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◎「解散・総辞職」3つの選択を軸に展開
2011-02-21 07:33 :永田町幹竹割り
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2011-02-21
造反16人組は小沢一郎の遠隔操縦が鮮明化するにつれてマスコミ世論から総スカン。朝日川柳では「議員として最初で最後の仕事かな」と揶揄(やゆ)された。一方で菅内閣支持率下落は時事通信の調査で17.8%ととどまるところを知らない。民主党政権内は自分の欠点をそっちのけで他人の欠点を非難する「目くそ鼻くそを笑う」状況に突入した。八方塞がりに見える政局をあえて展望すれば、事実上死に体となった首相・菅直人が総辞職するか、解散に打って出るか、首相交代で新首相の手による解散かの3つの選択を軸に展開しそうな流れだ。
筆者は政治記者半世紀の直感で「16人組の主張は大義がなく世論の支持を得られない」と書いたが、一歩遅れてマスコミも全く同様の見方となった。朝日新聞は19日付の社説で「小沢氏系造反―異様な行動に理はない」と銘打って@国民生活を人質に取って「倒閣」に乗り出すのは政党人として到底許されない行動であるAマニフェストを菅首相が「捨てた」と断じるが、見当違いもはなはだしく、必要なら見直すのは、政権与党のむしろ責務だB会派だけから離れるという中途半端な行動ではなく、きっぱり離党すればいい、と真っ正面から切った。筆者の主張と全く同じである。読売の社説も「小沢系議員がマニフェストを守れなどと教条的に振りかざすのは、与党議員として無責任」と批判した。
要するに16人組は「小沢別働隊」なのであり、その本質は倒閣運動なのである。これを見間違ってはならない。どう見ても世論の支持を得られるものではあるまい。昔紅衛兵が「造反有理」を掲げたが、16人組は「造反無理」と言わざるを得まい。一方で菅政権の支持率は共同通信が20%台を割ったのに引き続き、時事の調査も大きく割り込んだ。毎日も19%となり、朝日はぎりぎりの20%だ。過去3代の首相は、支持率20%割れで辞任している。支持率降下はこの「目くそ鼻くそ政争」がさらなる“減殺効果”をもたらし、低落傾向をたどるだろう。重要ポイントは「小沢処分」が執行部側に全くプラスの作用をもたらさないことであろう。菅が居座れば一ケタ台になる可能性があると指摘しておく。
これが何を意味するかと言えば、菅の手による財政再建や消費税増税など超重要政治課題の解決が不可能な段階に入りつつあることであろう。いくら壮大な政治課題を唱えても、世論や国民がその存在を否定するようでは実現は無理なのだ。支持率70%の首相ですら困難な課題を、支持率10%台の首相がこなせると思う方がおかしい。菅は20日「大事業に毅然として取り組まなければならない」と必死の挽回を図っているが、手遅れ気味である。その余力はもうないと悟るべきであろう。
今後の展開は、まず考えられるのが菅による「やぶれかぶれ解散」である。その狙いは政権を捨ててもよい覚悟で、「憎っくき」小沢グループの一掃を図るところに置くだろう。民主党は分裂しなければ小沢グループと菅支持勢力の“双頭選挙”となり、「政治とカネ」で小沢グループは惨敗するだろう。自公政権復活に数が足りなければ、小沢グループを切り捨てた「クリーン民主党」が自公との連立で政権に復活する可能性も否定できない。菅の主張する財政改革も実現可能だ。その一点に賭けた解散ということになる。菅が「消費税実行前に必ず選挙を行う」と述べているのは、小沢に対するけん制以外の何物でもない。菅に会った江田五月は20日、「総理大臣のいちばんの武器は解散であり、『解散しない』と言って、何もみずから手を縛る必要はない」と、これまた小沢をけん制している。しかし支持率が低迷する首相の手による解散は党内の「菅降ろし」を助長する可能性が高い。
次にある可能性は菅が総辞職することを前提に来年度予算関連法案の成立を図る妥協に持ち込むことであろう。しかし自民党は「経済効果のない予算を根本的に手直ししないまま、首相が辞めるから全部のんでくれというのは理屈が合わない」(幹事長・石原伸晃)と全面否定。自民党は「水に落ちた犬は叩け」戦略と見た。どうしても解散に追い込みたいのだ。しかし公明党は違うように見受けられる。基本的に統一地方選挙とのダブルはやむを得ないとしているが、首相辞任となれば、統一地方選挙も有利に戦えるし、創価学会組織もダブル選挙の混乱を回避できる。代表代行・仙谷由人が15日に公明党の漆原良夫国対委員長とひそかに会談して菅の辞任と引き替えに予算関連法案での協力を求めたと言われる。この動きは今後の政局を見る上で重要ポイントだろう。
最後のパターンが、菅は退陣、民主党が新首相に外相・前原誠司あたりを選出して、前原の手で解散するやり方だ。野党と話し合いが必要になり、事実上の話し合い解散となる。支持率どん底の菅の手による解散より前原で選挙をやれば、負けても大惨敗はないだろうという読みが背景にある。その場合日程から言って統一地方選挙とのダブルは難しく5,6月解散となる可能性が大きい。この3つの選択を軸に政局は展開することになる公算が大きい。
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