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JanJanBlog
「謀叛征伐」に蜂起した16人の政権交代“正規軍”
2011年 2月 20日 22:21
成瀬裕史
む-ほん【謀叛】：１ 時の為政者に反逆すること。国家・朝廷・君主にそむいて兵を挙げること。２ ひそかに計画して事を起こすこと。[大辞泉]
２月17日、民主党比例代表選出衆院議員16人で組織する「民主党政権交代に責任を持つ会」は、「今の菅政権は、国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない」とし、「我々は民主党と国民との約束の上に存在する比例代表の議員だからこそ」「国民との約束を果たす」ことを「行動で示す」ため、民主党会派からの離脱を表明した。
■行動の「矮小化」に必死な執行部とマスコミ報道
この動きに対し菅氏は「全く理解できない行動だ」と述べるとともに、16人が衆院選マニフェストの見直しに反対していることについて、「見直しは党大会で承認されたことだ」と反論した。
マスコミ諸氏も、この16人の行動を「造反」とし、(社民党が応じていないのにもかかわらず)予算関連法案の衆院再可決ができないと国民生活を脅かすことになる「暴挙」とし、彼らがいずれも比例代表下位名簿にあることに触れ、次回選挙では再選が難しい議員による「自己保身」や、名簿に載せてくれた小沢氏の「処分回避」に向けた行動などと、彼らの行動を「矮小化」する報道に“専念”していた。
産経新聞などは阿比留瑠比記者の署名で「会派離脱表明した16人の『大義』も怪しい。17日の記者会見では、マニフェスト（政権公約）の実行を求めたが、ならばなぜ、マニフェスト修正を決定した１月の党大会で声を上げなかったのか」と“御丁寧”に曰っている。
しかし、実際の党大会では、マニフェスト修正となる活動方針案に対し森ゆうこ議員が「声を上げた」が、議長は「ご質問・ご意見を受け賜る場は設けてはおりません」として発言が“封殺”されたのは、ネット上では「周知の事実」である。
■「タイゾー君」とは異なる16人の比例代表
会派離脱を表明した16人に対しテレビ報道などでは、比例名簿を示し「下から2番目」などと、民主大勝による「棚ボタ議員」的な扱いが目に付いた。
ここで郵政選挙で当選した杉村太蔵氏を引き合いに出すのは申し訳ない気もするが、テレビに向かうお茶の間では、16人を「比例代表名簿を埋めるため」の民主党“職員”や公募に応じた“素人さん”と思っていた向きも多かったのではないか。（実は私もそうだったのだが…）
しかし、ネットで16名の経歴を確認すると、衆院議員(選挙区)経験者が2名、県議など地方議会議員経験者が6名、衆・参・知事選立候補経験者が3名、県議選立候補経験者が2名、小沢一郎政治塾出身者が3名となっている。
国会や地方議会で経験を積んだ方、政治を志しつつ選挙で苦杯を重ねた方や政治塾の門を叩いた方などであり、「棚ボタ」的な“素人さん”などどこにもいない。
現職県議を辞めるなどして国政選挙に挑戦した“玄人”が文字通り「政治生命を賭けた」行動であり、「小沢氏の意のままに動く手駒」などとの扱いは余りにも失礼であろう。
○「民主党政権交代に責任を持つ会」16人の略歴（敬称略）
【会長】渡辺浩一郎(66)[比例東京、1993年衆院選東京7区当選(1期)]、 【会長代行】豊田潤多郎(66)[比例近畿、1993年衆院選京都 2区当選(1期)]、 【幹事長】笠原多見子(45)[比例東海、岐阜県議3期]、 三輪信昭(68)[比例東海、愛知県議4期]、 菊池長右ェ門 (76)[比例東北、岩手県議3期、宮古市長]、 高松和夫(68)[比例東北、秋田県議5期]、 石井章(53)[比例北関東、町議、取手市議]、 川口浩(56)[比例北関東、取手市議2期]、 川島智太郎(46)[比例東京、衆院選東京選挙区立候補、小沢一郎秘書]、 渡辺義彦(54)[比例近畿、参院選立候補、広告代理店経営]、 熊谷貞俊(66)[比例近畿、前回大阪府知事選立候補、大学教授]、 石田三示(54)[比例南関東、千葉県議立候補、農業法人代表]、 水野智彦(55)[比例南関東、千葉県議立候補、歯科開業医]、 大山昌宏(40)[比例東海、小沢一郎政治塾6期生、学習塾経営] 、 小林正枝(39)[比例東海、小沢一郎政治塾7期生、静岡市議選立候補]、 相原史乃(36)[比例南関東、小沢一郎政治塾1期生、飲食業会社経営]
■「謀叛人」はどっちだ？
「民主党政権交代に責任を持つ会」が発表した「約束を果たす民主党への回帰宣言」では、
「今の菅政権は、国民との約束を果たす本来の民主党政権ではない」
「『国民の生活が第一』の政治理念は、民主党と国民との最大の約束」
「総選挙では、予算のムダを徹底的に削り、新たな政策の財源に充てるとした」
「しかし、『予算の総組み替えなどを行う』と主張していたのに、ほぼ手つかず」
「『衆議院の任期中上げない』としていた消費税については、『来年度末までに法的な対応をしなければいけない』と発言し、増税への意欲をあらわにした」
「菅政権は国民との約束、マニフェストを捨てたのである」
とし、また、
「政治家主導で日本を立て直すはずが、目玉とされた国家戦略局の設置法案は実現せず、公務員制度改革も反古に」
「官僚に頼り放しだが、尖閣問題や北方領土問題など、もっとも政治主導であるべき案件で失敗すると官僚のせいに」
「菅政権は政治主導の御旗も捨てた」
「菅政権は、民主党の理念、そして『国民の生活が第一』という国民の皆様への約束をも捨て去った」
とし、菅政権の“裏切り”を「断罪」している。
その上で、「みすみす旧来からのしがらみにはまり込み、無原則に政策の修正を繰り返す菅政権に正当性はない」とし、
「国民との約束であるマニフェストの実現に取り組む我々こそが、本来の、そして真の民主党である」と、自らの“正統性”を主張している。
まさしく「正論」である。
政権基盤強化のため、参院選勝利を優先した“W辞任”による「棚ボタ」で手にした政権にも拘わらず、「消費税増税」発言により参院選を惨敗したのにその責任もとらず、「首相がころころ変わるのは国際的に恥ずかしい」というマスコミが作った“屁理屈”に支えられ、「412人内閣」とのスローガンで代表に再選したにも拘わらず「小沢系」を徹底的に排除し、質問・発言を一切受け付けない党大会で「マニフェスト見直し」承認を“強行”し、「自民党」比例で復活当選した与謝野氏を閣内に迎えて「消費税増税」に舵を切った「菅政権」。
一昨年の総選挙で民主党に「政権交代」を託した多くの国民・有権者にとって、「財務相務以来、財務官僚諸氏に“洗脳”された感のある菅直人氏こそ、民主政権の「謀叛人」に写っているのではあるまいか？
今回、会派離脱を表明した16人こそ、政権交代を果たした民主党の「正規軍」であり、今回の行動は、「謀反人」菅政権の“征伐”に向けた、「倒閣運動」の“蜂起”なのである。
■菅氏と16人、解散への「時限爆弾」はどっち？
民主党内では今回の会派離脱表明を「自爆テロ」と評する幹部もいるようだが、今回の16人の「蜂起」により、菅首相の「退陣論」が燻りだしてきた。
19日に民主党本部で開催された全国政調会長会議では、青森県連幹部が「退陣を含め首相には政治的決断をお願いしたい」と発言。樽床氏も同日、平塚市内で講演し、「菅政権を存続させることがわれわれの仕事ではない」「１カ月以内に大きな決断をしなければいけない時期が来る」と発言するなど、退陣と予算関連法案を引き換えとする「菅包囲網」が表面化してきた。
これに対して菅首相も、同日官邸で開いた「社会保障に改革に関する集中検討会議」の挨拶で「(改革案を)まとめ上げて、実行する前には必ず選挙を行う」と述べ、解散に含みを持たせながら政権運営に意欲を示して“応戦”している。
しかし、16人の「蜂起」がなくとも、社民党が賛成しない以上、予算関連法案の衆院での再可決は「不可能」である。
「予算を通すこと」が政権の“責任”である以上、予算関連法案が通らないのであれば「退陣」すみのが政権の「責任の取り方」だと思うのだが、参院選惨敗以降、一切の責任をとったことがない菅直人氏でもある。
解散という「自爆」に向けた菅氏の時限爆弾の針は、今回の16人の蜂起を期に、既に動き始めたのかもしれない…。
http://www.janjanblog.com/archives/31799
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