脱届を提出した16人は「菅首相が『衆議院の任期中上げない』としていた消費税について『来年度末までに法的な対応をしなければならない』と発言して増税への意欲をあらわにした」ことを問題視し、「無原則に政策の修正を繰り返す菅政権に正当性はない」と糾弾した。
こうした状況下で、林氏は「政府案だが民主党案ではない、あるいは民主党案だがマニフェストの調整は先送りするなど、ごまかしてやらないと(最終案に)たどり着けないのではないか」と指摘。「国会に提出され、民主党が半分反対する案でそもそも協議できるのか」とも語り、与野党協議のテーブルにも乗れないとの不信感を募らせている。
<政府から続く決意表明>
これに対し政府内からは決意表明が続いている。菅直人首相は21日、税と社会保障一体改革について「歴史的使命を感じて頑張りぬきたい」と強調。藤井裕久官房副長官も17日のロイターのインタビューで「必ず成功させなければならない」と述べ、成功しなければ日本の財政・社会保障に対する期待を裏切ることになりかねないと語った。
さらに藤井官房副長官は、政府関係者として初めて12年度新規国債発行上限を現行の44兆円より減らすことを検討する考えにも踏み込み、財政健全化に対する日本政府の姿勢が強固であることを訴えた。
くしくも、22日には米格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本国債の格付け見通しを「安定的」から、今後、引き下げの可能性がある「ネガティブ」に変更した。日本の財政赤字削減に向けた取り組みが、債務の急激な増大を抑制できるほど十分に強固なものではない可能性があるとの懸念の高まりがあると判断した。9日には、税・社会保障一体改革が「立法化できなければ格下げ要因になる」としていた同社だが、一体改革の結論が出る前のこのタイミングでの見通し引き下げは、日本政府に対する改革の実現を求めるメッセージとも受け止められる。
<事態打開の選択肢は解散か>
事態を打開するために、野党は直近の民意を問う「解散しかない」(自民・林氏)と攻めたてる。総選挙後の新政権も、国会のねじれ状況が解消しない限り、改革実行が容易でないことに変わりはない。しかし、改革の遅れは、国民負担への重しとなって跳ね返っている。
政府の「社会保障計画に関する集中検討会議」に参画する柳沢伯夫・元厚生労働相(城西国際大学学長)は社会保障の持続可能性と2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を確保するには、現行5%の消費税を15%程度に引き上げる必要があると提言している。05年には10%程度への引き上げの必要性をはじき出していたが、財政健全化の取り組みの遅れが将来の消費税率引き上げ幅を大きくしており、10日のインタビューでも、菅首相が「不退転の決意」で臨む以外に問題の解決はないと警鐘を鳴らしている。
(ロイターニュース 吉川裕子;編集 石田仁志)
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