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海自プロペラ 米に売却 武器輸出三原則 「抵触せず」−アフガン空軍用 (毎日新聞 2011年2月22日 東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/world/archive/news/2011/02/22/20110222ddm005010085000c.html
政府は、米軍がアフガニスタン空軍に供与する輸送機のプロペラに使うため、海上自衛隊の救難飛行艇の中古の羽根を米国に売却する方針を固めた。旧支配勢力タリバンの掃討作戦が続くアフガン支援の一環。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設に進展が見えないなか、米国が最も重視するアフガンに「間接支援」することで、同盟関係への配慮を示す。
政府はすべての武器輸出を原則禁じる武器輸出三原則を掲げているが、羽根がYS11など民間機でも使われていることから、三原則には抵触しないと判断した。
複数の日米関係筋によると、米側から昨年夏に羽根の譲渡に関する打診を受け、このほど両政府間で基本合意に達した。ゲーツ米国防長官にも伝達されており、月内にも日米両政府で正式契約を結び、近く北沢俊美防衛相が発表する方向だ。5機分程度の提供を想定しているという。
米国はアフガンにC27輸送機を供与し、アフガン空軍が人員や物資、負傷者の輸送に活用することを想定しているが、機体が古く生産が終了しており、プロペラ不足に見舞われていた。日本で同様のプロペラを海上自衛隊のUS1A救難飛行艇が活用しており、海自が一定の使用期間を終えたプロペラを保管していたため、これに目を付けた米側が譲渡を打診してきたという。
政府は昨年12月に決定した「防衛計画の大綱」(防衛大綱)で、武器輸出三原則の見直しを明記することを見送っており、今回の供与が三原則に抵触するかも慎重に検討した。しかし、羽根は民間機でも使われているため、経済産業省は「軍専用の設計になっていない」として、三原則の対象となる武器には当たらないと判断した。
アフガン支援を巡っては、政府は防衛省設置法に定められた「教育訓練」に基づく自衛隊の医官らの派遣を検討しているが、武器の携行ができないことなどから実現のめどは立っていない。このため政府内では「危険性がある医官派遣よりも、米国が強く求めてきた分野での協力を優先すべきだ」(防衛省幹部)という声が出ていた。
(引用おわり)
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どうも、わかりにくい報道です。私(投稿者)なりに考えてみました。
@輸出を禁じられている、A武器、にあたらないか。
◇まず、>「日本で同様のプロペラを海上自衛隊のUS1A救難飛行艇が活用」
↓
US1Aとは。
これは国産の水陸両用救難飛行艇。
海上自衛隊に採用配備され、2005年までに745回以上の出動によって、730名以上を救助しているという。
また1995年には、事故により殉職者11名を出している。
感謝と追悼の念を禁じえない。
これは「武器」ではない。
しかし、部品(プロペラ)はある程度の汎用性があるようだ。YS11にも使われたという。
US1AやYS11に使われたからといって、この部品が武器(の一部)でないとはいえない。
>「軍専用の設計になって」いるか否か、なんて三原則の一部になっていますか(下記「参照」)。
◇つぎに、>「米国はアフガン(空軍)にC27輸送機を供与」
C27とは。
↓
『米空軍の新輸送機C-27Jをご存じ?』
C-27Jは、米空軍がアフガニスタンでの局地輸送用に新たに調達する小型の輸送機です。2010年度予算に、空軍輸送用として38機が計上されています。
「50マイルの空輸ではなく、(投稿者注:前線までの)最後の数マイルの輸送能力を与えてくれるもの」と軍幹部が表現するように、前線部隊への物資補給を目的に考えられており、アフガニスタンの整備が十分でない滑走路や飛行場での離着陸が念頭にあるようです。地上輸送部隊がしばしば「待ち受け攻撃」を受けていることから、その被害局限のためにも現場ニーズが高いようです。
元々、Joint Cargo Aircraftプログラムにより、陸軍と空軍の輸送用、更に空軍攻撃用(AC-130のイメージ)が計画されていたようですが、厳しい予算状況から10年度は空軍輸送用だけが要求されています。ただし、12月15日付米空軍HP記事では、関係幹部による「最終的には78機が調達されるだろう」とのコメントを掲載しています。
運用は州空軍が行い、州空軍がアフガンに展開することになります。
・・・・・・
いずれにしても、米軍のアフガニスタン・シフトは厳しい予算の中にあっても勢いを増しつつあります。
(ブログ:東京の郊外より 2009-12-18 http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-18)
これは、「武器」でしょうね。
たしかに現状では、これ自体が鉄砲、爆弾を積んだ人殺し用ではないにしても。
もっとも将来はどうか。上記ブログには、>「更に空軍攻撃用(AC-130のイメージ)が計画されていた」、とあります。
◇さらに、アフガニスタン空軍とは? 活動領域は?
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『アフガニスタン空軍部隊の再建』
ただひとつ希望が見えるのは生まれたばかりのアフガン航空隊の能力だと米空軍関係者が見ている。アフガン人パイロットの任務の大部分は貨物輸送で、人員輸送のほか人道援助物資のほか、アフガン陸軍兵員の医療輸送も行っている。
「戦闘地域での輸送効率がいっそう重要になっています」とドゥービン中佐がキャンプKAIA(カブール空港内NATO施設)で語った。回転翼機については「医療輸送、対地攻撃、情報収集・偵察・監視を中心としています」とのことだが、これらのミッションにパイロットを配備している。
アフガン軍にはMi-35攻撃ヘリもあり、戦闘に投入するよう求める圧力も多い。同機の初期戦闘能力は8月に確立されており、「限定的ながら戦闘運用が可能なクルーが3組できました」とドゥービンが言う。言及している作戦には示威飛行、武装護衛作戦および事前策定によるアフガン陸軍向け近接航空支援がある。
アフガン人パイロットはアフガン派遣国際治安援助部隊を支援することはない。また医療輸送も対象はアフガン人に限定される。戦闘が可能な状況でもクルーが武器を使用することはない。
能力はあるのに、限定的な任務しか与えられず、実際に攻撃をする場面がないのだ。
(ブログ:航空宇宙ビジネス短信 2009年10月12日 http://aviation-space-business.blogspot.com/2009/10/blog-post_12.html)
どうやら現状では、輸送を中心に、(限定的な?)偵察、対地攻撃を活動領域としている。
もっとも、武装護衛作戦や陸軍向け近接航空支援(きわめて重要)など、「戦闘に投入するよう求める圧力も多い」らしい。
さて、この状況で、アフガニスタン空軍に供与投入される輸送機C-27の部品(プロペラ)が、「輸出を禁じられている、武器」にあたらないでしょうか。
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(参照)
↓
(武器輸出三原則とは。これまでの経緯。)
1.
1967年4月21日、佐藤首相の衆議院決算委員会における答弁
以下の場合、「武器」の輸出は認めない。
共産圏諸国向けの場合
国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合
2.
1976年2月27日、三木首相の衆議院予算委員会における答弁
上記、佐藤首相の三原則(対象地域については「武器」の輸出を認めない)、に以下の項目が加えられた。
三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替・外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」の輸出を慎む。
武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱う。
また、武器輸出三原則における「武器」の定義を以下のようにした。
軍隊が使用するものであって直接戦闘の用に供されるもの
本来的に、火器等を搭載し、そのもの自体が直接人の殺傷又は武力闘争の手段として物の破壊を目的として行動する護衛艦、戦闘機、戦車のようなもの
3.
1983年1月14日、中曽根内閣の後藤田官房長官による談話
以下の解釈が付け加えられた。
日米安全保障条約の観点から米軍向けの武器技術供与を緩和することを武器輸出三原則の例外とする。
4.
1985年12月27日、対米武器技術供与を実施するための細目取り決めが締結。
日米間では武器技術供与は、技術ならびに技術の供与を実行あらしめるため必要な物品であって武器に該当するもの(試作品)に限定されており、その技術を用いてアメリカが生産した兵器を輸出することは許されていない。
(ウィキペディア「武器輸出三原則」より要約)
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もちろん、アフガニスタンが上記で言われる「国際紛争の当事国」か、輸送機(のプロペラ)が「直接戦闘の用に供されるもの」か、など論じる向きもありましょう。
しかし、武器輸出三原則「見直し」が日程に上っている今、その趣旨・精神を問うこともなく、>「同盟関係への配慮」から、>「米国が強く求めてきた分野での協力を優先」しようというのは、大いに問題です。
それが「中古の羽根」だからといって軽視できません。次には何が控えているか。
ましてや、>「羽根がYS11など民間機でも使われていることから、三原則には抵触しないと判断した」とは、まやかしとしてもお笑いです。
*なお、「アフガニスタン空軍部隊の再建」は、カーチス・ルメイによる航空自衛隊創設、指導と、源田実らの推薦による勲一等旭日大綬章受章を思い出させます。授章のさい、昭和天皇は異例にも、ルメイと面会しなかったそうです。
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